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初陣③

続きになります

【どうやらあの獣どもは餌をとることもできなかったか?】


さも当然のように鎧は語る。




「そうだね。あんな程度なら、ペットと戯れているのと変わらないね。」




僕は再び糸を出力し構える。


「さぁ第2ラウンドだよ!」


魔法陣で「ピーピングミスト」を発動する。霧による目くらましだが、発動者に影響はない。


水魔法に捉えられがちだが、幻魔法となる。合わせて、「ウォーター」と「ファイアボール」を発動して鎧に目掛けて放つ。




【霧だと…?いやこれは幻影か…っつ!なんだ豆鉄砲じゃないか。どうした?遊んでほしいのか?】


ビクともせず攻撃を受けるが、それが命とりだ!




「じゃあもう少し、どでかいのをプレゼントだ!」


雷魔法の「サンダーボルト」を発動する。


「鎧ごと、溶けろ!」




甲高い音がなり粉塵をまき散らす。


まだこの手を止めるわけにはいかない!6本の糸を別々に操作し、続けて魔法を放つ。




【おびただしい魔法の数だな。素晴らしい逸材ではないか…。だがもう終いk…!?】


スキを見せたな!僕が魔法と糸しかできないと思っているのだろう。


だからこそ、ここで僕は剣を使わせてもらう。聖魔法「聖光」を剣の形にして振るう。


【ふははははぁっ!我に剣で挑むか。魔剣の我に。受けてやろうではないか!】


僕は双剣術の恩恵を活用し、剣戟を繰り広げる。


【よきかな、よきかな。剣筋も素晴らしい。依り代も才能はあったが貴様程ではないな!】


「お褒めにあずかり光栄だ!」


激しい剣戟を繰り広げるなか、僕は魔法陣を構成する。

「滅べぇぇーーー!」


僕は再びアイシクルブレードを鎧目掛けて突き刺す。


鎧は心臓付近に剣が刺さりながら吹き飛ぶ。ガシャンガシャンと音を立てて地面倒れこむ。











だが、鎧は無慈悲にも立ち上がり、


【あー素晴らしい。復活したばかりでまだ身体になれていなかったが、よい運動となった。


そろそろ時間も惜しいので、終わりにしよう】


一瞬鎧がブレた気がした。



その瞬間、寒気がした方向にガントレットを構えることができたが、衝撃とともに声がする。


【反応できるか!だがまぐれであろう。現に我をとらえられてはいないのだからな!】


声が聞こえる方と与えられる衝撃の方向があべこべだ。先程までは本気を出していなかったということなのか。




一方的な攻撃が続く。




どれだけ続いたのだろうか。今は防ぐだけで精一杯だ。それに一部は防げずにもらっている。




意識が朦朧としてくる

(やっぱり僕には無理だったのか。力があっても使いこなせなければ意味がないよね…

もっと早く訓練をすればよかったな…ごめんなさい父さん母さん兄さん…先に逝ってしまいます。)




