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聖域なる場所の素敵な朝食???

お久しぶりです。

生きてますよ、生きてます!

 私は屋敷の中庭――いや、森の中にいた。


 話は厨房についてからだった――



「あ、これから食材を確保しに行った方がよいですよね?」



 と、ちえるんの一言に始まる。


 ファンタジー世界の厨房というにはかなり整った場所で私は突然言われた言葉に思わず彼女の傍にいた、るーこに視線を向けると意地悪そうに彼女はニヤリと笑った。


 どうやら逃げ道はないらしい。


 そして、厨房から中庭に出れると言ったちえるんの後について扉を抜けて私は小さく息を吐いた。中庭と言っていたけれど、左右に見える建物を考えると確かに中庭なのかもしれないけれど、眼前に見えるのはどうみても森であった。


「これは森じゃないのか?」


 私がそう言うと、彼女は不思議そうに首を傾げる。


「森……と、いえば森なのかもしれませんが、敷地的には中庭だと思いますよ?」

「どこが?」

「違いがあるんです。森の奥に進むとこの屋敷がある敷地から出たことになって聖域に入るんです。見た目ではスグには分からないかもしれませんが、空気が変わるというか……」


 どうみて超絶美少女のちえるんは真面目な顔でそう言った。と、いうか空気感? 何それ、美味しいの? と、私が思っていると隣にいたるーこが溜息を吐く。


「簡単に言えば、マップ切り替えよ。フィールドマップで確かめたら分かるから」


 そう言われて私は慌ててマップを表示してみる。


 多くのゲームでは常にマップ表示がされている場合が多いのだが、このゲームは常時マップが表示されず、いくつかのマッピング機能によってマップを確認することが出来る。


 マップを表示するというよりも、目の前に地図を出すと言った表現の方が正しい。一部のファンタジー系RPGでも、こういった地図を見る行為が必要なタイトルが存在するので珍しくは無いけれど、対戦型の作品でこういった行為が必要なのは非常に珍しい。


「って、本当に森の中にマップの区切りがあるんだ……流石にシームレスよね?」

「そりゃ当然。謎壁なんて無いわよ……まぁ、出た先は聖域だからスグに分かるわよ」

「ってかさ、聖域ってクエスト以外では入れない場所って認識なんだけど、私間違ってないよね?」

「……間違っては無いね」


 るーこは一瞬何かを考えるような仕草をしてからそう言った。って、マジで気になるじゃない。


「こっちもすっかり忘れてたけど、たぶん、ここから聖域に出た場合は聖域の入り口まで飛ばされると予想される」

「ダメじゃん!」

「ってなワケで【鋳薔薇の森】に入ることをお勧めするよ」


 彼女はニヤニヤと笑みを浮かべる。まさか、初めから私を傭兵団に誘う前提だった?


 そんな事を考えていると、ちえるんが何かを思い出したようにポンッと手を叩いた。


「ど、どうしたの?」


 驚いて思わずどもってしまった。誤魔化せたか不安でしかない。


「聖域の移動許可の話をするのを忘れていました」

「ちえるんは忘れてると思ってたのよ……」

「ちょ、大事なことを忘れないで貰える?」


 正直、この娘の考えが読めない。凄い切れ物なのかと思っていたけれど、どうやら結構ポンコツな……おっとりと言った方がよいのだろうか? ともかく、妙にアンバランスな感じがする。


 でも、人を惹きつける雰囲気はあるんだよね。自身の師匠であるパティシエもそうだ。ハッキリ言って人間的には微妙だと思うけど、尊敬しているし技術や考え方、センスなんかは私程度では追いつけないと思う。先輩達にしてもあの人に匹敵する人物は店にはいない。


「申し訳ありませんが、一時的でも良いので私達の傭兵団に所属して頂いても問題ないですか?」


 彼女は申し訳無さそうにそう言う。うん、もっと高圧的に言っても全然問題無い気がするんだよね。


「あのさ。へり下る必要なんてないから。もっと偉そうに言ってくれた方がいいかなぁ。って思うんだけど」


 私の言葉に彼女は少し困惑したような表情となり慌てて否定した。


「そんなのは無理ですよ。どうしてもしなければならない雰囲気でしたら薮坂ではありませんが、不必要に人に向かって高圧的な態度を取るというのは無理です」

「そう? 見た目もまさに姫様って感じだしアリだと思うんだよね。っていうかさ、ロールプレイを楽しむってのオンゲの楽しみだったりするワケよ?」

「オンゲというのがよく分かりませんがロールプレイ……という事はキャラクターを演じてゲームをする……と、いう事ですか?」


 彼女は不思議そうな顔をして首を傾げた。ってか、オンゲって言われて分かんない娘がオンラインゲーム内で存在したのか?


