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時間間隔の不思議

 数日ぶりの我が家への帰還です。


 実際には数時間ぶりに自分の部屋に戻って来たわけですが――とても不思議な感覚です。


 ゲーム終了からPCのオンラインロビーに戻ってくるまでの間にある調整時間に行われているのは、まるで催眠術師に催眠解除されたような感覚です。妙にスッキリしていて、長時間ゲームの世界で生活していたことなど無かったかのような錯覚さえ覚えます。


 時間を見ると16時50分。学校がある平日とは違い、連休の合間であることを考えれば旅行にさえ行ってなければ本などを読んでゆっくり過ごすパターンなのですが……。


「とりあえずママに聞かなきゃ……」


 私は小さく呟いて自室を出ます。


 この家は非常に古く、ちょうど明治から大正の頃に建てられた武家造の建物を増改築した和洋折衷、換骨奪胎な建築物でパッと見は古い和風建築で中は最新のホームシステムが組み込まれているなんと表現してよいか分からない建物です。


 ちなみに我が家のホームシステムは私にはとても使いこなすことが出来ないくらいに色々なことが出来るようですが、私と母は音声認識で電気がON/OFF出来たり、冷暖房の設定くらいが限界です。


 美弥曰く、ネット番組の予約や見たいところ編集機能などもホームシステムからコントロール可能だとか言っていましたが、正直言って使う必要性さえ見いだせていません。


 そんなことを考えながら廊下を歩き、リビングへ入る。


「千絵ちゃん、従兄の音弥おとやくんから連絡があったんだけど……」

「うん、知ってますよ」

「長らく見てない間に立派な感じになってて驚いたわ。で、20時に集合するからお風呂とご飯と間に合うようにして欲しいって言われたから、お風呂の準備はすませておいたわよ」

「美弥はどうするって?」

「美弥は夜中でいいんだって。できれば早めに入って欲しいんだけど……」

「ま、お父さんとブッキングしなければ大丈夫じゃないかしら?」

「この間も揉めていたものね」

「じゃぁ、お風呂先に頂くね」

「ええ、出たらすぐにご飯食べれるようにしてあるから」


 私は返事をして、一度着替えを部屋に取り帰ってからお風呂場へ向かった。少し前にヌルヌル事件が起こった危険な現場ではあるけれど、現在はその影も無く非常に清潔で寛げる空間になっている。


 我が家では必ず温泉の素を何か入れる決まりがあり、一番風呂を頂く人間が選んでもよいというルールになっている。最近の私が気に入っているのは炭酸風呂でお風呂に色が付かず、変わった匂いもしない。それでいて、意外と全身まで温まれる優れものなのです。ポカポカ気分は最高の気持ちなのです。


 そして、サッと風呂からあがり、身体を拭き鏡の前に立つ。そこに映る自身の姿はゲームの中の自分とは少し違う、本当の自分だと何気に思い安心する。この数日、現実時間で言えばたった数時間の話だけど、ゲーム内時間で言えば結構な日にちが経っている。しかも、ゲームの中で食事をしたり睡眠を取ったりしていたことを考えると本当に不思議なことである。


 現実の身体は空腹も眠気も感じていない――か、どうかは不明だけれど、ゲーム内では確実に空腹や眠気を感じ、食事を取れば満腹感がやってくるのだから。普通に考えるとこの生活を送っていれば確実に感覚がおかしくなるような気がするのですが、ログアウト時の調整空間でのほんの少しの時間が本来の肉体時計や脳内の感覚を正常にしてくれるそうです。


 どうやってズレた時間間隔を元に戻しているのか不明ですが、確かに現在、私は特に違和感も感じていない状態でいます。だからこそ、不思議であって奇妙な違和感のようなモノが付き纏っているのですけれど。


 そんなことを考えながら鏡に映る私の少し特徴ある髪色を見る。父がイギリス系アメリカ人といっても、そもそもは北欧系の血が濃く、祖母は綺麗なプラチナブロンドで私たち姉妹もその血が濃く出ていて両親に比べると随分と違う髪色でひと悶着あったとか……なかったとか。ただ、不思議なことに学校などでは思っているより目立ってはいないらしいです。


 詳しい話は実のところよく分からないけれど、情報通の友人によれば不思議な双子という意味では目立っているらしい。ここに関しては意味が分からない……ただ、髪色が違うから。と、いう理由では無いそうです。


「まぁ、ストロベリーブロンドとかグレイアッシュなんて髪色の子達がいるおかげですね……さすがに虹色の髪の毛には笑いましたけれど。そういえば、美術部の子がゲーミングカラーとかいった蛍光色にしていましたね……」


