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聖域からの使者 その2

お待たせしました。

それはゲームからログアウトして、休憩中の事でした。


 いつもながら、慌ただしい足音で妹である美耶は私のいたリビングにすごい勢いで入って来た。


「お姉ちゃん、るーこさんから直通で連絡来てるんだけど?」

「み、美耶のところに? ですか?」

「だって、お姉ちゃん端末の電源切ってるでしょ?」


 そういえば、そうでした。正直なところを言うと電池が持ったないと思ってしまい、誰からも連絡が来ないと思うと切ってしまうのです。


 ここ最近は特にゲームしている時などは切っているのですが、休憩中ということもあって電源を切った状態で放置していました。


「それで、るーこさんはなんて言っていたの?」

「どうもクオンさんから呼び出しがあったんだって、ちえるんが来ないと困るから急いで戻って来て欲しいんだって」


 何やら急用のようですね……折角の休憩中ではありますが、致し方ないようです。急用という内容に興味津々な美耶は目を輝かせていますが、彼女は呼ばれていないでしょうね。我が妹よ、そんな目で見ても姉はどうすることも出来ませんからね。


「とりあえず、すぐに戻ると伝えておいてください」

「うん、おっけーだよ」


 私はそうして美耶の頭をポンポンと軽く触れてから素早く部屋に戻り、PCを立ち上げて再び仮想現実(ヴァーチャル)の世界へ戻りました。


 ファンタジー・クロニクル・ウォーの世界に降り立つ時の浮遊感は未だに慣れなくて妙な不安感を感じます。私がゲーム世界に出現した場所は現実世界で10分ほど前にログアウトした場所に降り立ちます。


 ログイン時に若干ですが宙に浮いているのも違和感なんですよね。浮遊感もその所為でしょう。


「お、きたきた」


 目の前にログアウトした時と似たようなシチュエーションで、るーこさんがそう言いました。どこか意地悪そうな微笑を浮かべているところを考えると、あまり素敵な事があったという雰囲気ではなさそうです。


 私はそんな事を考えながら、心情が表に出ないようにゆっくりと呼吸をしつつ笑顔で挨拶をします。


「ごきげんよう。先程ぶりですが……一体何があったのでしょうか?」


 るーこさんは何も言わず、肩をポンポンと叩いて私の手を引いて部屋を出る。


「ちょ、ちょっと……るーこさん?」

「まぁまぁ、ほら、お客さんを待たせたままなんだから、急いで急いで」


 お客さんだそうです。そして、そっと手を差し出するーこさんはとてもズルい人です。まぁ、しっかりと手を握るのですけど。


「テレ顔いただきー」

「もう、るーこさん……」


 などと、やり取りをしつつエントランスルームで待っているお客様の元へ向かう。と、言っても部屋から出て階段を降りてすぐですが。


 そこには幾度か見たことのあるエルフの女性がおり、私達に気が付きお辞儀をする。


 ファンタジー世界で綺麗な日本式のお辞儀を見ると不思議な気持ちになるのは私だけかもしれないと思いつつ、彼女の傍へるーこさんと共に行き挨拶を交わす。


「お待たせして申し訳ございません。私、【鋳薔薇の森】の団長を務めさせて頂いております、ちえるんと申します」

「ご丁寧な挨拶恐れ入ります。私は主より、聖域守備管理者を任されておりますララミーと申します。以後お見知りおきを」


 と、ララミーさんと私は幾度かペコペコとお辞儀をする。妙な感じではあるけれど、妙に落ち着く感じがするところが不思議ですね。そんな事を思っていると、るーこさんが「あっ、私!」と自身を指さすとララミーさんはサッと顔を上げ。


「はいっ、存じております。るーこ様」


 と、少し緊張した雰囲気でそう言った。るーこさん、彼女に何かしたのかしら? などと考えつつ、るーこさんに視線を送ると彼女は悪戯な微笑を浮かべていた。


「何かやったんですか?」

「いやぁ、聖域守備隊の子達が腕に自信アリっていうから、実際どんなもんか試してみたってだけよ」

「そ、その節は我々、非常に反省しておりますので……ご容赦お願いします」

「そうだよ、ねーちゃん。NPCに腕試しって、英雄クラスならいざ知らず、そこいらの子達をイジメるのはダメだと思うぜ」

「愚弟は黙っておきなさい」


 そう言って、るーこさんは素早く拳を振るう。まるで居合にも似た抜き手をクオンさんに向ける。彼もそれをギリギリラインで躱しているところを考えると似た者ですね。姉弟とはいいものですねぇ。まぁ、弟より妹の方が断然良いわけですが……。


「で、私に御用とは一体何でしょうか?」

「も、申し訳ありません。こちらを我が主からあなたに渡すように頼まれました」


 と、ララミーさんは綺麗な紐で結ばれた書状を差し出してくる。私はそれを丁重に受け取ります。なんだか中世とかの時代に入り込んだ気分ですね。


 私は紐を解き、書状を検める。


「召喚状……ですか?」


 そう言うとララミーさんは「はい」と短く答える。


「召喚状ということは分かっていますが、私はその書状の中身を知っているわけではございませんが、召喚に従って頂ければと思います」


 中身は日本語で記載されており、妖精女王であるナツェーリア・リン・リーリア様から【鋳薔薇の森】の私、るーこさん、クオンさん、しょこらんさんと話がしたいので早急に聖域ヴィンデ内にある神殿ラーラル・ルーラへ来るようにと書かれている。


