表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/86

ガンナムル城塞攻防戦 その5

お待たせして申し訳ありません。

 私達は地下遺跡から城に通じる通路を通って城内に入った。帝国士官であるジャン・シェリホフさんの協力のもと城内にある使用人が利用する通用口を使って城内の中央広間の奥にある大魔尖塔オベリスクへ向かいます。


「ってか、大魔尖塔オベリスクがある広間への扉を閉める事が出来るなんて驚きッス」

「でも、結局迂回路があるから、足止めくらいにしかならないわね。死に戻りがこっち側に流れてくるタイミングより早く愚弟クオンがこっちまで流れ込んで来てくれるかってところね」

「まぁ、そこはやってくれると信じるしかありませんね……あの帝国兵の方々は大丈夫でしょうか?」


 私がそう言うとるーこさんが優しく微笑しながら、向かってくる敵を拳で殴り飛ばす。


「敵の心配なんてしてていいのかしら。今は此処を死守しつつ、少しでも大魔尖塔オベリスクにダメージを与えないといけないのよ? まぁ、敵は絶賛大混乱中だろうし、アイツら意外と優秀そうだから大丈夫じゃない?」


 るーこさんはそんな事を言いながらも表情は暖かい。私は「ですよね」と、返事をしつつ大魔尖塔オベリスクへ攻撃を行う。


「つーか、団長も姉御も死守と言いながら余裕ありまくりングじゃないッスかぁ。あ、カレン罠の材料持ってるッス?」

「そう言うミソも大概だと私は思ってるけどねっ! って、そんなバカスカ私の資材を使おうとするんじゃないわよ!」


 戦闘中に色々と会話をするスタイルは他プレイヤーではあまり推奨されていないそうです。確かに……とも思いますが、ある程度の攻撃系スキルなどはモーションアシストがあるせいで思考して動かなくてもよいタイミングというが存在するのです。


 ミソスープさんは敵がやって来る迂回路である通用路側に攻撃の波が収まったタイミングで罠を仕掛けに向かいます。なお、短弓系のスキルに罠設置のスキルがあるそうで、ゲーム内で用意されているスキルでの罠と自作ワイヤートラップの組み合わせによって、かなり凶悪な罠を張っているようです。


「いやぁ、団長のお陰でオイラの罠スキルが更にパワーアップしたッス」

「確かに現実に出来るラインとゲーム的に用意されているラインって違うけど組み合わせることの相乗効果は大きいわよね」


 と、るーこさんは感心するけれど、戦闘でゲーム上のアシスト動作と自身の動きで行う動作の組み合わせなどは彼女から教わったといっても過言ではありません。


 そんなやり取りをしていると通用路側に再び敵が現れたようで罠が発動し真っ黒な煙が通路から吹き出し、通路内の視界を奪い敵プレイヤーの困惑する声が響き渡ります。なんだか、やり過ぎたのかもしれませんね……罠に対して過敏に反応しているようにも思えます。


 そして、私は素早く魔導器に持ち替えて、重力場の魔法を放ちます。


「足留めお願いします。遠距離攻撃出来る方は通路側を!」

「こっちはオイラとカレン中心でやるから、団長もオベ叩いて欲しいッス」

「大丈夫ですか?」


 私がそう言うと、ミソスープさんは不敵な笑みを浮かべつつ、前方に炎の壁を出現させる。


「オイラは基本的にダイナミックな魔法より、人を邪魔する面倒な魔法やスキルを中心に取ってるッスからね。ダメージ効率は悪いッスけど、狭いところから来る敵に対しての足留めはオイラに任せるッスよ」


 ミソスープさんはそうは言っていますが、派手な高ダメージを出せる魔法も幾つか取得していたと記憶していますが、クオンさんやカレンさんからは仲間内で最も変人だけど、ゲームにおいての戦闘センスは信頼して良いと言っていたのを思い出し私は後ろを向く。


「……分りました。お任せします」


 私はそう言ってから後ろに聳え立つ大魔尖塔オベリスクに攻撃を行う。るーこさんは刀では無く、拳で殴る蹴るをして、ダメージを出しているようです。一応、武器種でいえば手甲が武器扱いになるんでした。るーこさんが常に装備している手甲は防具だと思っていましたが、武器なのですね。


