初めての
変な時間に更新です
外は森に囲まれた洞窟の近くらしい。
商隊が使っていた荷馬車に俺たちは監禁されている。見張りは2人の様だ。
奥からは騒がしい声が聞こえる。
「がははっ!まさか聖女候補の女をさらうだけでこんないい思いができるなんてな」
おそらく首領だろう。肉を食らいつきながら豪快に叫ぶ
「ほんとですね。しかも、運よく商隊から食料ももらえましたからね」
「そうだな。それに冒険者に女がいたのはラッキーだな。聖女は傷をつけるなと言われているが、それ以外は構わないだろう。」
「そうですね。部下達のガス抜きも必要でしょう。こんな辺境の土地じゃ持て余すだけですからね」
盗賊らしい会話をしているが、やはりどこからか雇われた者たちらしいな
「私を慰み者にしようってのかい?嘗めてくれるじゃないか。」
セルロスさんから今にも殺気が溢れようとしている。
「ばかっ殺気を抑えろよ。おめぇに魅力なんてねぇだろ」
「なんだと!」
今にも戦力が少なくなりそうだ…
「痴話喧嘩はともかく、状況を整理しましょう。」
そういって一度顔を引っ込める。
「まず、見張りの二人を始末して、武器を奪いましょう。その後は先程言った通りに、
俺が首領たちを狙いますので、残った盗賊たちをお願いします。」
確認するように俺は言うと、ドルイドさんは
「問題ない。ただ、普通の剣なんていつぶりかな?まぁ早く盗られて武器を取り換えしゃあいいのか」
「私も問題ないよ。ドルイド、あんたはとりあえず自分の武器を取り返しな。そのあとはバリーさんと聖女ちゃんを守りながら、襲ってくる盗賊を相手にするよ。ところでハクト?
見張りをどうやって無力化するきだい?声を出されたら意味がなくなっちまうよ?」
当然のことを心配してくれるセルロスさん。
「大丈夫です。あまり公にしたくないのでこれも秘密でお願いしますね。」
俺はポケットから取り出すふりをして偽装して手袋状態にしたガントレットを取り出す。
「手袋?何に使うんだ坊主」
バリーさんは不思議そうに聞いてくる。
「それはお楽しみってことで。」
笑いながら答えてみると。
「いやぁ…奴隷になるかもっていうピンチに手袋出されても不安になるだけだぞ」
呆れながらバリーさんはつぶやく。
「おい!こっちは準備も覚悟もできたぞ。」
ドルイドさん達も準備できたようだ。
「では、俺が見張りに仕掛けますので、武器を奪ったら作戦開始です。」
「「了解っ!」」
俺は魔力を込めて糸を出す。頑張って特訓した結果。両方3本ずつ出せるようになった。
「糸だと…?」
バリーさんは不思議そうにつぶやく。
その間にも糸は見張りの首を目掛けて移動する。幸い闇の魔力を込めているため、暗闇でも視認されにくい。
見張りに気が付かれることなく、首まで到達する。そのまま糸を勢いよく引き絞る。
「「あっ」」
見張りは自分たちが首を切られてことに気が付くことなく、命の火を消した。
初めて人を殺したが、あっけないな。やはり前世での知識があるからだろうか?
頭と体が落ちてしまうとその音に気付いてしまうので、残り2本の糸で頭と体を回収する。
「はい。ドルイドさん、セルロスさん。少しの間ですがこの武器を使ってください。」
死体から武器を押収し、2人に渡す。
「「………えげつねぇ」」
顔を引きつらせて武器をもらう2人。
「…ん?どうしました?早く残りも始末しましょう!」
そういって荷馬車を飛び出して、次の獲物を狙いに行く。
2人は一拍遅れて飛び出した。
続けて俺は6本の糸は盗賊達の首に這わせていく。先程みたいに、音を隠す必要もない。
くくれた糸を次の獲物目掛けて操作する。2人の方が騒ぎになったタイミングで刈り取ろう。
息をひそめて、まっていると。遠くの方で
「て…敵襲だぁ―――!!」
盗賊の襲撃を告げる声が聞こえる。
首領は
「何だってんだ?こんな辺境な場所で?魔物か?」
近くの部下は
「いえ、その線は薄いかと。ここで野営する際に周囲の魔物は狩っています。
それに、ここら辺はゴブリンやウルフ程度の雑魚しかいません。」
首領は考えながら、
「なら魔物の線は薄そうだな。ゴブリンごとき敵襲とは思わん。まさか主とは別の勢力なのか?」
近くの部下は考えながら、
「その線は薄いですね。主の方からは、聖女候補を狙っているのは複数あるそうですが、辺境で潰そうとしている勢力はないと聞いています。」
思った以上に盗賊達は賢い部類らしい。多分どっかの騎士とかじゃないか。
まぁいいや。
「ふむ…。その線も薄いとなると…!?伏せろ!」
一瞬の殺気に気が付いたのだろう。首領は部下に命じた。しかし、
「「「…えっ?」」」
反応は無数のあっけにとられた声と宙を舞う部下の首だけだった。ちっ2人逃したか。
「くそっ!いつの間にこんな距離まで攻められているんだ?」
殺気に気が付いた首領と先程話をしていた部下はあたりを警戒している。
「そこです!」
小さな気配に気が付いた部下が俺目掛けて懐に忍ばせたナイフを飛ばしてくる。
