聖域の主からの依頼 その1
サボってるわけじゃないんだからねっ!
時系列的に間違っていた内容があったので、改稿しました。
転送された先は似たような部屋で魔法陣浮かんでおり、とてもファンタジックな感じです。
「ちゃんと転送されたのでしょうか?」
私が首を傾げると、クオンさんが苦笑します。
「って、そんな事を考えたこと無かったよ。ちゃんと転送されてるよ。確認する時はマップを見てごらん」
そう言われて私は思わずポンッと手を叩いた。あまりにリアルな世界に時折ゲームの中だという事を忘れてしまいそうになります。その辺りも慣れなのかもしれませんが、中々に慣れませんね。
そんな事を思いながら、クオンさんに言われた通りに地図を出して確認する。因みに地図には広域マップ、戦闘マップ、詳細マップの3種類に分類する事が出来るそうです。
紙の地図を見ることも出来ますが、こういった時は携帯端末型のマップ機能を使う方が便利です。視覚に直接表示する方法もありますが、私は少し苦手です。
そもそも。視覚情報に一部UIが表示される設定に慣れようと努力はしていますが、なかなか咄嗟の時に使えないのです。
そうこうしているうちに転送用の部屋? を抜けると、拠点で会ったララミーさんと似たような恰好をした女の人が立っていました。
「ようこそ、【鋳薔薇の森】の方々。主がお待ちです」
そう言って屋敷の中を歩いていく。クオンさんに視線を向けると小さく頷く――ついていけと、いうことですか。
私達は彼女の後をついて歩き、広く迷路のような屋敷を進む。階段を3階分ほど上がり、時間にして5分くらいグルグルと歩くと明るいテラスがある広間にやってくる。
「お客様をお連れしました」
案内役の彼女はそう言って恭しく礼をした後、何もなかったように去って行きます。なんとも、不思議な方ですね。
そう思いつつも、視線をテラス側にあるテーブルとソファに向ける。そこには耳の長いエルフの女性と少女がいた。女性の方はエミリア様だ。そのとなりの少女は妖精女王であるナツェーリア様。なんだか戦場で見る彼女とは全く別人のようです……とても愛らしいオーラを感じます。
「ようこそ、皆様。こちらに来て頂いてよろしい?」
「ナツェーリア様がそうおっしゃっている。さっさと来ないか」
そう言ってエミリア様は不機嫌そうに立ち上がる。人数分の席を確認して立ち上がった……のかしら?
私は皆に視線を向けて、全員の意思を確認する。皆がにこやかな顔をしてナツェーリア様のところへ向かうように促される。私は意を決して歩を進める近づくとナツェーリア様は「挨拶とかはいいから、座って」と、少し砕けた雰囲気で言われる。
「お言葉に甘えさせて頂きます」
そう言って、私は彼女と対面するように座る。隣には左隣には、るーこさん、右隣にはしょこらんさんが座る。右側のひとり掛けの椅子にクオンさん、左側は椅子が無かったのですが、他のエルフさんが椅子を持ってきて、そこにエミリア様が座る。
「ようこそおいで下さいました【鋳薔薇の森】の方々。私は妖精女王とも呼ばれております、ナツェーリア・リン・リーリア。ウィンブレール共和国の古き者……元首にして最高議会の議長としても働いております」
「ご丁寧にありがとうございます。私は――」
「知っておりますわ、ちえるんさん。戦場以外では初めましてですわね。あ、他の方はよく知ってますからいいですよね?」
ナツェーリア様はそう言って、クオンさん達に視線を向ける。
「ま、そうよね」
と、るーこさんは少しつまらなさそうに言った。
「るーこさんも、お知り合いだったのですね」
「クオンとしょこらんほどじゃないけどねぇ」
「フフッ、そうなのです。クオン様としょこらん様にはいつも素敵なお菓子を頂いているのですよ」
「残念ですが、本日は持ってきておりませんよ……」
クオンさんの言葉を聞いて、あからさまにションボリした雰囲気になるナツェーリア様。サザーランドのお菓子を楽しみにしていたってことでしょうか。んー、確かにあそこのお菓子はとても美味しいですからね……。
「代わりと言ってはなんですが、私の手持ちにあるお菓子をお渡しします」
私はインベントリに確保していた
「こ、これは……」
「多分ですが、サザーランドのお菓子がご所望だとは思いますが。こちらのお菓子、プリンといいますが、こちらはしょこらんさんと一緒に作った物です。味はとても美味しいと思いますので、手持ちに少しだけあったのでお召し上がりください」
「よいのですか?」
私はナツェーリア様の可愛らしい表情に満面の笑みで応えます。
「ええ、先日沢山作ったので……あ、あの……余り物をお渡しするのは心苦しいですが」
「いえいえ、サザーランドの職人が作り出す物は至高の産物だと私は思っておりますが、しょこらんの作る物も十分にその価値はあるでしょう。こちらは有難く後程頂かせて貰います」
そう言うと、彼女はテーブルに置いたプリンに視線をやり、私達がインベントリを使用する時と同じような動きをする。すると、目の前のプリンが消える。
インベントリ? この世界の人はインベントリを持っていないと言っていた気がするのですが、英雄というのは特別なのでしょうか?
