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聖域に存在する拠点なるもの

遅刻、遅刻大遅刻!!!

本当、遅くなって申し訳ないです。

 ウィンブレール共和国は大森林ウィナルを中心とした古代エルフが作った国とされ、聖域に住むエルフでこの世界で最も古い英雄の一人とされる妖精女王を戴く国である。


 現在は国に属する貴族達が中心となる議会が政治を行い妖精女王は基本的には政治には介入しない方針を掲げているが、国家元首という立場から国の様々な式典などには姿を現す――などという設定らしい。


 なお、王都ラックラーには聖域と呼ばれる場所が存在しており、その中の一つが聖域ヴィンデである。ヴィンデの最深部にラーラル・ルーラと呼ばれる神殿があり、妖精女王はそこに住んでいると伝えられている。


 この情報は国選択時に得られる情報らしいけれど、仕事で初めから国が決められていた私にはどうでも良い情報だった為に読んでもいなかった。


 因みに今回【鋳薔薇の森】の拠点が聖域にあると聞いて念の為に公式で閲覧出来る資料に目を通したのである。資料の中には聖域と呼ばれている場所はヴィンテ以外にヴェルスト、ヴェリフェスと三か所存在する。


「って、どこよ?」


 と、思わず私は呟いてしまう。そもそも、プレイヤー――『外なる者』?は聖域には入れない的な話をはじめの方にNPCから聞いた気がするんだけど。そんな事を考えていると件のプレイヤーである、ちえるんから通話が来る。


『ユーナさん、今はどのあたりにいますでしょうか?』

「まだラックラーにいるけど……」

『では南側から王都を出て、聖域へ向かってください。聖域入口に守人もりびとララミーというエルフの方がいると思いますのでヴェリフェスにある【鋳薔薇の森】の館へ行きたい旨を伝えれば道を教えてくれると思います』


 マップデータをくれたら楽なのに……と、私は思いつつも彼女の言葉に了承の旨を伝え、通話を終了する。


 このゲームはかなり細かく作られているせいか、マップなどのデータ情報をユーザー間でやり取りすることが可能で専用の3Dマップツールなんかも実装されていて、正直完成度という部分では他のゲームとは全く違うという印象が強い。


 そんな事を考えつつ、私は言われた通り王都ラックラーの南門から聖域のある森へ向かう。


「そう言えば、聖域の入り口にNPCが立ってたわね……」


 序盤のレベル上げに聖域付近の森を探索した時のことを思い出す。本来、ユーザーがキャラクターを作成しゲームスタートした時は聖域の外れから開始される。ちなみに私の場合は特殊な枠でキャラクターを作らされた所為で初期位置が違う。これに関してはゲーム内に存在する店舗店員全て同様でログインサーバーも特別仕様となっているらしい。


 いくつかの設定フラグが違うだけでプレイヤーデータとしては他のプレイヤーと同様って話だ。


「……と、言っても信じてないけどね」


 そもそもログインサーバーも違う時点で他のプレイヤーと同じでは無い。フラグとか管理上の問題とかで分けているとは言っていたけれど、内部的なデータは不明だ。数値情報を弄るなんて、運営はよくやることで私は手放しで運営のいう事を信じるなんて馬鹿げていると思っている。


 聖域の入口というのは全ての聖域の入口という意味で、ラックラーの南部に広がる深い森を『聖域』という。ヴェルスト、ヴェリフェスはその聖域の多くの領域で最も最奥に存在するのがヴィンデらしい。


 聖域の森の入口に立つと、エルフの女の子が声を掛けてくる。


「こ、これより、聖域となりますので御用の方でない場合は立ち去ってください」

「用があれば通れるの?」


 私は思わずそう返答してしまう。


「え、えっと……どちらへ向かうのでしょうか?」


 そう言われて、私はちえるんからララミーというエルフから案内を……的なことを言われた事を思い出す。


「そういえば、貴女がララミー?」

「はい、そうでうが……???」


 エルフの女の子は不思議そうに首を傾げ、その仕草はなんともあざとく私は一瞬悶えそうになるのをグッと堪え、咳払いをした。


「???」

「えっと、ヴェリフェスの【鋳薔薇の森】の館へ行きたいんだけど、と、貴女に言えば案内して貰えると聞いたのだけど?」

「あー、あの方達のところですか……少々お待ちくださいね」


 エルフの女の子、ララミーはそう言うと誰かと音声チャットを行っている様子。NPCだと念話ってスキルなんだっけ?


