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つまずき

少し長めになります

5年も1年もあっという間だったので、二日なんてすぐだ。


1ヶ月ぶりの行商人のバリーは陽気な声で、

「よう!坊主!父ちゃんや母ちゃんは説得できたか?ってもその荷物を見る限り説得できたようだな。」

がははと大きな声で笑いながらバシバシと叩いてくる。


「おめえさんの家事能力については期待もしてるから、道中も頼むぜ。」

そういって運んできた荷物と交易する荷物を確認しに戻っていった。



荷物の積み替えが終わるのをボケーっと待っていると後ろから、

「そろそろだな」



「父さん…見送りに来てくれたの?」

きっと仕事を中断してまで来てくれたのだろう。



「当たり前だろう?愛息子が遠くに行くんだ、ちゃんと見送ってやるさ」


「そうよ。まさか何も言わずに出ていくつもりなの?」

父さんの後ろにはジト目の母さんがいた。

「あはは。相変わらず自由だねハクトは」

農作業で顔が土で汚れているが、イケメンだな…。




「みんな見送りに来てくれてありがとう」

それから家族の時間を楽しんだ。




「おーーい!!坊主!出発するぞー」




持っていく荷物を担ぎながら。

「それでは、行ってきます。」




「「「行ってらっしゃい」」」

みんな明るく送り出してくれる。



さぁ俺の新しい冒険が始まるぞ!!















なーんて思っていた時期が俺にもありました。




気が付いたら手錠をかけられていました。

嵌められたかと思っていましたが、隣にはバリーのおっちゃんが申し訳なさそうにいます。

「すまねぇな坊主。今までこんなことなかったんだがな…」


そう切り出したあとことの顛末を語ってくれた。いわく




街道を移動中、盗賊に襲撃されている馬車を発見。

幸い盗賊の数が少なく、救出をするため護衛の冒険者を向かわせた。

始めは順調だったが、どうやら潜んでいた盗賊がいたらしく。気が付いたら包囲されていた。



そして今に至るとのこと。俺?寝ていましたよ?危機察知に反応することがなかったので、

おそらく数の暴力に負けたのだと思う。まったく頼りないばかりだ。



とりあえずは現状把握かな。



捕らえられているのは、俺を含めて5人だ。

助けようとした馬車の護衛や商人は代表のバリーを除いて殺されてしまったようだ。


俺とバリーは置いておいて、荷台の奥の方で座っているのが、助けるはずだった1人だろう。


聖職者のような身なりで俺と同じくらいの人族の女性。今もブツブツとお祈りをしているのだろう。




残りは村に来た際に、護衛を務めていた冒険者が2人



1人は面倒見の良さそうな女性冒険者のセルロスさん、もう一人は少しクセがありそうな男性冒険者のドルイドさんだ。


2人は斥候約の男性と魔法使いの女性で構成しているパーティー「星の導き」だそうだが、今回の護衛任務には不参加だったようだ。


なぜなら、ここから王都までの街道は魔物や盗賊が少ない。というのも、魔物は大気中の魔素が濃いところに集まる習性がある。

ここら辺は魔素が薄く魔物側からしてもメリットがないようだ。



盗賊については簡単だ。単純に人の流れがない。

ここは大陸の最北端に位置している。そのため、マジハ村に用事がありそうな人以外に訪れることがない。




「はぁ~しくじっちまったね~」

女性冒険者はため息まじりにつぶやく。


「全くだな。セラタスがいれば潜んでいる盗賊にも気が付けたんだがな…」

悔しそうに男性冒険者はつぶやく。


「坊主もすまないねぇ。タイミングが悪いっていうのかな。冒険者になりたいってんだろ?