 私は呟きつつ、祖父の若い頃であればあり得なかったという話を思い出しつつ、ゲーム内での自身を思い出し、自身の髪に触れる。


「でも、やっぱり日本人なら黒よね……ママに染めていいか訊こうかな」


 そんなことを呟きながら、温風装置を使って髪の毛から全身を乾かしてから着替える。


「そういえば、玄関にあるクリーンゲートとかもあんな感じよね……」


 昔はいざ知らず、現在は多くの家で玄関にはクリーンゲートが設置されており、風でホコリや花粉を落としイオン洗浄やアルコール洗浄を行って外から入ってくるウィルスなどを低減させる。死滅させれるほどの効果がないところがポイントではあるけれど、このことで呼吸器系や肺炎系のウィルスでの死傷者が減っている事実があるので、一定の効果はあるのでしょう。


「さ、今日のご飯は何かしら……」


 私が食卓に着くと既に美弥が座って私が来るのを待っていた。スプーン片手に「早く早く!」と、言っていながらも先に食べないところが可愛いですね。


「ふふっ、お待たせしちゃったわね」


 そう言って私は席に着く。


 本日の献立はポテトサラダと煮込みカレーハンバーグです。因みに昨日はカレーライスでしたので二日目のカレーとなっています。


「千絵ちゃんのカレーは二日目アレンジにもってこいよね」

「一週間カレーでも大丈夫だけどね」


 それは美耶だけ……と、言いたいところですが、父も同じような事を以前に言っていたことを思い出します。


「いつもなら二日目はお昼にカレーうどんにするのに珍しいですね」

「昨日お爺ちゃんから良い肉を貰ったから。たまたまよ。玉葱は裏で取れたヤツです」


 近年の母の趣味は家庭菜園です。作った野菜を親戚に配ったりと少し楽しそうではあります。因みに先月辺りから裏庭に大きめの小屋が建てられようとしているのも、家庭菜園と関係がありそうなのですが、秘密らしいです。


 なお、私の推測では養鶏とか山羊とか羊などの家畜小屋ではないかと思っています。


 そういえば先日、孵卵器とスーパーで大量のうずら卵を買っていたのも関係していそうです。


 パパ……父もそうですが、ハマり出すととことんまで突っ走っていくのは我が家の業みたいなものでしょうか?


 ハンバーグはとても美味しいです。合挽き肉でしょうけど、とても甘味があるお肉に二日目のカレーにトマト、赤ワイン、ケチャップ……チーズと何かとてもコクを引き出す隠し味。さすがママの料理は最高ですね。


 そういえばミートパイが食べたかったんですけど、いつ料理しようかしら?


 母の料理に舌鼓を打ちつつ私はそんな事を考えていた。


「そういえばパパは?」


 普通の会社員であってもまだこの時間では帰ってこないのが普通ではありますが、父は自由なお金持ちなのです。因みに現在は何の仕事をしているか家族全員が把握していなく、先日、母がいい加減に教えてくれないかしら? と、首を傾げていたのを記憶している。


「昼頃に連絡があったけど、フランス辺りに寄るから数日帰ってこないって話よ」

「あれ? 今朝は京都の会社へ人と会ってくるって出かけましたよね?」

「ね。いつもながら自由な人よね」


 と、母はどこか楽しそうにそう言った。


 楽しげな要素はどこにもないのですが、んー私達には知らされていない何らかの計画があるのかも知れませんね。そういうところは私達姉妹が小さい時からあまり変わっていません。因みにですが、フランス辺りと言っていたあたり、フランスのどこかは伝えてないのでしょうね。恐ろしい人です……が、それ以上に寛容なママを尊敬します。


 そんな家族団らんを行い、洗い物とお茶をしてから、美弥と私は自室へ戻ったのが19時30分くらいで、20時集合に間に合うように私達は早めにログインすることにしたのでした。

ちえるん「この浮遊感ってどうにかならないのかしら?」

みゃーるん「んー、あくまでも演出的な部分もあるけどね。あ、そうだ!」

ちえるん「何かしら?」

みゃーるん「空戦メインの魔法使いゲーとかやってみない?」

ちえるん「でも、今のゲームもまだまだ慣れてないし……」

みゃーるん「まぁ、そうだよね。でも、浮遊感が気になるんだったら、慣れてしまった方がいいと思うんだよね」

ちえるん「みゃーの言いたいことは分かるけど、しばらくパスね」

みゃーるん「ボクと約束して魔法少女になってよ」

ちえるん「それは嫌かしら?」

みゃーるん「なんでよ?」

ちえるん「なんだか、嫌な予感がするのと、みゃーの目が妙な怖さを持っていたわ」


ネタだよ(*‘ω‘ )(‘ω‘ *)ネタなのね……よくわからないけど




もいもいのやる気向上の為にブクマ、評価よろしくです!

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