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考えうる可能性? まぁ、とりあえず……

「結局のところ……何も分からないんだよな」


 データベースを閲覧しながらクオンさんはそう言った。そして、すぐ後に「ただし……」と、付け加える。


「ただし?」


 私達全員がハモッてそう言うと、クオンさんは小さく苦笑した。


「『紅白蓮』のララセルや英雄未満のアーセナル・メルソンが英雄や国を乗っ取るとか……そういうのは勝手にしてくれ。と、思う所だけど、一番の問題は奴らが不正利用者チートプレイヤーを利用して何かをしていた可能性――これが一番の問題だと俺は思うんだよね」

「確かにそれは謎ですよね。結局、切り捨てたようですけど……自分達の思惑上、彼らの力が必要だった可能性がある。と、いうことですね」

「そうだよ。だから、分からないけど……我々も注意が必要ってことだよ。マイゾ王国は隣国だからね……ただ、現状は戦闘大陸で出会うことは滅多にないけどね」


 そう言って彼は地図を展開する。見た目は羊皮紙のようだけど、ゲーム用のシステムで宙に浮いた状態で地図を広げられる光景は奇妙な違和感を感じますが、他の人達は気にもしていないようです。


「さて、小難しい話は置いておいて、これからの経路を説明して野営場所についたら交代でログアウトして、夕飯や風呂に入って再集合で問題無いよね?」

「ええ、クオンさんが気を利かして家にまで連絡を入れてあるおかげで……」


 一応、嫌味だけは言っておこう。


「ま、まぁ、その節は申し訳ない……と、しか言えないな。ともかく、現状は戦闘大陸に向けて移動している。地図上ではこの辺りになると思う。野営地になる場所は共和国の最北にあたる場所で、戦闘大陸は目前ってところかな」

「それはいいのですが、マイゾ王国の国境もあるのではないのですか?」

「それなんだけどね。現在、マイゾ王国は戦闘大陸に出ることが出来ない状態なんだよ」


 と、クオンさんは地図を操作すると、地図上に各国の所属を表す色が表示される。


 ウィンブレール共和国の領地は黄緑色で表示され、西隣のマイゾ王国は橙色、東隣のラペルト自由商王国は黄色で表示されていた。世界地図というには非常に歪な地図で中央に大きな大陸があり、その周辺にいくつもの大陸が引っ付いている。まるで花びらにもにた形の世界で、各国の色が中央の大陸に浸食するような形になっている。


 しかし、マイゾ王国の北部は何故か紫色で蓋をされている状態であった。


「西の大国ギルムレッド帝国がマイゾ王国内……特に北部地域まで占領してるんだ。一応、抵抗はしているようだけどね。現状の戦力とプレイヤー数じゃ奪回はしばらく厳しいかな。で、今回一部のプレイヤーがマイゾ王国の北側にある戦闘大陸の土地を攻めたいって、所属国の公式板で言ってから。我々で宣戦布告をしようって流れ」

「地図上でみても、ギルムレッド帝国って随分と強いのではないですか?」

「まぁ、αからのプレイヤーでも一番人気の国だからね。初期位置が有利なのよ。逆に聖王国リンダーツや共和国は初期位置が不利。ただ、英雄や召喚ユニットが強力なのと、序盤でのレベル上げをするのにPvEエリアがいい感じになってるから、初心者プレイヤーでも前線へ行けるまでの期間が短くて済むっていう利点がある」


 と、るーこさんが自慢げに説明をしてくれた。


「ちなみに北の獣王国ライゼガングは初期位置では最も不利でキャラも育てにくい。でも、英雄がトップクラスの強さを持ってる。それと、攻城戦を主体としたマップが多くて非常に攻めずらいのが特徴。実はキャラをじっくり育てるには意外といいかもしれないんだよね」

「あそこの連中は統率力がヤバいわ。ケモナー達は本当に侮れない」


 カレンさんはそう言った。ケモナーとは一体なんでしょうか……みんなは「あー……なるほど」と、声を出していたが、私ひとりだけ首を傾げた。


「設定的に北のライゼガングは獣人の国なんだよ」

「獣人……ですか。狼男とかそういう感じなの?」

「そうそう。ケモナーってのはね、お姉ちゃん。獣人とかみたいに耳とか尻尾が生えた種族とか、そっち系の見た目に萌える人達のことを言うんだよ」

「そうなんだ。うーん、猫耳とか可愛い。みたいなこと?」

「ま、そんな感じだと思っておいて」


 なるほどです。さすが美弥。ちゃんと説明してくれるとても優しい妹なのです。


 それにしても、獣が好き……うーん、動物は可愛いですよね。なんとなく分かる気がします。でも、時に動物は狩る対象ですからねぇ。いくら可愛くても、食事にするために〆ないとダメな時もありますから。複雑な気分ですね。