 などと感心しつつ、私は短剣二刀に持ち替えて大魔尖塔オベリスクに攻撃を加える。


 こういうゲーム的な部分は非常に複雑な気持ちになりますが、非常に固く巨大な物体に向かって人がチクチクと攻撃したところでダメージが出るのか疑問だったのですが、ダメージエフェクトと確かな手応えを感じることで、ダメージを与えている感覚があります――が、これは現実からいえば、非常にゲーム的な感覚で、リアリティの無い不思議な感じなのです。


 るーこさん曰く「なんとなく、っぽかったらいいのよ」と、言っていたので出来るだけ気にしないようにしていますが……なかなか、すぐに慣れるモノではありませんね。ただ、視界内に大魔尖塔オベリスクの体力みたいなゲージが表示されており、私達が攻撃をする度に少しずつ減少していっているので、確かにダメージを与えている。と、いうのは分かります。


「ちなみに、敵が死亡する毎にもダメージが入るから、ゲーム的には戦場でのポイントとキルによるダメージ、あと直接ダメージ、支配量ダメージを競い合うって感じね。戦場によっても幾つか条件があったりするけどね」

「何度説明を聞いても、もやっとします……」

「まぁ、なまじリアリティがある所為だとは思うけど。その辺りはそういうモノと捉えるしかないわ」

「ですね……」


 そんな事を言いながら攻撃を繰り返していると、クオンさんから団員用の音声チャットが飛んでくる。


『とりあえず、連絡。こっちは城へ突入済み、完全に圧倒してる状態。敵側は平原側プレイヤーも死に戻りで城に戻ってるみたいだけど、一部が死に戻り待ちで張り付いてくれてるおかげで一方的に嬲ってる。このまま、大魔尖塔オベリスク殴ってくれればすぐに決着すると思う。俺の方は大魔尖塔オベリスクへ繋がる通路を占拠予定』

『おっ、ってことたぁ。もう通路のところまで来てるッスね。オイラはクオン側に行った方がいいッスかね?』

『ミソと後数人こっちに来てくれると助かる。残りは大魔尖塔オベリスクを叩いて貰えると助かる』

『わかりました』


 城内の構造で言えば復活地点は大魔尖塔オベリスクのすぐ傍にある広間ですが、私達が扉を閉めてしまった所為で大魔尖塔オベリスクのある広間へ細い通路をぐるりと回って通用口からしかこれなっている。クオンさんが率いる部隊は復活地点でやり合っている間に通路を完全に占拠して大魔尖塔オベリスクのある部屋を封鎖状態へ。


 なんだか、少し申し訳なさを感じつつも私は攻撃の手は緩めません。ここは早く終わらせた方が良いと思ったからですが……まぁ、対戦型のゲームというのはデジタルであってもアナログであっても勝負という部分では変わりませんからね。


「一方的な展開になったら、覆すってのは中々に難しいのよね」

「逆転する方法なんて存在するんですか?」

「一応、幾つか方法はあるわよ。ひとつは英雄召喚――まぁ、これは自軍の英雄次第でかつ、攻略方法が存在しているから一発逆転というほどでは無いわね。もう一つは究極兵器の召喚。これは幾つかの条件が揃ってないと出来ないけど、成功すれば敵の大魔尖塔オベリスクに凄いダメージを入れることが出来るわ」


 と、るーこさんはそう言いながらも声のトーンは微妙そうです。


「条件が厳しいって感じなのでしょうか?」

「まぁね。正直、多少は緩和してもいいんじゃないか……と、思ってる」

「どういう条件なんです?」

「まず、大魔尖塔オベリスクの残体力が15%以下。次にポイントも3倍以上差がついている状態で初めて可能になる特殊召喚。しかも、リスクが大きいのが問題で、必要魔素数が英雄召喚と変わらない。かつ、5人の生贄が必要になる」