先輩としてこの場から逃してやりたいが、どうしても人数がね…」


女性冒険者のゼロウスさんは俺に話かけてくる。


「そうだな~二人でならあのくらいの盗賊相手なら10人くらい相手できるはずなんだがな…30人くらいいるし、何より首領が腕利きだ。あいつには手こずりそうだな。」

男性冒険者のドルイドさんは諦めがちにつぶやく。




そんな中、

「皆さん諦めないでください!神は必ず私たちを見てくれています。このような困難でも救ってくれます!」

急に部屋の奥から声を荒げる。




そんな彼女にゼロウスさんは少し呆れながら。

「えぇ~っと、すまないねぇ聖女ちゃん。あっ候補だったかな?私たちは無宗教でね~。確かにこの状況は救ってほしいが神さんもそんな余裕もないでしょ。」



「そんなことは…!」



反論に重ねるようにドルイドさんは

「だったら、捕まる前に助けてほしいよな。」



「…っつ!」




あぁ~あ黙っちゃったよ…

「そんなこといって言わねでやれよ。聖女ちゃんだって困ってんだろ?」

諭すようにバリーさんは告げる。




確かにこの状況は難しいだろうな。


手には魔力を封じる手錠がつけられている。これで魔法を外に放出できないし、身体強化の魔法などを使ったとしても、約9割減くらいなので意味がないといった優れものだ。


ただの盗賊が持つには少し違和感もある。それに聖女さん候補がこんな辺鄙な村付近にいるのもおかしい気がする。どうやらこの街道を逸れた先にある聖国が設けている修行場に用事があったらしい。



おそらく聖女さん候補の敵対勢力とかの差し金じゃないかな?



まぁあいにく関係ない話だ。




それよりも、この状況を打開しないとな…。


魔力がカットされても、使える魔力があるならできるでしょ。黄龍眼の魔力制御が終わってからも毎日魔力の枯渇をしてきたから十分あるだろう。


黄龍眼を発動して、手錠を確認する。発動するがいつもより激しい。やっぱりな少しもやがかかるが、魔法陣が刻まれているのが見える。


それにしても面白い機構だな、錠をすることで魔法陣が完成して発動する仕様なのか。


これなら遅延的に魔法陣が使えたりするのかな?




