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新たな出会い

閲覧ありがとうございます。

「魔眼だと…?」

アスネは怯えるノルルに寄り添う様にかばいながら尋ねる


「言葉の通りだ。この騒動に気がつけたのは、彼女のおかげだ。」



後ろで聞いているワイズもわからなかったのか。

「どういうこった?ハクトが自分で気がついたわけじゃないって事か?」



「あぁそういうことだ。今回の件だが」

アスネの後ろにいるノルルを指差して、



「彼女の魔眼…千里眼で俺を見たことでわかったんだ。」

そう告げると、彼女は薄く目を開ける。淡い緑色の目は俺を見つめる。



彼女は薄くコクりとうなずいて俺の言葉を肯定する。



そんな彼女を見てアスネは

「そうか…君が僕たちを導いてくれたんだね…。それなのに、救いきれずに申し訳ない。」



またもや謝るアスネを余所に、ノルルに尋ねる。

「まずは確認だが、君はどこから来た?」



こうしてノルルの出自を確認する作業を行う。






「つまり…ノルルは近隣の村から来たってことか…。ご両親は?」

アスネが尋ねた瞬間、ノルルの顔が曇る。



「……………」



「見たんだな…?」

俺の言葉にノルルは小さくうなずく。



「そうか…。アスネ彼女の処遇はとりあえず聖国で決めよう。それと…」

俺はノルルに近づき肩に触れる。



一瞬ビクッとしたが、敵意がないことを確認すると抵抗することをやめる。

ノルルの肩には忌々しい紋がついていた。



「奴隷の印…。このご時世にも存在しているとはね…。解呪」

複雑な魔法陣と共にかなりの魔力を持っていかれたが、ノルルの肩に刻まれた紋が少しずつ薄れていき印は跡形もなく消える。



「………うそ…」

驚きに目を見開くが、それよりも驚いていたのはアスネだった。



「奴隷紋を消した?…はぁ…毎度の事驚かされるが、流石こんな事もできるなんてな…」

今更驚かないぞ。とぐっと拳を握って立ち上がると、ノルルに手を伸ばし

「行こう!」



「……いいの?私…村では皆にきら…」

ノルルは手を伸ばしたり引っ込めたりを繰り返す。



「…僕は好きだよ。君のその淡い緑の目も、純白にも思える肌もね」

ニコッと笑い、くさい台詞をさらっというアスネ。

どうして、イケメンだと似合うんだ…



俺とワイズはアスネのくさい雰囲気に呆れながらも周囲を警戒して、馬車に戻る。






後ろで少し顔が紅くなったノルルの顔が見えたかと思うが気のせいだ。










「急に飛び出して行くから何事かと思いましたわ」

馬車に戻って来たらミルネに心配されてしまった。そして、ノルルを見つけて急遽湯浴みをさせていた。どうやら「女子たるもの身だしなみに気をつけないといけませんわ!」ということらしい。




………ちなみにそこで蓑虫みたいに巻かれているワイズは察しの通りだ。

「やめなよって言ったのに…」

そんなワイズを諭すようにニーバスが苦笑いで諭す。



聖国に着くまでに既に問題が起きたか…

「何もないといいんだけどな~」

俺のつぶやきは空に溶けていく様に消えていった。












「はい。問題ありません。ようこそ聖国アヴァンへ!!」

あらかじめ受け渡されていた招待状を門番に見せると、難なく開門してくれる。

アスネ一行は、その後問題なく聖国までたどり着く。



聖国アヴァン

白を基調とした石造りの街並みが目を引く。どこからでも見えるくらい大きな城のような教会を基とし放射状に街が並ぶ。市民のほとんどが聖教徒であり、野蛮の代名詞でもある冒険者ですら聖教徒という立派な宗教国家だ。



