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閑話 大規模戦、初体験! その1

時は少し遡っての、みゃーるん視点です。

 『戦場の準備が整いました。開戦までのカウントダウンを開始します』と、ゲーム内アナウンスが聴こえ、開始までのカウントダウンが進む。


『30、29、28……』


 私は思わず心の中でUIに表示される数字をカウントする。けれど、自分の双子の姉が訝しそうな顔をしている。たぶん、ゲーム的に重厚なファンタジー世界に突如現れるデジタル表現でのUIに対して思う所があるのでは無いかと私は思った。


「お姉ちゃん。もしかして雰囲気ぶち壊しとか思ってる?」

「さすがにそこまでは思ってないわ。せめて戦の始まりは螺貝とかそういうのでやって欲しいところはあるけれど」

「どんな戦国だよ!」

「ちえるん、みゃーるん。開始前のカウントダウンはシステム的なアレだけど、戦闘開始の合図は中々にいいから見ていて」


 と、るーこさんが悪戯っぽく言った瞬間、カウントがゼロになり、自陣からも見える大オベリスクに魔法陣が展開され、眩い光を放ち戦場に広がっていく。それと同時に兵達の声、馬が駆ける音が響く。


「始まりましたね」

「意外と落ち着いてるわね」

「カウントダウンが始まるまでは結構緊張していましたよ」

「ちえるんらしいわね。さて戦況は……」


 姉とるーこさんのやり取りを聞きながら、集団戦が出来る数少ないゲームでの戦場デビューに私は心躍らせていた。開戦時の展開はクオンさんが予想した通りに進んでいた。敵が圧倒的な攻勢に自軍は瞬く間に敗走寸前の状態へ陥りそうな雰囲気さえあった。


 その時、クオンさんが近くにいる部隊が動き出すのを指差す。


「そろそろ、アッチが動き出すよ」


 それと同時くらいにプレイヤーらしき集団が敵陣へ向かって移動を開始する。 


「他にも傭兵団の方が参加してらしたんですね」

「俺達とは別経路で参加してるっぽいんだけど、この戦場は敵側にプレイヤーがいないっぽいから……」

「押し返せる……と?」

「そうだよ、ちえるん。NPCとプレイヤーの戦力の違いってのが見て分かると思うわよ」


 るーこさんの言葉にお姉ちゃんは首を傾げる。たぶん、命令違反をしていいのかどうかが気になっているに違いない。そういった細かいところを気にする生真面目な性格はお姉ちゃんの良いところでも悪いところでもあると私は思う。


 このゲームシステムでいうと、NPCから来ている指令を多少無視しても戦果ポイントが若干減る……と、いってもボーナス分しか減らないので確定枠は確実に手に入るので特に気にする必要は無いハズ。


 私がそんなことを考えている間にクオンさんがお姉ちゃんに似たような説明をしていた。


 約20名ほどの部隊が敵陣に向かって真っすぐ突き進んでいくと、敵陣に大きな穴があいたように左右に割れていくのが分かる。


「あれでは挟み撃ちにされませんか?」


 お姉ちゃんがるーこさんにそう言ったけれど、AIはそこまで馬鹿じゃないと思いたい。実際、ひるんでいる敵に追撃を行っている姿が確認出来る。


 そうこうしているうちに自軍と敵軍が入り乱れるような状況が生まれ始めており、本陣に残っている部隊も少なくなってきている中、お姉ちゃんの声が周囲に響く。


「私達の初陣を、勝利という形で終わらせましょう! 出撃!」


 号令と共に私達を含めNPCの一般兵の皆さんと共に前へ進む。


 ミソスープさん、お姉ちゃんの魔法で敵の足止めと数減らしが行われ、反撃しようと詠唱する敵に名斬さんとカレンさんが弓で狙い撃ち、相手の詠唱を妨害する。


 この間に一気に突破するのがいいと思い、クオンさんを見ると即座に頷かれ、私はやる気を出すために武器を握り直す――けれど、気が付くとお姉ちゃんとるーこさんが何やら楽しそうに会話をしていたので、私は注意を促す。もうっ、私の前でイチャイチャするんじゃないよ!


「って、お姉ちゃんもるーこさんも、そこ突破しますよ!」


 注意された、お姉ちゃんとるーこさんを目を合わせて小さく笑い、正面に広がる戦場に向かった。


 私はクオンさんから受けた指令通り、敵を抑えながらお姉ちゃん達が通り抜ける為の空間を確保する為に動く。


 盾での攻撃は基本的にダメージ判定が狭く、ダメージ値も基本的に低い。しかし、相手をノックバックさせる効果と一瞬だけ怯ませる効果があるので、大きな隙を作ることが出来る。ちなみにメイン武器であるメイス系の鈍器も同様に相手を怯ませる効果が高いので、打撃力より他プレイヤーとの連携を主体とした武器防具でのスタンスなのだ。


 あ、ちなみにメイス系の武器は高い防御力を持つ鎧兜を装備していてもダメージを通すことが出来る優秀な武器なのだ!