けど特殊な機構だからだな…少しのほつれで簡単に破壊できそうだ。そして指に魔力を込めて、細い糸を出す。


狙いは魔法陣の無効化だ。




魔法陣の魔力供給式を打ち消して、とその前に異常があったときにアラートを出す魔法式を消しておかないとな。


糸に魔力を込めて魔法式を書き換える。






…よし。解除完了だ。あとは、




「皆さん。聞きたいことがあります。」

開口一番にみんなに尋ねる。




「どうした坊主?漏らすのか?」

なんてデリカシー皆無な野郎だな。バリー…。


「おいおい。漏らすならせめて端にしてくれよ?」

そうじゃないよドルイドさん…。


「そんなこといってないじゃないかい?えぇ~っと、ハクトだっけ?どうしたんだい?」

やっと覚えてくれたんですねセルロスさん


「……」

聖女候補さんは無視らしい。




まぁいいや。

「まずドルイドさんとセルロスさん。仮にですが、首領を除いて10人程度なら相手にできますか?」


ドルイドさんとセルロスさんは


「なにを思い付いたかは知らないが、10人程度ならできる。」


「ああそうだね。あの程度ならできるよ」




「ありがとうございます。次に全員に聞きたいのですが、奴隷になりたいですか?」


きっとこのまま捕まっていたら、奴隷まっしぐらだ。


「そりゃなりたくねぇよ。せっかく冒険者として活躍の場も増えてきてんだぞ?」


ドルイドさんに賛同するかのようにセルロスさんは頷いている。


「俺もまだまだ、見たことない商品を求めていかないといけねぇ」


ほんとに商魂半端ないな。




「私は神に仕える身です。奴隷になど、神が許しません!」


声を荒げて叫ぶ。気が付かれてしまうじゃないか。


魔力の封印が解除されていたので、防音結界を張っていてよかった…。




「落ち着いてください。皆さんが奴隷になりたくないのはわかりました。では最後になります。これから俺がすることを他言無用でお願いします。」


真剣な口調で伝えると、


「何があるかは知らないけれど、私たち冒険者は他人の秘密は守るよ」


「そうだな。商売にとって信用は一番価値のあるものだ。坊主が俺のお得意さんになってくれることを信じて守ってやるよ。」


「神に仕えし私たちは、秘密を抱えるようなものもたくさんいます。それでも神に仕えるもの同士結束できています。ですので、私も守ります。」


各々の反応が返ってくる。




「わかりました。では」


そういって俺は手錠を外す。


「「「「…っつ!?」」」」




「ふう…。手首を拘束されるのは苦痛ですね。」


拘束された手を労っていると、


「お…おっお前何したんだ!?これって奴隷とか犯罪者の拘束に使うやつだろ?魔力は封じられるし、力で開けようとするとアラームの後に爆発する代物だぞ」


バリーが驚きながらまくしたてる。




「仕組みさえわかってしまえばどうってことないですよ。」


あっけないかの様に語る。


「とりあえず、俺は手錠を外せるってことでいいじゃないですかー」


誤魔化す様に話す。

「…はぁもういいよ。他言無用ってことだし、教えてくれねぇんだろ?」


諦めたかのようにバリーはつぶやく。




「それでは、この後皆さんの手錠も外します。そのあとに、盗賊たちに奇襲を仕掛けます。」


そこでセルロスさんは、


「ちょっと待ってくれ。確かに手錠が外せたら、盗賊どもに奇襲を仕掛けられるが、数の面でこっちは不利だ。バリーと聖女ちゃんは戦闘力がないだろ?私たちに30人相手にしろっていうのかい?」

無茶を突き付けられたかのように思っているのだろう。




「そこは大丈夫です。セルロスさん達は先程のお話通り、10人程度の相手をお願いします。


首領と他の盗賊については、俺の方で処理します。」


安心させるように伝えるが、


「ふざけないでおくれ!あんたが20人以上相手にするってのかい?そんなものは勇気じゃないよ。無謀ってもんだ。」


逆効果だったのだろうか?セルロスさんが怒鳴ってくる。




「落ち着け。」


ドルイドさんが、冷静にかつ鋭い雰囲気をだしている。


「だけどねぇ!」

「だから、落ち着けっての。」

食い下がるセルロスさんをよそのドルイドさんは




「坊主…いやハクト。1つ聞いていいか?」

「なんでも」




「バカみたいな作戦だが、できるのか?」

「できます。」




少しの間ドルイドさんと見つめ合っていると


「…はぁ仕方がないな~。どうやらハクトは無茶を言っているわけじゃないしな。」


観念したかのように、息をつき


「お前さんの期待に応えられるように頑張ってやるよ。ただし!申し訳が今の俺たちじゃ10人程度が限界だ。お前側に加勢することはできないからな」


そういって、ドルイドさんは精神集中し始めた。




「あぁーもう。こうなったらドルイドは意地でもやっちまうんだ。ハクト!あんたに背中は任せるよ。」


セルロスさんも諦めてようだ。




「ありがとうございます。ではまず手錠を外しますね。」


俺はみんなのところに回り手錠を外す。




「ふぅ手錠はもうこりごりだな」

「ほんとだねぇ。」

「手錠を外す技術ってのはいったい何なんだ…?」

「…けど少しだけさみしいですね」


各々のほんの・・・・・・えっ?




聖女ちゃんは照れながら


「な…なんでもありません!」


と反論していた。人それぞれなので気にしないでおこう。




「さて、俺たちは準備ができたが、ハクト。お前はもう大丈夫なのか?」




「はい。ばっちりですよ」




「よし。なら、外の状態を伺って、タイミングよく奇襲を仕掛けるよ。」




さぁ反撃だ。



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