現聖王は民を第一に考え私腹を肥やすことなく、数多の政策を行い、街の活性化に一役買っているとのことらしい。

そして、今回アスネの親父が依頼した聖女というのは、数年前に前聖女が息を引き取った後

、時期聖女を決めなければならなかった。そこで選ばれた時期聖女候補の中から選ばれたのが現聖女ということらしい。噂では俺たちと同世代らしいとのこと。



そして生誕祭はその名の通り、現聖女の生誕の日を祝う行事だ。

聖女となって初めての生誕の日ということもあり盛大にそして他国に知れ渡らせるように大々的に行うということだ。



「まぁ関係ないか…」



「ん?なんか言ったかいハクト?」

目ざとく俺のつぶやきに反応するアスネだったが、何でもないことを伝えると他の6人の方を見て



「さぁ聖国に着いた。この後僕たちは一度聖国の中心部である教会に赴いて、聖王と聖女との面会だ。護衛は最低限と言うことらしいから…「おれっちは行くぜ!!」…ワイズ」

アスネの言葉を遮る様にワイズが意思表明をする。…きっと聖女目当てだろう。



「聖女にもお会いするとの事でしたら、わたくしも行きましょう。」

「そうね。1人でも多く同性の話相手がいた方が良いものよね。ノルルもきてちょうだい」

聖女との交友を深める事も依頼の一つという事で、ミルネとレヴィが立候補する。そしてさりげなくノルルも巻き込んでいる。

巻き込まれたノルルはキョロキョロしながら他の皆の顔色を伺う。



アスネはそんなノルルを落ち着かせるように

「…ノルルが良ければ着いて来て欲しいな。僕もノルルとお話をしたいからね。」



「……う……うん」

そう言われてしまっては拒否する事もできる訳なく、少し不安そうにうなずくのであった。



「オイラ達はどうしようね?」

俺の隣でディルが尋ねてくる。

「ん?ディルはどうするつもりだったんだ?」



「オイラ~?どっちでもというのが正直だね。おつむが少しあれだけどワイズがいれば護衛としての任務は担えるでしょ。過剰戦力になっちゃえば、むしろ聖王や聖女が警戒しかねないからね~。良くて後1人ハクトかニーバス、オイラの誰かが行けば良いって感じじゃない?だからハクトに意見を聞こうと思って。」

何だかんだ冷静な分析をするディルを横目に



「そうだな…実は俺この後向かいたい所があるんだよな~」


「えっ!ハクトが向かいたい所?どっかまた潰すの?」

こいつは俺をなんだと思っているんだ…?



「俺がそう簡単に周囲に危害を加える訳ないだろ?」

6人くらいから変な視線が突き刺さるが気にしないでおこう。



「んんっ!俺が行きたいのは聖国の冒険者ギルドだ。道中での盗賊の件を報告しに行こうと思ってな。」

さっさと盗賊と奴隷商の亡骸を受け渡して、報酬等をもらいに行きたいことを告げる。



「そうなの?けどそしたら被害者のノルルは連れて行かねぇのか?」



「バカだな~ワイズ。ノルルが被害者だって証拠は俺が消しただろ。そりゃ心に傷を負っているかも知れないが、それを説明したところで、消した紋をどう説明する?魔法で消せることがバレてみろ?面倒になりかねん」

そういうと、ビシッとアスネを指差して



「という訳で、俺はこれからギルドに向かう。お前は皆を連れて、聖王と聖女に会いに行ってくれ。………あれを蒸し返すのは俺だけでいい」



「ハクト……ありがとう」

(君はノルルがこれ以上あのときの事を思い出すことがないように自ら別行動を…)



アスネの悟ったような視線がむずかゆいが

「ふん…俺は先に行く。ディルとニーバスはどうする?」



結局どちらに向かうか聞いていなかった2人に確認すると

「ん~。どっちもめんどくさそうだね。ねぇアスネ?これ以上護衛は必要かい?」



「そうだな…。はっきりいれば、これ以上は過剰戦力に捉えられそうだ。ディルかニーバスどちらかが着いてきてくれれば良いが…」



「え…どうしようかなディル君ハクト君…」

「う~ん。護衛という面で見たらニーバスの方が適任でしょ。行ってあげてよニーバス。オイラは面倒そうなハクトに着いていくよ」

さらっと俺の案件を腫物扱いしやがって…



ニーバスは小さくうなずくと、「僕も護衛に行くよ」と行ってアスネ側に渡った。

「では、僕たちは教会に行くとしよう。ハクト、ディル。そちらの用事が終わったら教会に来てくれ。」



再会の場所を告げると、俺とディルは馬車を降りて、先程の門番に教えてもらった冒険者ギルドの方へと歩いて行った。




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