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聖域の主からの依頼 その2

お久しぶりです。

生きてます、生きてますよ?

 テラスにて風に揺られキラキラと輝く銀髪はまるでファンタジー小説の挿絵のように非常に幻想的で、息を呑むほどの美しさとはこういう事なのでしょう。


「この世は常に争いに満ちています。私はこの世界において神々に決められた理であると理解しています。しかしながら、定めらしことわり以外の方法で他国を我物にしようという者達がいるようです。その者達を調べて欲しいのです」


 ナツェーリア様は真剣な表情でそう言いました。


「調べるだけ……ですか?」


 私は小さく首を傾げて訊きました。どこか不思議と幼いイメージのナツェーリア様ですが、微笑むと何故か妙に大人っぽく見えるのは不思議です。すると、私の視線に気が付いたのか彼女は不思議そうな顔をしますが、再び真剣な表情に戻ります。


「はい、調べるだけで結構です。ただし、戦わざるを得ない場合は可能な限り戦争によって解決していただけると助かります」

「宣戦布告をする時間が無い場合はどうすればいいの?」


 と、るーこさんが興味深そうに瞳を輝かせています。と、いうか何が興味深いのか私には少し分かり兼ねるのですが、そういうるーこさんもまた素敵だなぁ~。なんて、思わず思ってしまいます。


「その場合は仕方ありませんね。ですが、可能であれば小規模戦や小規模拠点戦などで布告対応してもらえると大きな問題にはならないと思います」

「この件はGMとかも絡んでると考えていいのかな?」


 そう言ったのはクオンさんです。ナツェーリア様は「はい」と、綺麗な声で返事を返します。


「あの、調べる……他国というのはマイゾ王国なのでしょうか?」


 私がそう訊くとナツェーリア様は小さく微笑むだけで、何も言わない事を選択したようです。肯定というより否定なのでしょうか――だとしたら、今までの情報から考えると何とか商国とかいうところなのでしょうね。


「え、えーっと、なんたら商会? 違いますね商国でしたっけ?」

「娘、ラペルト自由商王国だ」

「あ、それです。エミリア様、ありがとうございます」


 私が礼を言うとエミリア様はプイと顔を逸らせ何やらブツブツと呟いています。うーん、恥ずかしがり屋さんのようですね。あ、古くからの言い回しで言えばツンデレというヤツですね。


「商王国の方って、αから参加してる奴らが居たわよね」

「ああ、【熊壺商会】ってところのカイゼルとかかな。他にもいたと思うけど、職業を商人で固めてる、いわゆる商人系ギルドってヤツだな」


 商人なんて職業がプレイヤーとしてもあるのですね。料理人があるくらいですから、それくらいあって当然……かもしれませんね。


「もう一つ、情報だ。奴らは妙な物を市場に流している。お前たちならそれが何か分かるだろう。いくつかの国が警戒しているようだ――が、まだ危険視さえもしていない国が多いので、それも含めて調査して貰えると助かる」


 と、エミリア様は少しぶっきらぼうな雰囲気で言いました。はじめての日も森を案内してくれた、とても優しい方ですが、仲良くなるとツンケンするタイプなんですかね?


「ああ、あの件ね。そこら辺は愚弟クオンがなんとかするわよね?」

「仕方ないね。まぁ、元から情報収集してた内容だからいいけど。因みに西の動乱に関しては放置で大丈夫かい?」


 クオンさんがそう言うとナツェーリア様は楽しげに微笑みます。


「ひとまずは問題無いと思っております。知り合いの好奇心旺盛な方がきっと様子を見てくれると考えておりますから」


 と、ナツェーリア様は涼し気に言いました。私にはどういうことか、サッパリ分かりませんが、クオンさん達は何か思うところがあるようです。けれども、私はとても気になったので訊いてみる事にしました。


「西の動乱とは? それに好奇心旺盛な方とは私は知っている方なのでしょうか?」


 そうすると、皆は不思議そうな表情をします。ナツェーリア様はエミリア様に視線を向けると真剣な表情でエミリア様はコクリと頷きます。その様子を見ていたクオンさんは少し苦笑します。


「ふむ、この男から事情を聞いていると思っていたが、どうやら違ったようだな……いいだろう。現在、大陸の西側にあるギルムレッド帝国の大陸への入口になっている国が帝国へ反旗を翻し、現状で言えば内戦状態となっている」

「……それは大変ですね。しかし、ここウィンブレール共和国には影響はあまり無いのでは無いでしょうか? 確かに以前、ガンムナル城塞で戦った相手国ではあると思いますが、現在も我が国が防衛維持している状態ですよね?」


 私の言葉にエミリア様は目を閉じて腕を組んで重苦しい雰囲気を醸し出しつつ、大きく息を吐き。再び目を開けて私に鋭い視線を向けます。


「現在、ヴェルハーサにおける勢力図を考えればギルムレッド帝国が最も勢いがある。北の獣王国ライゼガングの攻勢がなければ、戦闘大陸の覇権を取っていた可能性もある。本来は我が国からも離れている相手を警戒せねばならん状況というのも問題ではあるのだが、いかんせん西の小国達は防波堤にもなっていないからな……ガンナムル城塞も今は多くの者達によって支えられているが、それもどこまで続くかは誰も補償はできない」


 エミリア様は少し言い過ぎたと思ったのか、少しだけバツの悪そうな表情を浮かべてから小さく咳ばらいをします。ですが、彼女の言いたいことも何となく分からなくはないと私は思いました。


「――ともかくだ。西のギルムレッド帝国の動きは多くの国にとって今、もっとも強い関心事であるのは確かだ。先程の質問だが、そこの男から聞いていないのであれば君は知らない人物だろう」