「あー、るーこ。もしかして……」

「ちえるんは初オンゲで且つ機械音痴よ。当然、ゲーム的な事やPC関連の専門用語とかも全くといって無縁な生活してたから」


 と、るーこが喰い気味に問題発言。


「たんま、そんな事あり得るの? いつの時代よ? PC……いや、ネットワーク時代に入ってからどれだけ年数経ってる?」

「な、なんだか凄く酷い言われ方をしている気がします」

「ちえるんって携帯端末って持ってるよね?」

「流石に携帯電話は持っていますよ」


 そこで携帯電話と言われると、微妙な感じがする。遥か昔にはスマートフォンという呼び方が一般的だったけど、その前の時代にあったフューチャーフォンまたはガラパゴス携帯――略してガラケーなどと呼ばれていたモノが携帯電話だ。


 現在は携帯といえば携帯端末のことで、パーソナルフォンとかハンドPCって呼び方もある。通話機能付モバイルPCと言った方が正確で音声通信機能に関しては様々なアプリがあるが基本的にはOS標準のネットダイブ技術を利用した音声通信システムを利用するのが一般的だ。ちなみに電話番号を使って音声通信をする人は本当に稀――と、いうか一定の年齢層の人達くらいだ。ま、携帯電話って言い方も間違いでは無いんだけどね。


 そんな事を考えて苦笑していると、彼女は少し不思議そうに首を傾げた。


「何か間違ってましたか?」

「いいや、間違っては無いよ。気にしないで……と、それよりも一時的な入団の件、オッケーだから申請だしてよ」

「はい、わかりました」


 そう言って彼女は嬉しそうに微笑んで傭兵団加盟申請を飛ばしてくる。これで、私もこの怪しげな面々が所属する傭兵団員となったわけだ。


「これで万が一の場合でも大丈夫ですね。まぁ、今回の目的は聖域側には行かなくても問題無いので事故は無いと思うのですけど、念の為と思ってください」

「行かないのね……」

「はい、目的地はアソコなので」


 と、ちえるんは森の中を指さす。そこには高さ2メートル、幅4メートルくらいの小屋が建っていて、中には鶏に似たような生物が数羽ノシノシと歩いていた。


「鶏……っぽいけど、違うよね?」

「はい。軍鶏にも似てますが大きさが圧倒的に違いますし、ガルスっていう名前の魔物らしいんですけど、味も中身も大きな鶏でしたので育てているのですよ」


 そう言いながら小屋の中へ向かう彼女。鳥達も思ったほど警戒していないところを見ると不思議な気分になるが、彼女は何食わぬ顔で鳥を一羽捕まえて小屋から出てくる。


「ちょっと残酷かもしれませんが――」


 彼女はそう言ってから、両手に持った鳥の首を素早く捻り上げるようにして折って手にしたナイフで首を落とす。


「鶏の解体はしたことがありますか?」

「ガールスカウトとかでやるらしいけど、私は残念ながら未経験」

「んー、そうらしいですねぇ」


 ちえるんは少し納得のいかない風な言い方をしながら、取り出したロープで足を縛り、鶏を適当な木に吊るす。


「先日実験したのですが……」


 と、言ってちえるんは魔導器を取り出してグラビティフィールドを発生させると木に吊るされた鶏からドバドバと血が噴き出していく。


「って、スキルって死体なんかのオブジェクトにも適応されるの?」

「戦争時はフィールドが専用仕様だから無理だけど、通常フィールドの魔物モブとかは生死問わずスキルとか攻撃の影響を受けるよ。一定時間、何もしない場合と解体機能を使って素材化したら消失するけどね」