「では、私が案内するのでこちらの守護を頼みます……さて、お待たせしました。私の後をついて来てください」

「あ、はいはい」


 近年のNPCで使用されているAIは本当に優秀だと思う。自然すぎて下手するとNPCとプレイヤーの区別がつかないくらいに不気味だ。私がそんな事を思いつつ彼女についていく。


 どう考えても道には見えない森の中を彼女は軽快に進んでいく。まぁ、私も余裕なので全く問題は無いのだけど。


「あの方達の館へ向かう方は非常に珍しいです。と、いうか初めての案内でドキドキですよ」


 と、彼女は楽しそうにそう言った。なんとも可愛いじゃない……ちょっとキュンってしちゃったわ。エルフのロリ娘って卑怯だわ!


 それにしても、聖域ってプレイヤーが入れないような設定なのかと思っていたけど、謎だわ。


「聖域に傭兵団の拠点って、大丈夫なのかしら……」

「……どうなのでしょう? 残念ながら私にはわかりかねます」


 私は思わず独り言のつもりで言ったが、エルフの女の子であるララミーに反応されてしまった。その仕草も可愛いわね。と、いうかあざといわ!


「あの方達は我らが女王からお許しを頂いている特別な方々と聞いていますので、普通は『外なる者』が入っても良いという場所では無いです。けれど、絶対は無いのですよ」

「絶対は無い……か」

「はい。聖域を通らないと狩りにいけない魔物などがいますから、それに関しては討伐依頼が出ているハズですよ」

「討伐依頼? そんなのあるんだ……」

「はい、様々な討伐依頼が出されてるですよ。この世には多くの『内なる者』では被害が大きく倒すのが困難な魔物が多く存在しますから、天から使わされた『外なる者』の存在というのは非常に大切なのです」


 確かにNPCはレベルが高めでも20前後だものね。多くは10くらいって考えるとプレイヤーはすぐにレベル25くらいまで上がるしね。でも、それくらいのレベルになったら魔物モブなんて倒しに行かないけど。


 そんな事を考えていると彼女はキラキラとした瞳を私に向けてくる。


「おねーさんも中々に強そうです」

「そんな事は無いわよ。戦うのは本職というより趣味だから」

「趣味ですか?」

「そうよ。仕事の合間に戦場出てるだけだから」

「やっぱり、外から来る人達は変わってますねぇ……あ、見えてきましたよ」


 ララミーはそう言って森の開けた場所を指さした。そこには巨大な木と融合したような巨大な洋館が建っていた。神聖な雰囲気が漂う森に不思議な建築物が建っているのを見るとやっぱりゲーム的だと思うと、このゲームが色々な意味で変わっていると思ってしまう。


「さて、それでは私は戻りますので。あの方達に宜しく伝え願います。それでは!」


 と、言って彼女は光に包まれて姿を消した。


転移テレポート? 転移系のアイテムとエフェクトも違ってるし、NPC専用の効果なのかな……っていうか、あっさりと帰っちゃったわね」


 私は独り言ちながら、エルフの女の子ララミーが立ち去ったことを寂しく思いつつ、怪しげな洋館へ向かうのであった。



 洋館の前で私は溜息をひとつ。案内された時には結構大きいとは思っていたけれど近付けばその大きさを実感した。洋館というより、洋館の形をした城みたいなもんだ。


 そんな事を思いつつ玄関扉の前で足を止める。私は扉を見上げ思わず驚きの声を上げてしまう。思わずそうしてしまったのは、洋館の巨大さをその扉だけでも感じざるを得なかったからだ。洋館の玄関扉は非常に重厚でその高さは2階か3階くらいの高さがある。これは開け閉めが結構大変そうだ。