 そして、私が怯ませた相手をカレンさんが弓で確殺していくことで確実に相手に警戒感と恐怖を与えていく。プレイヤーだと警戒して若干引くくらいだろうけど、NPCは恐れをなして結構な速度で引いてくれる。うーん、モーゼの気分。


 そこにクオンさんの重力魔法が直撃して、さらに行動鈍化で逃げることもままならない状態で綺麗な突破口が完成され、お姉ちゃん達がそこを駆け抜けていく。


「頑張って、お姉ちゃん!」


 私の声にお姉ちゃんは親指をグッと立てて去っていった。


「さて、ここからが本番だ。一度、最右翼側へ移動しながら、次は中央へ切り込んで中央にある魔素溜まそだまりを確保しよう。アイツ等も同様の動きを見せるだろうから、連携していこう」


 クオンさんはNPCへの指示コマンドを使いながら兵士達に命令を出しつつ、私達へも行動位置をマップ上にマーキングしてくる。大規模戦じゃなくても、ネットでの対戦系ゲームではこういった指示を上手く出せる人がいる、いないで勝敗が随分と変わってくる。


 ただ、聞いた話によると日本人プレイヤーは海外のプレイヤーに比べて指示が非常に少ないという。私にはよく分からないけど野良でもソコソコ戦える人が多いのは皆が自分の役割しごとを黙々とこなせることが出来る――たぶん、空気が読めるってことかな? とは思う。


 そうなると、あまり多くの会話は必要としない。状況によってはチャットなんて無くてもなんとかなる場合だってある。


 そんなことを考えつつ、淡々と出会いがしらの敵を盾でピヨらせ、メイスでピヨらせながら敵陣を進む。私の後ろにいる兵士やカレンさんが足を止めた敵を素早く処理して行き、漏れた敵はクオンさんが処理をする。


「本来は攻防一体って感じになるハズなのに……スタン要員だ」


 私は思わずぼやきつつも、キチンと仕事をこなしていく。DPSで言えば確かに剣や魔法と比べて高くもなく、低くもなく……なんだけど、NPCの兵士は雑魚過ぎて盾受けとかを使う回数があまりにも少ない。確かに敵を倒すという点においては鈍器だと効率が悪いと思う。


「ほら、ボヤかない! 次々いかないと!」

「はーい! よいしょっ!」


 盾による<シールドバッシュ>と鈍器系であるメイスの<ハードスタンプ>で敵兵を足止め、鈍足、気絶など様々な効果を与えながら私は目指すポイントに向けて移動を続ける。うーん、現状はただの無双ゲーだなぁ。早くプレイヤー同士の対戦をしたい。


 ただ、この速度で突き進めるのも後方にいるカレンさんの攻撃力が高いことと、クオンさんの器用さがあってだと思う。お姉ちゃん達がこれに加わったらさらに突破力が高くなるだろうなぁ。るーこさんもお姉ちゃんも純粋な破壊力高いし。そういえば、ミソスープさんもかなり器用なキャラメイクをしていたなぁ……クオンさんは支援よりネタ系構成、ミソさんは魔法よりネタ系構成って感じかな。


 このゲームにおいて攻撃系の魔法スキルと支援系のスキル構成って、相性があまりよくない印象だったのだけど、あの二人はそれを簡単というか流れるようにやってるところ。……ヤバい、マジでヤバい。


 るーこさんみたいな、攻撃特化の方がタイマンでは最強なんだけど、特定の状況下において器用貧乏な構成がハマる場合が存在するんだけど、クオンさんとミソさんはまさにそのパターンだ。


「と、いうか皆がるーこさんに合わせた構成なのかな?」


 思わず独り言ちながら迫って来た敵に<ハードスタンプ>で怯ませ、さらに一歩進み別の敵に<シールドアタック>で敵を吹き飛ばし、さらに一歩進み<アッパースイング>でさらに別の敵を吹き飛ばし、さらに一歩進み、逃げようとする敵に<シールドバッシュ>を使って気絶させた。


 その一連の流れを見ていたカレンは足を止めた敵に対して弓でヘッドショットで殺しながら感心していた。


 スキルとスキルのつなぎ目には多少のディレイが存在する。現実世界でも動作と動作の間には予備動作が存在するように人間としてある程度、無理な動きにならないように計算されて設計されている。しかし、どうやっても各スキルとスキルの間にあるディレイを無視することは難しい。


 しかし、ディレイキャンセルという方法があるのだけど、非常にタイミングが難しく連続でスキルを使えば使うほどタイミングがシビアになっていくのだけど、彼女は既に何十連というタイミングを失敗せずにディレイキャンセルを行いながら敵の足を止めるスキルを使っている。


 SPを使用しないスキルと特殊動作を使うことで、SPの自動回復時間を稼いでいるけれど、そのSP管理のセンスと感覚はるーこと似ていて光るセンスに少し嫉妬しなくも無い気持ちが沸き上がる。


(冗談抜きであの子もあっち側か……)


 そう言いながら彼女が足を止めた敵に向かってヘッドショットでも致死判定が発生する脳天への弓攻撃を行い敵兵の命を奪っていく。


 もし、この話をクオンにしていた場合。確実におまえもあっち側だよ! と、突っ込むことだろう。しかし、カレンは自身に対しての評価は基本過小評価であり。同列に語られると困ると思っているけれど、クオンやるーこでさえも彼女は超級のリアルチートキャラだと思っていることは彼女には秘密である。


 そうやって、傭兵団【鋳薔薇の森】の面々は中央にある魔素溜へ到着する。

カレン「みゃーるんの目標プロプレイヤーは?」

みゃーるん「当然! Luka*に決まって……」

カレン「るーこだよ。るーこ」

みゃーるん「今、そう思ったせいで黙っちゃったわけです!」

カレン「で、誰だって?」

みゃーるん「あー、いや、でも……る、るー……」

るーこ「ん? らんらん?」

みゃーるん「るー! じゃ、ないですぅー!」


面白い娘連れてきたよね(*‘ω‘ )(‘ω‘ *)ホント、面白いよね

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