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冒険者登録を終えて

閲覧ありがとうございます。

冒険者登録をしてから1ヶ月が過ぎた。

ギルドの登録をやらかしたせいで、色々周りにからかわれることもあった。


今日も朝からギルドでクエストを受ける予定なので、受付嬢にクエストの受注を依頼する。

「はい!今日はボアの狩猟依頼ですね?皆さんの腕なら問題ないでしょう。ところで今日は8人のうち2人はともかくニーバスくんとディル君は?」


さりげにパーティー名をいじってくる受付嬢

「2人は募集中ですよ…。ニーバスは孤児院で行っている炊き出しの協力に。ディルは鍛冶の特訓をしていますよ。ボアなら俺たち4人で問題ないので」



「そうなんですね。わかりました。ですけど、あまり油断していると怪我だけではすみませんので気をつけてくださいね!」

めっ!っというポーズで注意してくる。


「わかりましたよ。まだ死にたくないですからね。」

クエスト受注の証をもらって他の3人と合流する。


さて、クエストに向かいますか。







「これでいっちょ上がりだぜ!!」

ワイズがボアの突進を避けて、側面のこめかみあたりに蹴りをあびせる。

この1ヶ月の間にワイズ達の技術は進歩している。


「狩猟の前にも言ったが、ちゃんと魔力制御の特訓のために蹴りに魔法を付与しろっていっただろ?」

意外なことに、ワイズは雷魔法という珍しい魔法適正があった。しかし、魔法を放出する才能が皆無なので、武器や身体に付与するという方向で特訓していた。


「…仕方ないじゃないか。ボアに突進されている間に魔法の付与は難しいってば。それより、これで最後だよな?」


先に狩ったボアの解体をしているアスネは

「そうだね。これでクエスト目標の数には達したね。僕のアイテムボックスに討伐証明の牙を入れているから間違いないよ」


「じゃあさっさと報告に行きましょう。午後は魔法学の勉強ですから、少しでも魔力を回復したいわ」

レヴィはクエストの目標達成をしたので、さっさと帰りたそうだ。


「そうだな。あまり肉を確保しても消費しきれないしな。」

みんなクエストから帰る準備をする。



準備している最中に遠くから他の冒険者と魔物が争う音が聞こえる。

「少し離れたところで誰かが戦っているみたいだね?どうする?少し休んで、落ち着いたら、帰るかい?」


あまり冒険者同士のいざこざを避けるためにアスネが提案をする。

「それもそうだな。…と言っている場合じゃなさそうだ。」


どうやら、争いの音が少し近づいているし、どうやら冒険者達の方が劣勢に立たされている。


ワイズは心配そうに

「助けなくていいのかよ?もしかしたら、争っている冒険者が死んじまうかもしれないぞ?」



冒険者は基本的には、狩猟している相手の横取りは御法度。勝手に助けてしまうと、横取りをされたとイチャモンをつけてくる可能性がある。それに冒険者は死と隣合わせだから、仕方がないと思わなければならない。


そんな風に思っていると、どうやら冒険者側に限界が来たようだ。


助けるっていう方向の回答が来ると思っていたのに、こなかったことに驚いたワイズだったが、死にそうな冒険者を見ると、

「こう言ってる間にも危なくなっているかもしれないぜ!」


俺たちの忠告を聞かずに武器に雷魔法を付与して襲いかかった。

「ど・き・や・が・れー!!」

魔物も側面から来る攻撃には反応できなかったようで。魔物は直撃を受ける。


「はぁ…あいつは話をちゃんと聞いておけよ。」面倒ごとににならないといいが…そう思っていると





『ふざけんじゃねぇそ。糞ガキがぁ!!』

ワイズが介入してしまったところから怒号が聞こえた


「…はぁ。言ったそばからあいつは…」


ワイズに近づいて行くと、案の定追われていた冒険者とワイズが揉めていた。


「獣臭ぇガキが調子に乗ってんじゃねぇぞ!」

ひげ面のおっさんがワイズ相手に吠えていた。


「ふざけんなよ!俺が助けたから無事だったんだろ!?そんな態度とんのかよ!」

ワイズも応戦する。





しかし、今回はこっちに不備があるからな…

基本的に冒険者は協力を求めない。知らない相手と共闘することで報酬や争いが絶えないのだ。格上の魔物と戦闘し、敗戦となったときに助けを求めることはある。

その場合は救出した冒険者に報酬が行くというシステムだ。


今回は厳ついおっさん達が争っているところにワイズが横やりを入れた形になる。

相手は助けを求めていない。ワイズにはちゃんと教えていたのにな…

まぁ目の前で人が死ぬのはあまり寝覚めがよくないよな。


それにしてもどうするかな?こちらに非があるので、おっさん達に何かしらの要求をされてしまう。ぶっちゃけおっさん達を殺してしまえばなしに出来る。だがワイズがせっかく助けたのを俺の手で殺すのはちょっとなぁ…


…ん…俺たちじゃなければいいのか…?