「英雄はゲーム上でいえば、可能な限りプレイヤーに近い権能を持った特別なキャラクターなんだ」
と、私の疑問を即座にクオンさんが答えます。
「私達に近い?」
「正確にはちょっと違うけどね。この世界って言い方の方がちえるんにはしっくり来るかもしれないけど、プレイヤー、ゲームマスター、英雄は存在としては近しいモノなんだ。それぞれに持っている権能が違うのさ」
「権能……ですか?」
「例えば、ゲームマスターはプレイヤーや英雄……他にも色々あるけど、この世界においては神に近い存在だと思ってくれたらいいよ。プレイヤーはNPC達が『外なる者』と言っているけど、この世界からすれば異物に近いよね。そして、英雄は最も『外なる者』に近い『内なる者』ってことさ」
なるほど? 疑問形なのはイマイチ納得できていないだけなのですが、クオンさんが言いたいことは理解しました。ゲームやシステム的な部分で色々と出来る事が違うと思えばいいのでしょう。難しい機械的な事は考えないようにしつつ私はナツェーリア様を見る。
「それで、私達にどういった御用なのでしょう?」
ナツェーリア様は優雅な動作でお茶を飲んでから微笑む。
「そうですね。本来はこのような接触は良くない――と、いうのは理解していますが、あの人からも了承を得ているので今回無理に呼び出してしまいました」
あの人とは一体誰なのでしょう?
気になったので周囲の面々に視線を移す。クオンさんは何故かソッと視線を外し、しょこらんさんは苦笑する。仕方なくるーこさんを見ると小さく息を吐いて「ま、そうよね」と呟いた。
「前に会った『ちょこ』のことよ。一応、立ち位置的にアレはGMだから前みたいな違法行為のヤツが現れたりしない限りは基本的には不干渉を貫いてるけど、一部の英雄には繋がりがあるのよ。先日も姫様に会いに来てたみたいだし」
「あら、知ってらしたのですか?」
「向こうにいる時に何故か自慢されたのよ。意味わかんないわよ……ったく」
「るーこ様も自慢すれば良いのでは? まぁ、逆に【管理者】様とお茶をした私の方が自慢できるかもしれませんけどね」
すると、るーこさんはあからさまに嫌そうな顔をする。戦場でも見かける英雄とお茶会? をしたということは自慢出来そうな気もしますが、言ったら言ったで色々と問題が出てきそうな気がします。
「姫様が自慢する相手がいるの? ってか、私が態々自慢なんかするわけないでしょ? って、いうか誰に自慢するのよ……愚弟もしょこらんも、しょっちゅう来てるでしょうし。ちえるんだって今、まさに此処にいるわけだし。ま、関わりの無い獣王と会食したとかなら――いや、それも微妙な話よね。脳筋そうだし、暑苦しそうだからパスだわ」
ナツェーリア様はるーこさんの嫌そうな話を聞きながら楽しそうに笑う。妖精女王というより、妖精――いいえ、天使ですね。可愛さ抜群な破壊力がありますね。
「んっんっ! 姫様。時間を無駄にするのは止めましょう。さっさとご説明して帰って貰いましょう」
「エミリアってば、嫉妬ですか?」
「ち、ちがいます!」
なんだか、楽しい感じになっていますが……確かにナツェーリア様は私達をどうして聖域へ呼んだのか気になりますね。
「はぁ、仕方ありませんね。そろそろ真面目にお話をしましょう」
そう言ってナツェーリア様は立ち上がりテラスの方へ向かうのでした。
ちえるん「どうして、立ち上がられたのかしら……」
姫様「なんとなくです。雰囲気って大切でしょう?」
るーこ「思わせぶりで大した中身じゃなかったら、怒るよ?」
ちえるん「そんな怒ったりして大丈夫ですなのですか?」
姫様「大丈夫です。ちょっと怒られたくらいじゃ、私は平気です」
るーこ「あー、怒るのは止め! 戦場で呼び出しに応えてくれなかったら地獄だわ」
ちえるん「それは問題ですね……」
姫様「そんな薄情な女ではありませんよ?」
るーこ「ホントに?」
たぶんですけど(*‘ω‘ )(‘ω(‘ω‘ *)たぶん……???
どうも、もいもいさんです。
ご無沙汰しております!!!!!!!!
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仕事でバタバタしておりまして、
執筆時間が中々作れなく、遅くなっちまったい!!!
ゆっくりペースですが、楽しみにお待ちください。
次回はやっと依頼内容を姫様が説明してくれるハズ……ハズ……ハ……