「そうなのですね。つかぬことをお伺い致しますが、その方はエミリア様に近しい方なのでしょうか?」


 と、私が言うとエミリア様は驚いたような表情を浮かべてナツェーリア様に助けを求めるような視線を向けます。ナツェーリア様の見た目はとても幼く見えましたが、その姿はとても落ち着いていて母のような慈愛に満ちた瞳で小さく微笑みました。私は思わずその素敵な笑みに見惚れてしまいます。


 ええ、もうまるで女神様のような雰囲気でした。


「エミリア、落ち着きなさい。流石クオン様やるーこ様がお選びになった方ですね。非常に優れた洞察力をお持ちのようです。それにしても、エミリアはもう少し冷静になった方がいいのではないかしら?」

「も、申し訳ありません……」


 ナツェーリア様とエミリア様のやり取りは、大人っぽくて素敵なお姉さんなエミリア様が、見た目では非常に幼く見えるナツェーリア様の方が大人っぽくて落ち着きのある感じに見えるのがとても面白いですね。


「それと、報酬についてですがこちらから提案するのはこれになります」


 と、ナツェーリア様は3次元的に見えるマップを目の前に広げ、それをクルクルと回転させて見せてくれます。


「現在、傭兵団のアジトを所望していると聞き及んでおります。聖域内に幾つか所有している屋敷のうちの1つではありますが、中々の良物件だと思いますよ」

「って、聖域って私達は普通には入れないんじゃ無いの? それに私達が希望してた拠点と違うんだけど」


 るーこさんはマップを覗き見ながらそう言った。首都からは随分離れた場所ですが、中々の雰囲気のあるお城を使えるかお伺いを立てていたハズです。それに確かにるーこさんが言うように、聖域はプレイヤーが入ると強制的に森の入口へ転送されるみたいな事を言っていたハズです。


「申し訳ありませんが、あの城は議会からも許可が出そうにありませんでしたので、今回の報酬に関しては私の一存で決めさせて頂きました」

「それは……何と言いますかご迷惑をお掛けしたようで」


 と、私が言うとナツェーリア様は優しく微笑む。とても幻想的な感じに思わず私は息を飲んでしまいます。しかし、るーこさんは納得出来なかったのか、少しムッとした感じの表情をしています。うん、可愛いですね。


「ラスタシーアの古城って使われてないし、橋は朽ちてるじゃない? 城の中は大丈夫みたいだけど、あのまま放置してるなら使った方がいいと私は思うんだけど、どうして許可がおりないの?」


 るーこさんの言葉にエミリア様が何かを言おうとするのをナツェーリア様が制止してにこやかに微笑んだ。


「実のところ、あの城は色々と曰付きの場所なのです。議会でも一部では許可を出してもよいのでは無いか――との声もありましたが、申し訳ありませんが、私からも反対を申しださせて貰いました。不服かもしれませんが、言えない様々な理由がありますのでご理解頂けると幸いです。なので、聖域にある屋敷を報酬として提案しております」

「――曰付きね。それはいいとして、聖域にあったら入れないじゃない? そこはどうする感じ?」


 そこに関してはクオンさんも気になっていたようで、ナツェーリア様に視線を向けます。再びエミリア様が不機嫌そうな表情になりますが、ナツェーリア様にチラリと見られて彼女はソッと視線を外しました。


「はい、【鋳薔薇の森】に所属している方には特別に聖域へ入る許可を付与致します。以前の報酬に関しての代替と足して今回の報酬だと考えて頂けると……」


 ナツェーリア様の言葉にるーこさんは小さく息を吐いて「ま、仕方ないわね」と、言って私の方を見る。私に決を促すようにクオンさん達もこちらに視線を向ける。私は小さく頷いて、ゆっくりと深呼吸するように深く静かに息をゆっくりと吐いて口を開きます。


「今回の依頼、拝命致します。報酬に関しましてもナツェーリア様が仰るように致します。色々と私達に気を配って頂き感謝致します」


 と、私は深く頭を下げて言うと、ナツェーリア様は「有難うございます」と、言ってから「頭を上げて下さい」と言いました。


 私は頭を上げてナツェーリア様を見ると、彼女は少し困ったように微笑んでから、少し恥ずかしそうに言うのでした。


「出来れば、堅苦しいのは無しにしたいのです。そ、その――皆様とは、お、お、お友達としてお付き合い出来れば嬉しいのです」


 と、可愛らしく恥じらうのです。うん、可愛いですね。


 そして、私達の新しい任務が決まったのです。

ユーナ「なんだか、突飛な話で全然ついて行けないんだけど」

るーこ「深く考えなくてもいいのよ。楽しけりゃ」

ユーナ「そう言われてもねぇ」

ちえるん「るーこさんの言う事にも一理ありますよ。それに美味しいオヤツがあれば皆幸せになれます」

ユーナ「いや、そういう事じゃないでしょ?」

るーこ「いや、美味いオヤツと美味い飯は重要だ」

ちえるん「でしょ? あ、今度ドラゴンの肉を狩りに行きましょう」

るーこ「いいな、まぁ、伝説クラスは狩れないのが残念だけどね」

ちえるん「そうですね。きっと美味しいと思うんですけどね」

ユーナ(入る傭兵団間違ったか?)



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どうも、もいもいさんでございます。

色々と浮気して執筆している間に、こちらの更新を一年近くも放置しておりました。

……が、チマチマと書いてはいるんです。いるんですよ?


評価、いいね頂けると頑張れると思うので、

宜しくお願い致します。


それでは次話も気ながに待って頂けると助かります!!!

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― 新着の感想 ―
[一言] あまりにも更新が無かったので、この小説の存在を忘れていました。
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