「って、呼び鈴とかってなさそうよね……と、いうか面倒だし通話するか」


 どうして忘れていたのか、疑問に思いつつちえるんへ通話をすると即座に返答が来る。


『どうもユーナさん。今、どのあたりですか?』

「玄関の前かな……呼び鈴とかも無いし、どうすればいいかわかんなかったのよね」

『……ああ、そうですね。ちょっと待ってくださいね』


 と、彼女が言うと目の前の重そうな扉がゆっくりと開いていく。


「全く、派手な演出ね……」

『魔法的なギミックらしいですよ。一応、玄関の左側に呼び鈴を鳴らすスイッチがあるんですけどね』

「扉が開いていくとより分からないわね……」

『そうかもしれませんね。とりあえず、入ってエントランスから二階へ上がってください。私達もそちらへ向かいます』

「了解よ」


 洋館の中に入ると、エントランスホールになっている。当然、外からの大きさを見ていたので中の広さは当然が如く広い。不思議なのが屋内なのに木々が所々に立っている。また、不思議なことに日光のような光が屋内に広がり、まるで屋内という雰囲気を感じさせない。


 私はキョロキョロと周囲を見ながらも、目の前にある螺旋階段に足を向ける。


 そして、階段を上りきり小さく溜息を吐く。現実リアルなら、随分疲れるハズと考え、ゲームでよかったと思ったからだ。


「ようこそ、ユーナさん」

「昨日ぶり……って、言ってもゲーム内だから、現実リアルなら数十分ぶりってところね」

「あちらのテーブルで話をしましょう」


 と、彼女が指さした方には、昨日会ったもう一人のプレイヤー『るーこ』が既にソファに座って妙に優雅な雰囲気でお茶を飲んでいた。


「早速来たんだ」


 るーこはそう言って楽し気な表情を浮かべる。いや、楽しそうというか……意地悪そうのが正解だな。と、私はそう思いつつ彼女の正面に座る。


「色々とツッコミどころ満載だけど、聞いても大丈夫?」

「ま、答えれる範囲ならって感じかしら」


 彼女はそう言って意地悪に微笑んだ。なんとも性格が歪んでそうだと私は思いつつ私は小さく息を吐いた。


「とりあえず、プレイヤーの拠点って聖域に作れるわけ?」

「普通の方法では無理ね。ちなみにチートとかでは無いわよ。簡単に言えばクエスト報酬かなぁ」

「そんなクエストってあるの?」


 と、私が驚いているとティーポットを持ったちえるんがやって来て、私の前に置かれたティーカップに紅茶を注ぐ。


「あると言えばある、無いと言えば無い。と、いう感じでしょうか?」


 ここにきて禅問答かよ。マジ勘弁。


 そんな事を思っていると、ちえるんは申し訳なさそうな表情を浮かべる。


「不快な返答だったかもしれませんね。正確には色々な偶然が重なった結果と言った方がいいかもしれません。ゲーム的な話でいうと『クエスト報酬』となるのですが、普通の方法では受けれない件だった……と、いう感じなんですよ」

「まぁ、ちえるんの説明だと分かんないよね。因みに、この話はアンタが欲しがっている情報とも繋がりがある」


 そう言った含みのある会話は店でもあったが、随分と()()ありのようだ。でも、一体どういう繋がりがあるのかサッパリ分からない。


 そう思っていると、ちえるんが優雅な所作でお茶を口に運び、ゆっくりとカップをテーブルに置く。


「ユーナさんはこのゲームをどう思いますか?」

「このゲーム? そうね……」


 私は考える。似たような大規模戦闘系のゲームは今までに幾つかプレイした事がある。ハッキリ言えばこのゲームは他のゲームと大して変わらないけれど、一番印象が残っているのがNPCが不自然なほど自然ってことだ。パッ見ではNPCとプレイヤーの区別がつかない。ただ、これに関しては操作が分かっていれば判断はそこまで難しいことじゃない。


「当然、面白いとか面白く無いって話じゃないわよね」

「はい」

「で、あれば……NPCが気持ち悪いことかな。自然すぎて逆に気味が悪い時がある」

「正直、私はゲームにもコンピュータにも詳しくないのでアレなのですが、このゲームはワールドシミュレータを元に構築されているのはご存じですか?」


 AIベースで世界構築――って奴か。でも、そんな事をするなんて馬鹿じゃないの? って、思うわね。


「パティシエちゃんは馬鹿にしてるっぽいわね」

「まぁ、なんでそんなことした。って思うわね。ゲームよ? しかも、戦場メインのファンタジーRPG……って、一応ストラテジーだっけ?」

「ジャンル的にはストラテジーね。バトル部分はアクション重視だけど」

「ワールドシミュレータって、すごいサーバー使わないとダメでしょ? 予算とか大丈夫なの? サービスも基本無料の予定でしょ?」

「予算的な話は運営だけが知ってる話だから、私達には関係ないわね。ちえるんなんて現役JKよ」


 マジですかーJK!? それにしては落ち着いてる感じだし、雰囲気はどこかのお姫様みたいな感じなんですけどぉ。


「まぁ、私も詳しくは全然分かりませんが、この世界を構築するにあたって様々な事業の専門家が集まって現実世界で出来る可能な範囲の事は出来るように構築して作られているらしいのです」

