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英雄の答え合わせ

連投させていただきます。


まだ本作の主人公にはなりません。

『も……し……』



…………

『もし…し…』



……………………

『もしもし~?』




(この感じ…前にも…)





『やぁ…おはよう 忘れられし英雄さん♪』

優しい様な、無機質な様な、声だけではどんな存在なのかがわからない声が聞こえる。




『おや…?起きているよね?あれかな、聞こえていないふりかな?』

声の主は私のことなんてお構いなしに話しかけてくる



(あぁそうだよ…)




『はっはっはっ!こんなくだりが2回もあれば察しているし、もううんざりなのかな?』


(そのとおりだよ…)




『大丈夫だよ。君はちゃんと死んでいるよ♪』


(なんだと…!)


『では、目を開けてごらん』


(わかったよ…)


そういって目を開けると、広がっているのは白い世界と聖書もっていそうな服装をした女性が座ってこちらを見ていた。

顔は整っており、100人すれ違えば100人振り向いてしまう様な顔立ちだ。淡い金色の髪を下ろし、優雅にカップに口をつける仕草は様になっていた。



ただし、座っている椅子はおっさんだし、ティーカップやティーポットを置くテーブルは女性だった。


座っている椅子は……おや?確か…高校生の時にみたおっさんのような…?


それに机は…ははっ。あいつ2回目の糞女神だ。切り刻んで封印したはずなんだが。




『まぁまぁ言いたいことがあるかもしてないけど、こっちにおいでよ』

私だおっさんと糞女神を見ている目を察してか、女性は私に声をかける


そういって手招きする女性は…、見たことがないな…




『初めましてだね♪私は君が住んでいた世界の神様だよ。』

ティーカップを片手に優雅に決め込んでそういった。


「どうしてそんな偉い存在が、私なんかに気をかける?私はこれでも、世界に不干渉を貫いていたのだけど?」

目の前の女性、もとい神様だとすれば、確かに私はこの世界の住人だっただろうが、何もしていない、というよりは何もしたくなかったに等しいが…



神様は私の生き方を知っていたようで、

『確かに君は余生を見事に独りで過ごしたね。それでも、私は君と会いたかったのさ。

こっちに来て少しお話をしようじゃないか。さぁ座るといい』

腰を落ち着けて話さそうじゃ無いかと言いながら手招きする


そういって座ろうにも椅子がないな…



椅子を探している俺を見て、神様は笑いながら

『ふふっ、こっちにおいでよ、この椅子は無駄に大きいから、君が座っても問題はない』


そういって椅子の背中をバシバシとスナップを効かせて叩いている。


【あっ…あの『そうだろ?』……はい…】


食い気味で椅子を睨む女性


『さぁ おいでよ』


「失礼する…。」


死んでから、神様の隣に腰かけるなんて普通味わえないものだよな?


それにしても、すごい眼力だったな…。


すまない おっさん…。おっさんの椅子座り心地良くないな…固い。




座ってくれたことに気をよくしたのか神様は笑いながら


『さて、さっそくだけど、聞かせてほしいな~。』


と朗らかな口調で純白な脚を糞女神に乗せて語りだす。行儀がわるくないか?


だけどいい気味だ。私はまだ許していないぞ。


「何を?」


私は心底不思議そうに聞く。なんだ?サバイバル術とかか?


『優れた力を異世界で得た感想をだよ♪知っての通り、私の世界にスキルや魔法、魔物は存在しない。人類の敵は人類で、世界を危機に陥れるのは悪ではなく、他人の正義だ』


『そんな世界に居た君が、異世界で魔法やスキルを手に入れて、全ての頂きに登り詰めた君が、君自身の世界で腫物として迫害されたにも関わらず、力に堕ちることなく死を迎えた理由をね』


『憎かったんじゃない?社長が?幼馴染が?家族が?見る目を変えた人たちが?』


まくしたてながら、吸い込まれそうな深く淀んだ目でこちらを覗いてくる。


そんなことか…そういえば話すことは初めてだったな…




「……のためさ」


『ん?』


「私が愛して、私が殺めた彼女のためさ」


『……あぁあの子のことだね。君たちの甘美な生活は素晴らしいものだったよ。ふふっ』


なにが面白いのだろうか。感情がほとんどなくなってしまったが、彼女のこととなれば、


眠っていた感情があふれてくる。




『そんな殺気を出さないでくれよ。神殺しの称号は健在だね~


まぁ詳しい話はいつかまた聞かせておくれよ。』


自分の世界のことだというのにあまり関係なさそうだな。


関係者はすでにいないからか…。


それに鑑定をしても「Unknown」と表示されるばかりだ。




気を取り直したかのような声色で、


『さて、そろそろ本題に入ろうかね。


まず初めに死後となってしまい申し訳ないが、君には謝罪したい。


本来、異世界に召喚されるというのは、稀なことだ。さらに、相互の世界の神が了承の末に起きるものだ。さらに召喚された人は世界に戻ってきた際に、それ相応の加護を与えられる。