 あ、ミートパイが食べたくなってきました。祖母の作る自慢のミートパイ……やっぱりウサギですかねぇ。


「お姉ちゃん。プレイヤーキャラは捌けないからね?」

「そんなこと、しないわよ。と、いうか人の形をしている動物っておいしいのかしらね?」

「情報ではミノタウロスとか食えるらしいよ」


 と、クオンさん。


「じゃ、オークとかもいけるってことですねぇ」


 美弥がそれに続く。でも、人の形をしているというのは少し忌避してしまいますね。


「さすがにちえるんでも人の形をしている魔物は無理よね?」


 と、るーこさんがすかさずフォローに回る。さすがです、察しの良さではみゃーに劣らず超高性能です。


「はい。やはり人の形をしていると……少し難しいですね」


 ただ、一つ思うことがある。知性の有る無しで意外とやれそうだとも思っている。魔物はなんと言っても魔物なのだから……既に沢山の魔物を殺して捌きましたからね。


「るーこさん、お姉ちゃんはたぶんヤレますよ。今もそんなことを考えていた節があります」

「マジで?」

「マジです。と、いうかたぶんですけど、知性があるかどうか……みたいな線引きじゃないですかね?」

「あーなるほど。私達がゲーム上だからという理由だけで人を殺せるってのと同じラインの話ね」

「そうです、そうです」


 と、るーこさんと美弥は非常に物騒な会話をしていますが……対戦型のゲームで言えば、人同士で殺し合うモノが多いと聞き及んでいるので、そうなのでしょうね。


 不思議な話ですけど、ゲーム上での体験は現実での体験と勘違いするという研究結果がある一方で、殺し合うゲームをやっている人の方が暴力性は低くなり、凶悪犯罪を起こすようなケースは低くなるという研究結果もあるそうです。


 結局のところ、犯罪を犯す人はそもそも別の問題を持っているのが一番の原因だと、私は思うのです……現実と仮想空間の区別くらいはつきます。現在だってそうですからね。


 そんなことを考えながら、本当にリアルな空間であると再認識しつつ再び地図を確認する。


「戦闘大陸の殆どはまだどこの国の所属でも無い場所ばかりなんですね」

「ああ、その通りだね。まだゲーム開始からそこまで時間が経ってないからね。考えると時間間隔のズレというのは怖いものだけど」

「そうですね。私は経験が少ないので未だに少し困惑気味ですよ。ゲーム内の一日が30分くらいだなんて本当にビックリです」


 それに少し前にちょこさんに連れていかれた空間はほぼ時間が止まっていたレベルに時間が経過していなかったことに驚いたのだ。1分が数年とかそんな事を経験したとしたら、確実に感覚がおかしくなりそうだと私は思った。


「ほとんどのゲームは実時間の三分の一くらいの設定が多いけどね。1時間が1日ってゲームも多いわね」

「そうだね。どのみち2時間に一度はログアウトしないとダメだから、程よい感覚ってのは結構難しいところだよね」


 クオンさん達の話を聞きながら本当に不思議な話だと私はボンヤリと考えていた。逆もあるのだろうか? 逆だったらもっと感覚が狂うかもしれないけど、どうなんだろう?


 考え事をしつつも、皆でワイワイと話をしている間に目的地の野営地に到着する。


「オイラたちは除けもんだったッス。つーか、クオンだけハーレム状態ってマジでクソッス!」


 野営地について馬車から降りて来たミソスープさんの第一声がそれだった。


「戦場迄はメンバーチェンジを要求するッス!」

「もとよりそのつもりだよ。ま、言ってもオレとしょこらんがお前らと同じ馬車にのるってだけだけど」

「ぐっ、爆ぜるッス! リア充!!!」

「まぁまぁ、よいでは御座らんか。そういえば、クオン殿ローテーションの順番は決めているので御座るか?」

「ああ、とりあえずちえるんとみゃーるんは一番にログアウトして休憩して、現実時間リアルで20時に戻って来てね。ま、多少遅れても大丈夫だから、無理はしないくてもいいよ」


 私と美弥はコクリと頷いた。


「で、次はねーちゃん。カレンも同じタイミングでいいよ」

「了解したわ」

「で、ねーちゃんとカレンが戻ってきたら俺、しょこらん、名斬、ミソな」

「畏まったで御座る」

「じゃ、さっさと、ちえるんとみゃーるんはログアウトして休憩して。お風呂はゆっくりめに入っても大丈夫だと思うけど、長風呂は禁止よ」


 るーこさんにも言われた私と美弥はその言葉に「はーい」と、言ってシステムメニューからログアウトを選択する。すぐにログアウトフェーズに切り替わって、落ち着いた音楽と妙にリラックスする空間が広がっていく。けれども、身体に感じる浮遊感にはイマイチ慣れない私であった。

みゃーるん「お姉ちゃん、とうとうちゃんとした戦場デビューだね!」

ちえるん「そうね。色々と不安が一杯だけど、頑張ってみる」

みゃーるん「ま、やることは作業半分だけどね。役割を理解して動くだけ」

ちえるん「そういえば、召喚って楽しいのかしら?」

みゃーるん「召喚専門で戦場を移動する人もいるくらいだから、それなりに楽しいんじゃないかな?」

ちえるん「一度は経験してみたいわね」

みゃーるん「確かにそうだね。クオンさんとるーこさんに頼んでみよう!」

ちえるん「そうね」


召喚? 超微妙……(*‘ω‘ )(‘ω‘ (‘ω‘ *)るーこさんは前線で戦いたい勢ですもんね





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