何かいい方法はないか周りを見渡すと、ワイズが仕留めた魔物がいる。

…こいつは……そうだ!


魔物に近づく俺にアスネが訪ねてくる

「ワイズが仕留めた魔物に何をするんだい。そんなことよりこの状況をどうする?今回は僕たちに不備があるから、穏便に解決するのは難しんじゃないか?」


「大丈夫だ。俺に任せておけ」


ワイズ達はまだ揉めたいた

「お前たちなんてボロボロじゃないか?そんなのであの魔物に勝てたと思っているのかよ?」


「あぁん?俺たちCランクがボアの亜種モノブボアに負けるはずがねぇだろ?お前が手を出さなくても問題ねぇんだよ」


「ふざけんなよ。あんな必死に逃げていたやつらが勝てるもんか!」


「んだと?俺たちはこの場所に誘き寄せる罠だったんだぞ」

「そうだ!獣人ごときがいきりやがって!」

「おい。こいつ最近冒険者始めた「始まりの八人」のガキじゃねぇか?」


「だったらなんだ!」


パーティー名を聞いた後、おっさんたちは大笑いをし始めた

「だぁーはっはっはっ!!あのガキのお遊び集団か?」

「くっくっくっ。人が足りてねぇパーティーはおつむも足りてねぇってか?」


「黙れよ!お前たちなんかより俺っちは強えぇんだぞ!」


おっさんたちはさらに大きく笑い

「だぁーはっはっはっ!あー面白れぇ。そうだ!今回のてめぇの横やりについてだが、俺たちに何かしらの賠償が必要だ。それでだな、俺たちをお前のパーティーに加えな。当然だが俺がリーダだ。てめぇら達は俺の手足となって馬車馬のごとく働きな!」

「そうだ。確か仲間にハイエルフがいたな。そいつは俺たちがたぁーっぷり可愛がってやるよ」

「そうだな。まだガキだろうが、それはそれで楽しめそうだな。」

はぁー調子に乗ってるね~。聞こえていたのだろう。レヴィが汚物を見るような目で見ている。


そろそろ助けてやりますか。


ハクトはワイズに近づき

「一端落ち着けワイズ。今回は俺たちが悪い。この前言っただろ。冒険者は助けを呼ばれない限り助けないって。」

ワイズは覚えていたんだろうが

「それでも!助けられるなら助けるべきじゃねぇのかよ」


「言いたいことはわかる。それでも郷に入っては郷に従えというように、冒険者のルールを守れ」


ワイズの説得をしているとおっさんが割り込んできて

「話がわかってんじゃねぇか。劣等種ってのは下っ端根性が身についているんだな。それでどうだ?おめぇも俺の手足として働くか?」


そろそろおっさんがうるさいな…

「…はぁ。そもそも今回のはワイズがお前たちの獲物に横やりを入れたのが問題なのだろう?それでお前たちはその獲物をあと少しで倒せたのにってことで俺たちに賠償を求めているってことだろ?」


「そうだ。当たり前のことを言ってんじゃねぇぞ」


「だったらさぁ…戻しといてやるよ」

俺が告げるとともに、おっさん達の後ろから魔物叫び声が聞こえる。

おっさん達は振り返り、声の主を見て驚きの声を上げる。


「「「なんでさっきの魔物が生きているんだよ!!!」」」


そこには先ほどまで横たわっていた魔物が佇んでいた。




魔物は実はまだ死んでいなかった。


亜種ということもあり、他の個体より生命力が高かったのだろう。それにワイズも焦っていたのかちゃんととどめを刺していなかったのだ。


だから、俺は助けた。


アスネは呆れて

「君はなかなかいい性格をしているね。」とため息をついていた。


「ってなわけで、さぁ…倒して見せてくれ。俺達は助けを呼ばない限り助けない。

頭を垂れて、謝罪するっていうなら、助けてやらないでもないよ」


「「「クソガキどもがぁー」」」










『ぶもぉぉー!!!』

牙が赤く濡れたボアのみが佇んでいた。

近くには穴が開いたり、頭が食われた4つの死体が鎮座していた。


「やっぱりこうなったか…」

アスネは諦めたかのように

「やっぱりってどういうことだいハクト?


「あぁあいつはボアの亜種であるモノブボアなんかじゃない。上位種のブルボアの亜種で、名前はクリムボアだぞ?」

「そうなのかい?」


アスネとの会話をしているとクリムボアが次の獲物として俺達に狙いを定めた。

「クリムボアか…ブルボアは討伐ランクはD相当だから…その亜種となるとCランク相当かい?」


「そういうこと。つまりあいつらはCランクには及ばないってことだろ」

俺はゆっくりとクリムボアの前に立ち


「ワイズ。ちゃんとルールを守れ。破ったことによるペナルティをちゃんと考えろよ。」


ワイズを叱りながら、クリムボアが突進してくる方向に手を広げ

「ちなみにだが、俺はCランクよりも強いぞ?」


感想等いただけたら幸いです。

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