遅いな…。俺は糸で持ち手のところを持ち投げ返した。
2人はナイフを避けると同時に武器を構えて警戒している。
そして、ゆっくり姿を見せる。できるだけ笑顔で
「こんばんは~。随分楽しそうですね~。」
「なんだ…?ガキだと。てめえどこから来た?」
警戒を緩めることなく首領が尋ねる。
「首領!こいつ荷馬車の中にいた、混じり物ですよ!」
「ご名答。当然で申し訳ないが、俺はこんなところで人生終わりたくない。
悪いけど、死んでくれるかな?」
首領は顔を赤らめて、
「ふざけんな!俺の仲間を殺しておいて、適当なこと言ってんじゃねぇぞ!」
「知るかよ。お前達こそ俺と一緒にいた商人殺してんじゃねぇか。なんでやられたことをやり返して怒鳴られなきゃならねぇんだよ」
「んだと!俺たちは正義の依頼で動いている。多少の犠牲はつきものだろう?」
盗賊のくせに正義感と来たか。ますます盗賊じゃねぇな
「じゃあ俺の正義のために死ね」
そういって糸で攻撃をしかける。
首領は盗賊には似合わない長剣を手に持ち糸の気配を探る。
「部下をやったのはこの糸か!からくりさえ判れば!」
首領は2本の糸を躱しながら、肉薄するように俺目掛けて突貫してくる。
「もらった!」
最小限の動きで剣を振るってくるが、
「悪いが、クロスレンジも得意なんだよ!」
刀身の横を掴むようにして、剣の刀身を破壊した。
「なんだとっ?」
「じゃあな「そこですっ!」っつ!?」
首領の顔の横すれすれをナイフが飛んできた。わざわざ死角ができるのをまっていたようだ。
「だけど!」
左の糸でナイフを無力化し、部下の方に糸を向ける。
「まだまだっ!」
首領はいつの間にか死んだ部下の剣を拾い再度攻撃を仕掛けてくる。
どうやら、完璧に敵と認識したのか、動きを封じるためではなく殺しにかかってきている。
一旦距離を置くと、首領はさっきとは違い冷静になりながら
「少年と見くびっていたが、反応速度・判断力・戦闘能力に優れた化け物だな」
首領は元の口調はなく、静かに語る。
「そうですね。隊長と戦いながらも私への攻撃を休めることなく行っていた辺り、相当な手練れですよ。」
部下の方も本気モードなのか、口調が違う。
「最近はあまりちゃんとした仕事をしていなかったが、久方ぶりに騎士らしいともいえる。」
騎士って言っちゃったよ!もう隠す気がないよ。
「場所が違えば、隊にスカウトしたいところですね」
部下も隠すことなくはなす。
「2人は盗賊なのでは?口調が乱れていますよ?」
とりあえず突っ込んでみよう。
「気にしなくていい。すでに貴様が死ぬか私たちが死ぬかの状況まで来ている。ならば、貴様の口を封じるまでよ。」
再度仕掛けてこようとする隊長だったが。
「じゃあもう…俺の勝ちですね」
「何だと…?…まさか!」
隊長は素早く首筋に手を伸ばし、くくられた糸を取り除こうとするが、
志半ばで腕が止まってしまった。
「よく気が付きましたね。けどまさか四肢も括られているとは思いませんでしたか?」
そう俺は2人と戦いながら、1本ずつ糸を絡めていたのだ。
わざと2本の糸を少し視認しやすいように光が反射するようにし、もう1本も細く光を反射しないようにしていた。
「貴様いつの間に?」
「いつって?そりゃ戦う前からですよ?」
隊長は驚きを隠せずに、
「じゃあ戦っている時点で糸はすでに括られていたのか?じゃあ先程までの戦闘は一体何だったんだ?」
「なんでって、そりゃあ村の外の人達はどのくらい強いのか確認するためですよ」
俺はさも当然のように答える。
別の村にいったこともなく、人と戦ったこともない。つい先程人を初めて殺したのだ。
外部の実力なんて知る由もなかった。
「試していたというのか…。聖国所属の部隊長の1人である私を…」
落ち込みながらつぶやく、これで部隊長なんだ。強いが圧倒的ではないな。
「ふっ…私たちの負けだ。それで?何を話せばいい?主の名前か?目的か?それとも、それ以外の何かか?」
諦めながら隊長が尋ねてくる。
「あぁ?そんな情報いらん。お国の問題は国でやってくれ。」
「!?じゃあなぜあの聖女候補に加担する?」
声を荒げて聞いてくる。
「いや加担なんかしてないぞ。俺はただこんなところで死にたくないから、やってるだけだ」
当然のように答えると、
「そんな…じゃあ「ふざけないでください!」」
割り込むように部下が叫ぶ。
「私たちは崇高な思いを持っているというのに、そんなくだらないような理由で…、
ふざける「あぁもう聞き飽きた」」
俺は部下をくくっている糸を操作して四肢と首をバラバラにした。
俺はあきれながら
「崇高だとか偉大とかどうでもいい。俺には関係ない。冒険者になる予定な人にそんな言葉は響かないよ」
「き…きさま…」
部隊長を括っている糸を操作して、同じようにバラバラにした。
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