意識を失いかけたその時…



【もう終いか?あっけないものだな。魔法に長け、近接をこなす優秀な餌だったが、所詮は餌だな。あと数年あとであれば脅威となったであろう。】


何を言っているのかあまり聞き取れないが、褒められてはいないのだろう。




あぁ悔しいな…




………







『……契約を果たそう…』




頭の中にはっきりと聞こえる




誰の声だろうか…聞き覚えがあるような、確か黄龍眼を受け取った日に聞いた気がする…。




『少し身体を借りるぞ』


「…だれなの…?」


頭の中に直接伝わる


『私は前世のお前だ』




【なにを喋っている?死を前に血迷ったか!?】


鎧は僕を吸収するように剣を突き刺そうとする。




だが剣が僕に刺さることはなかった。剣は多数の糸で止められていた。


『おいたが過ぎるぞ、なまくらごときが図に乗るな』




【なんだとっ!?】


鎧は驚愕するとともにバックステップで距離を開けた。




『ふむ。なまくらにしては反応がいいな。だが遅いかな。』


僕の近くには左肩までの腕が落ちていた。




鎧は気が付いていなかったのだろう。切れた左肩から赤黒い煙が漂う。


鎧は驚きを隠せず、


【貴様?一体どうなっている?あとは我の血肉となるだけだっただろう?なんだ貴様は?】




私は気にした様子もなく

『私か?今はハクトだったかな?さっき名乗っていただろう。鎧の中は空っぽなのかい?』

あざ笑うように伝える。




『まぁ私はハクトの前世の魂だ。ガントレットの魔石に「成人となるまでに命の危機が訪れた際、一度だけ助ける」という魔法を私の魂の一部と共に書き込んでいたのさ』


そういうことだったのか…




【前世?何を意味不明なことを申している。だが所詮は小僧。力の差を教えてやる!】


鎧は再度距離を詰めていく。




『死に急ぐなよ。そして来世の私はもう少し戦いを学びな』

糸を10本出力し、鎧を拘束するように追い詰める。




【同じ手を!切り裂いてくれる!】


剣を振るって、糸を切ろうとするが糸は切れるどころか意思を持つように剣をすり抜けていき鎧へ絡みつく。




【ぐっ!?】


『糸をなめるなよ。』

糸を引き、鎧を持ち上げる。投げ捨てる




『今の魔力では心もとないが、仕方ない。』


そういうと複数の糸を操り、魔法陣を作成する。

1本の糸で複数の魔方陣をつくる。




『早く使えるようになってほしいものだな』

魔法陣が完成すると様々な超級魔法が発動する。火・水・風といった様々な魔法が放たれる




【く…くそ…クソガキがぁぁああ!!】


浴びるように超級魔法を受ける鎧




半刻くらいだろうか。




煙が晴れていく。おびただしい魔法を受け続けていた鎧は無事だろうか?


【はぁ…はぁ…ふははははぁ!耐えたぞ。耐えきったぞ!これだけの魔法を使えば魔力は残っていないだろう。だが我はまだまだ】


再び血管のようなものが脈打ち始めて鎧が元の形に戻っていく。


切ったはずの左肩と左腕も治っていく。


まだ復活するのか…?



私は気にすることなく

『ふむ。自動再生能力かな。だがもう終いだ。この場に魔力が溢れているから気が付かなかったかもしれんが、哀れだな。』




【ぬかせ!貴様の魔法に耐えきったのだ!今更負け惜し『お前はわからないのか?貴様の横腹を抉った魔法を』み……まさか!?】




『喜べよなまくら。この世界で初めてX級の魔法を受けて死ねるぞ』


私は糸で鎧を拘束すると同時に聖魔法を発動する。私の背中に7本の剣が浮かぶ。

なんて神々しいのだろう。1振りで国一つ滅ぼせそうな気配がする。



『なまくら風情で調子に乗るなよ!』


6本の剣は両足・両腕・頭・剣に刺さる。最後の1本を持ち。


『滅べ!!』


心臓に突き刺し。


『七聖剣』


見たことも聞いたこともない魔法が目の前に溢れている。


これもいつか使えるようになるのかな。




【クソがぁ―――我はまだ人を殺めていないのだぞ。血肉の糧となる餌どもを食らっておらん。まだまだ…まだまだだぁ―――】

鎧は身体中に罅が入り割れていく。残ったのは赤々しい魔石のみだった。




『さて、約束はこれで終いだ。来世の私よ。精進しろとは言わない。自由に生きろ。

一度きりの人生だ。私のようにはなるな。

生まれる場所は選べないが生き方は選べるのだからな。』


言い残すと、少しずつ意識の表層が僕に変わっていく。



残されたのは魔法でできたクレータと、満身創痍の僕だけだ。




落ち着いてくると先程の戦いで思い知らされたことがこみ上げてくる。




何もできなかった…前世の僕はあんなに簡単に戦っていたのに悔しいな…。


結局前世に頼りっきりだ。スキルや武器、それに今回は命まで助けられた。


僕が弱いからだ。もし前世が助けてくれなかったら?守ろうとしたものを全部失ってしまっただろう。こんな田舎に近衛騎士や高ランク冒険者はいない。

村は荒らされ、人は蹂躙されて残るのは村だった痕跡のみ。




今回みたいに何も失わなかったのはまぐれだ。僕の前世がすごかっただけ。

だけど、僕に力を使いこなせていればちゃんと守れていたんだ。




……強くなろう。




村人で終わらせない。昼行灯?弱ければ意味がない。

ただ強くなるだけじゃない。それはきっと破滅の道だ。


守れる強さを持つ人になるんだ。そのためには、僕は…俺は世界を知る!




俺は断罪者の魔石を広い足を引きずりながら、帰路についた。




初陣は、俺一人の大敗だ。

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