「必然的に相手にキルポイントを与えるんですか?」

「そういうこと。しかも、究極兵器の召喚で呼べるのが2種類あるんだけど、扱いに癖が強すぎて正直不評なのよ」

「それは大失敗では無いでしょうか?」

「仲間内でアレを上手く使えるのは愚弟クオンか味噌くらいよ。アイツらあの手の癖の強いヤツって『萌える』らしくて、αテストの時に不利な戦場巡りとかやってたくらいだからね」

「と、とんだ変態さんですね」

「まさに!」


 そんな話をしている間に大魔尖塔オベリスクの残体力が20%を切るくらいになっていました。しかも、目に見えてドンドンと減っていく様は気持ち良さがあります。敵側からすれば溜まったものではないのでしょうけど……勝戦というものは気持ち良いものですね。


 私はそんな事を思いつつ、目の前の建造物を攻撃し続けるのでした。


 作業化した攻撃に少しつまらなさを感じ始めた頃に勝敗を確定するアナウンスがなされ、自軍の勝利が確定する。そして、同時に報酬として手に入った経験値によってレベルが上がるファンファーレがなる。


「あ、レベルもあがりましたね……」

「戦場では基本的にレベルあがんないからね。まだレベルがあがりやすい頃だからいいわよね」

「そうそう、すぐに全然レベル上がらなくなっていくから」


 るーこさんとカレンさんが言う。私はとりあえず「そうなんですか?」と、返すと二人は声を合わせたように「そうなのよ」と苦笑しつつ返答する。


「レベル32からは全くレベルあがらなくなるから。リアル時間で1日から2日に一度くらい?」

「そうね。あ、カレンが言ってるのはずっと戦場を駆け巡っての時間だから……ゲーム時間で1カ月に一度くらい? な、イメージね」

「それってゲームバランス酷くない?」


 と、みゃーが楽し気に会話に参戦。ゲームバランス的どうこうは因みに私には全く理解が追い付いて来ませんが、一日中ゲームを続ける人は本当に少ない……と、いうかネットダイブの性質上、連続起動時間が一定時間を超えると最低でも小一時間は接続できなくなる仕組みが入っているらしいです。


 美弥に聞いた話では、このゲームは特にゲーム内時間と現実時間のズレが大きいので特に規制が厳しく、現実時間での起動時間が一定を超えても接続規制されるそうです。これは本人達が言っていた事ですが、クオンさんやミソスープさんなどは時間計算しながら規制に掛からない限界値で接続しているそうです。


「あ、そろそろ撤退の時間ね」

「そうですね。陣営をそのままには出来ませんからね」

「普通のゲームと違うところでもあるのよね。お片付けの時間は大切だからね」


 カレンさんはそういって悪戯に微笑む。ちなみにるーこさんはお片付けが出来ないタイプなのは前回で分かってますよ。多くの傭兵団でも片づけを適当にしている人達は多いようで、そこは雇ったNPCの方々が片付ける流れらしいですが……時に物資が減ったりする事故があるそうですが、まぁ、考えれば当然ですかね。


「さ、帰るわよ」

「……ですね」


 るーこさん達と共にガンナムル城塞から離れることにしました。ふと、城塞を見ながら敵の帝国兵の方々が城塞から脱出出来たのか気になりながらも、再び出会う可能性なども非常に低いだろうと思い、それ以上は考えないようにした。

るーこ「そういえば、アイツら大丈夫だったのかしら?」

ちえるん「アイツ? ですか?」

るーこ「帝国のNPCよ」

ちえるん「どうなのでしょう……無事に脱出出来たと祈るしかないですね」

るーこ「まぁ、もう会うこともないだろうしね」

ちえるん「ですね」


みゃーるん「なんか、フラグっぽい会話」

カレン「確かにね……」


そうなのですか?(*‘ω‘ )(‘ω‘ (‘ω‘ (‘ω‘ *)まぁ、あるかも……




-----------------------------

どうも、もいもいさんです。

なんだかんだと忙しく+読みのエンジンが掛かって何作も読み漁る生活をしていたせいで、更新が遅れてしまいました。

6月からは書く方にも注力していきたい!

ってなわけで、皆様、応援よろしくお願いします!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