「今から……ですか?」


 私は思わずそう言った。そもそも召喚状にも日時の記載は無く、『早急に』と書かれていたからだ。


 時系列からいっても、私やるーこさんが呼び戻されて戻ってくるまでにゲーム内時間で言えば数時間経っているハズで召喚状をララミーさんが受け取ってからも考えると本日内で考えても意外と時間が経っているわけです。


「突然、お邪魔しても問題ないのでしょうか?」


 私はるーこさんに尋ねてみます。彼女は「んー」と唸りつつ首を傾げ、ポンと手を叩き「大丈夫じゃない?」とあっけらかんとした雰囲気で言います。


 私は小さく息を吐いてクオンさんに視線を向けると、彼も似たような雰囲気で「大丈夫だよ」と答えました。


 ちなみに何が大丈夫なのか、実のところよく分かりませんが、二人が大丈夫というのなら大丈夫なのでしょう。


「わかりました。いつ、どのようにして向かえばよいか分かりますか?」

「ああ、たぶん……それはいつもの方法で行けばいいってことかな?」


 と、クオンさんがそう言いました。『いつもの方法』と、いうのは分かりませんが、クオンさんには本来行けないという噂の聖域に簡単に行ける方法を知っているということでしょうか。


「問題ありません。一応ですが出来れば、正式なルートで来ていただいた方がありがたいのですが……まぁ、あなた方に言っても仕方ないですね……」


 ララミーさんはそう言った後「では、お待ちしております」と言って拠点として使っている家から出て行きました。


「とりあえず、謎の方法を教えて貰ってもいいですか?」

「あー、しょこらんが来るまでちょっと待って貰える?」

「しょこらんさんも書かれていましたね。他のメンバーを連れて行くのはダメなのですか?」

「一応、許可が出てる人間しか入れないと思うから、誘ったとしても聖域に入った段階で排除されて許可外の人間は聖域の外に出されるハズだから」

「そうなのですね」


 そんなやり取りをしていると、しょこらんさんがやって来ます。


「みんな待ってました?」

「ええ、首を長くして待ってました」

「え、ええっ? ご、ごめんね。ちえるんちゃん……御機嫌斜めかな?」

「そんな事はないですよ。まだ理解出来ていないだけで」

「ま、そういう事はあるわよね」


 と、るーこさんも同意する。


 るーこさんも時折あるけれど、クオンさんは本当によく言えない何かを隠している場合というのが散見される。色々とあるのは分かるのですが、秘密主義的な部分が不安になるのですが、るーこさんは「難しく考え過ぎると損をするから受け入れる努力をした方が建設的」言っていたけれど、中々にただ何も考えずに受け入れるというのは難しいです。


「とりあえず、メンバーが揃ったから移動方法について説明するよ」


 クオンさんはそう言ってから「ついて来て」と、拠点内にある地下室へ向かう。私達はそれについていく。


 地下室には様々な物資が入った箱などが積み上げられている。クオンさんは部屋の奥にある壁に手を掲げると壁の一部が左右に展開して隠し通路がそこに現れる。


「そんなものがあったのですね……」

「あったというか、特殊なアイテムでどこにでも隠し通路が出来る仕組みになってるんだよ。地下室で展開したのは一応だよ」


 そう言って彼は隠し通路へ向かい私達はそれを後ろからついていく。


 確かに地下室の壁とは違う雰囲気の作りになっていて、魔法的な灯が順々に点いていく仕組みは不思議な感じがします。進んだところで少し開けた部屋に出たのですが、部屋の中心には魔法陣のようなものが浮かんでいます。


「……なんともファンタジーですね」

「まぁね。特別な転移用の施設で特定の条件で特定の場所に転移出来るってワケなんだよ。とりあえず全員魔法陣の中心付近に立って貰えるかな」


 クオンさんの指示通りに魔法陣の中心に立つと、彼は青い宝石のついたアクセサリーを取り出す。


「転送起動――っと、コードは……」


 そんな事をいいながら、彼は手元に出したコンソールパネルを操作する。すると、地面から柔らかい光がその場を包み込んだ。

ちえるん「光が柔らかいって不思議ですよね」

るーこ「言われると確かに、って感じよね」

しょこらん「確かに不思議ですよね。ゲームで光が柔らかく感じたりするって……」

ちえるん「ですよね。って、意外と光っている時間長く無いですか?」

るーこ「そこは気にしたらダメなところよ、ちえるん」

ちえるん「気になる年頃なんです」


転送失敗とか無いですよね(*‘ω‘)(‘ω‘ *(‘ω‘ *)たぶん、大丈夫……たぶん



どうも、もいもいさんです。


最近はどーにも執筆するタイミングが色々……

いや、もっと頑張れるように努力する!


と、ともかくです。

ブクマとか評価とか、貰えるとヤル気パワーがあがります。


ぱわーーーーーーー!!!



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