それこそ、君たちが思い描くようなハッピーエンド一直線だ。』


女性はピンヒールの先で椅子をぐりぐりと踏みつけて淡々と語る。




『それなのに、君が初めて召喚された際に、こいつ(椅子)は私が留守中に勝手に契約を進めていたのさ。それに私の部下にも根回しをして、無条件で君を召喚するという形でね。


……あぁその部下なら安心しなさい。すでに消しているよ。存在もなくしておいたから、名前すら忘れてしまったがね。』


一つの存在を消したことを当たり前のように話してくる


なんでもない様に言うな…




『これが1つ目の謝罪だ。二つ目は…』


そういって、脚を強く組み替えて、




『異世界召喚は「1度限り」だ!』【ふぎっ!?】




机の頭めがけてかかと落としを食らわせる。


『魂への負荷もあるが、異世界に行ったことで得られる加護が重複してしまうと、本人は問題ないが、周囲の加護や運も寄せ付けてしまう。それにより、本人は幸せでも周囲を不幸にする。ハッピーエンドから一転バッドエンドだ。そのような過剰供給を避けるためにも、召喚は1度限りとしている。』


底冷えする様な瞳で机を射抜く。


『それを承知な上で、こいつは君を召喚した。1つ目の世界で力を得た君を自身の世界の救済のために召喚したんだよ。それに君が世界を救った加護を持っていないことを知ってね』


そうなってくると気になることが出てくるな


「だが、先程の話だと召喚の際には交渉が必要なのではないのか?」




伏し目がちに女性はため息をつく 絵になるな…


『机は特例法を使ったのさ。自身の世界が危機にさらされた時、救世の力を持つ勇者を召喚することができるんだよね~。それを使って机は勇者以上の力をつけた君を選んだ。


それに椅子は机の気を引きたいがために君の情報をリークした。』


話ながらイライラしているのだろうか。いまは貧乏ゆすりをしてかかとが椅子の手を踏んでいる…




それにしても…


「つまり私はそこのやつらの私利私欲のために、2度異世界に行ったということか?」


結局人は神にもてあそばれるのか…


『まぁその通りだね。それでも君が強くなったおかげで粛清してもらったから私としては結果オーライだね。いやー神相手にあそこまで一方的に戦えるものだね。


世界は救ってくれたが、神は救えなかったね。それに机の世界は神達が過干渉している世界で私は気に入らなかったんだよ。』


機嫌が戻ったのだろうか、少し元気になったな




ふと気が付いたことがある


「わからないのだが、一度目の世界で加護をもらえていないのなら、二度目の世界の加護だけでハッピーエンドじゃないのか?」


過剰な加護じゃなければいいのではと思ったのだが。女神はため息をつきながら、


『加護は私たちのような存在が与えるものなのさ…、で君には加護が与えられていない。


椅子は無条件貸出ってことになっているし、机に至っては君が封印したでしょ?だから君に加護を与えられる存在がいなかったんだよ』


女神は続けて


『そんな状態で不思議な力をもってメディアに出てごらんよ?神の御使いに見られると思うかい?加護がない君は忌避されるだけさ』


断言されてしまった…。そうか、加護なんてなかったのか…おっさんと糞女神め…




【【…ひぃい!!】】




『ということで、君の平凡な人生は神々によって壊された。そのことについて、私から正式に謝罪させてほしい。』


そういうと女性は椅子から立ち上がり、頭を下げ


『君の人生を壊してしまい申し訳ない』




……律儀だな、今の会話では被害者だというのに…。


「頭を上げてほしい。確かに私の人生は壮絶なものとなった。それでも私は彼女に会えた。


それだけで私の人生は報われた。だからもういいんだ」


これは本心だ。彼女と過ごした数年がそのすべてに勝る。




『優しいね…。謝罪に関してはこれでおしまいだ。』


そういうと女性は立ち上がり、改まった顔をして。


『君に提案がある。聞いてはくれまいか?』


想像しかできないが聞いてやろう。



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