 いつの間にかにるーこが巨大なウサギを担いでいる。


「ミートパイにでもしますか? ここでやっちゃいましょうか……」


 そう言ってちえるんはインベントリから寸胴や携帯用コンロなど、様々な道具を展開し始める。なんだか、ガチで捌くのを見るのは初めてなんだけど。


「じゃ、ウサは私がやっとく」

「はい、お願いしますね」


 ちえるんはそう言いながら、寸胴に(って、いつのまに水を入れたのか不明だけど……)火をかけ始める。


「大体、75℃くらいを目安に鳥さんをお湯につけていきます……血を抜いている間にお湯がちょうどいい感じになると思いますのでお待ちくださいね」

「えっと……私は何をすれば?」

「そうですね。とりあえず、今は見守りましょうか」

「そ……そう……」


 目の前で繰り広げられるスプラッタ映像、るーこはウサギの下腹部にナイフを入れ肉を引き裂き内臓を取り出し、水を生み出す魔導器を使って丁寧に洗っている。


 そして、ロープで足を括り付けて木に吊るし、足に切れ込みを入れて皮を剝いでいく。


「……なんで、そんな手慣れてるわけ?」

「何事も経験よ、け・い・け・ん♪」


 と、楽しそうに皮を剥いでいく。


「あ、こちらもそろそろいいお湯加減ですかね……鳥さんはこうやってお湯につけていくことで羽を抜きやすくなるんです。やってみます?」

「え、あ……えっと……」


 私が戸惑っていると、ちえるんは私にどっしりとした首のない鳥を手渡され、彼女に促されながら巨大な鳥を寸胴にゆっくりと沈み込ませていく。


 幾度か上下させると鳥の脚関節がやや硬くなっていくのを感じつつ、それをみたちえるんがお湯から上げるように指示され、私は言う通りに上げると彼女が私の持っていた鳥を取りあげ、私に羽を抜くように言ってくる。


 って、私は何をやってるんだろう???



 ◇ ◇ ◇



 その後、屋敷の調理場に戻って鳥は産毛をコンロであぶって燃やしてから、肉を切り分ける。現在はトレーの上に各部位となって鎮座している。


 ちなみにだけど、その隣にはるーこが捌いた巨大な角ウサギの肉がある。


「初めての解体はどうでしたか?」


 と、ちえるんが楽しそうに聞いてくるが、正直言って戸惑っている。ここってゲーム内だよね?


 実際、私もゲーム内で菓子作りをしているわけだけど、ゲーム内の魔物モブをリアルに解体出来るって意味が分からないんだが。


「正直、戸惑いしかないわ。解体を使って素材にしたら、革と個々の肉……後は魔石とかでしょ? 鳥なんて、各部位ごとの肉として認識されてるし、砂肝やキンカン、レバーなんかも取れるとは思わないでしょ」

「ガラも残っているので鶏ガラスープにも出来ますよ。この鳥さんは中々にいい出汁が出るんですよ」


 そんな会話をしながら、私は彼女達と料理をするのだけど、朝から一体何を作るんだ? と、色々ツッコミ満載なのであった。

ちえるん「るーこさんはとりあえず、調理は見学でお願いしますね」

るーこ「え? 手伝ってあげてもいいんだよ?」

ちえるん「いいえ、ダークマター作成はしなくてよいので、大人しく見ててください」

るーこ「えー、私もまざりたいー」

ちえるん「後でプリン作ってあげますから、大人しくしててください」

るーこ「……ったく、仕方ないにゃー」

ユーナ「私は何を見せられてるんだ……一体……」



いちゃらぶですよ?(*‘ω‘ )(‘ω‘ *)お、おう……




どうも、お久しぶりです。

もいもいさんであります!


本当に久々の更新になり、お待ちしていた方々には

超絶平謝りです。ホント、ゴメンナサイ。


毎年、10月から12月は色々と忙しいんですよね、

と、言い訳をしてみます。


最近、インプット多めの生活をしていると、中々にアウトプットへ行動が向かないってところもあるんですよね。毎日更新出来る方が羨ましくて仕方ありません。


さてさて、今後の活動の活力の為に、

☆☆☆☆☆をぽちぽちと沢山入れて貰えると超喜びます。

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