「んー、それと『特別なクエスト』の話と繋がらないんだけど?」

「先ほど、NPCが自然すぎる……と、仰ってましたよね」

「ああ言った。って、まさか――」


 NPCはこのゲームで構築された世界に棲むリアルな住人ってこと? いや、確かにデジタルデータではあるけど、ワールドシミュレータがベースになってるってことは……NPCは設定されたAIで動いているってわけじゃない? そこまでの技術って実はかなりドエライ事なんじゃないの???


「パティシエちゃんの想像通りって感じかなぁ。このゲームはワールドシミュレータで作られた仮想世界みたいなもんなのよ」

「色々法律的に問題になったりしないの?」

「そこは色々とクリアしているハズ。一応政府系の研究機関とかも関わってたハズだし」

「なんだか、聞いていい話じゃなさそう……」

「一部SNSとかでも話題になってから、知ってる奴らは知ってる話だよ。まぁ、ただだからと言って非現実ヴァーチャル現実リアルと変わらない方法で色々と出来るってことには気付くプレイヤーは少ないみたいだけどね」


 非現実ヴァーチャル現実リアルと変わらない方法で色々と出来る――確かに私がゲーム内でお菓子を作る工程を全て出来るのはその所為だとすると、他に関しても同様に出来るということだ。


「倫理規定とかに引っ掛かる行為は無理よ」

「別にそんな事はどうでもいいわよぉ!」

「ならいいけど。故にNPCも現実リアルから言えば、ただのデータだけど……このゲーム内で言えば非現実ヴァーチャル内に存在するリアルな人間だと思うのが重要よ」


 るーこはそう言った。仮想世界に棲む住人はNPCではあるが、NPCでは無いってことだ。彼らが私達プレイヤーを『外なる者』、そして自分たちを『内なる者』というのは設定的な話という意味では無い?


 でも、このゲームは戦争がメインでNPCも沢山戦場で戦っているハズだ。


「NPC全てに名前が存在するわ。これは私の愚弟が調べた話よ。それに彼らは死んでも復活はしない」

「うわぁ、聞きたくない情報だわぁー、戦場に出ずらいじゃない」

「戦場における評価ポイントで愚弟が気が付いたらしいけど、味方のNPC生存率で評価ポイントが上がることが確認出来てるから、彼らを守ることも実はゲーム的には重要なポイントらしい」

「そんな情報をプレイヤーが知ったらアクティブ激減しない?」


 私がそう言うと、るーこは苦笑して「まぁ、確かに」と言った。彼女もその辺はよく理解しているようだ。


「色々と難しい話は私には分かりませんが、厨房にて実際に素材を見せた上で実証実験してみませんか?」


 と、ちえるんが楽しそうに微笑みつつそう言った。この娘、びっくりするくらいの美人ね……と、いうかるーこも似た感じ……ん? もしかして姉妹なのかしら?


 そんな事を考えつつも私は彼女の申し出に了承するのであった。

ちえるん「ふふっ、これで美味しい朝食を頂けそうです」

るーこ「おやおや、ちえるん。主も悪よのぉ」

ちえるん「いえいえ、お代官さま。お代官さまほどではありません」

るーこ「はっはっはっ、よいではないかぁ、よいではないかぁー」

ちえるん「って、お代官さまが悪徳商人にしてはダメでしょう」

るーこ「よいではないかぁー」


本気にしますからね(*‘ω‘ )(‘ω‘ *)いいの?


アタシは何を見せられているんだ(*‘ω‘ *)




どうも、もいもいさんです。

なんだか、予定よりずいぶん遅刻をしてしまいました。

数時間どころか、数日……一週間近くのレベルです。

ホント、申し訳ない気持ちで一杯です。


仕事とか体調とか、言い訳を言い出したらキリがないレベルです。

もう少し気張っていかないとダメですね。


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