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ズルをする者達 その2

 男達は狂ったような雄叫びを上げて坑道内の物を破壊し、大いに荒らしながら進む。


 しかし、彼らが追う獲物はその姿が突然消えたかのように姿が見えない。


 彼らは知っているハズなのだ。この坑道がそこまで複雑ではない事。故に逃げ道など無いハズなのだ。


「んぁ? どうなってんだ? なぜいねぇ?」


 男は苛立ちを隠せずに言った。彼らは重要なことに気がついていない。このゲームはゲームではあるが、それ以前にワールドシュミレーターであり、特定の条件下で作り上げられた世界。人がマップデザインして作ったマップでは無い。もし、そうだったとしても、このゲームでは破壊したり造ったりする事もやれば出来る。


 作られたマップという概念が長らくゲームをプレイしている多くのプレイヤーには染み付いた考え方ではあり。マップ破壊可能なゲームの場合、初めからそういう事が出来ると説明があるから、出来るということを皆が分かっている。


 さて、このゲームの場合はそういう点での広報や情報は出していない。出していないということは出来ないと思うのが世の常なのだ。


 ちなみにるーこさん達の場合はαテストの時にどれくらいまでのマップ構造物が破壊できるかの実験を行ったらしい。なお、戦闘マップ上で破壊や障害物の構築をする意味を感じられなかったので、その点においては全くやらなかったが、出来るという事実だけは情報として仲間内で共有していた。


 坑道は複雑に入り組んでおり、各階層ごとで言えば広いとは言えない。しかし、大きな階層とは別に狭く入り組んだ古い坑道がそこらかしこに存在しており、いくつかの場所は出入りの後があった。


 私たちは迫る敵に焦りながらも付近に存在していた通常のマップ上では表示されていない坑道へ壁を掘り移動した。


「壁の補修材料ってアイテムが存在するんですね……」

「クオンが見つけてたんッスよ。しかも、これって回復アイテム扱いで戦場にも結構な数を持っていけるッス」

「回復アイテム……なんですか?」

「まぁ、壁を簡単に修理する特殊アイテムではあるッス」


 ミソスープさんが使用した壁の補修材は穴を開けた壁に木枠の衝立のようなモノを置き、付近の泥や岩を投入することで、即座に周囲に溶け込んだ壁になるという不思議なアイテムだった。この世界の魔導機としてはかなり一般的なモノらしく、建築系の道具を扱っている商店で買えるとのこと。


 今回の物資リストで気が付いた時に聞いて説明を受けた時はそんなアイテムもあるんですねぇ。くらいにしか思っていなかった。


「地面に穴を開けて下の層に移動して天井に補修材を使うとか……できないんですか?」

「うーん、それは試したことがないんで分かんないッスね。それに下に降りたとして届くかどうかが分かんないのは問題ッス」

「とりあえず、次に移動するわよ……気が付かれても面倒だし。後は敵の数をどうやって減らすかだけど……」


 四人で空間に表示された立体マップと、戦闘システム上で確認できるマップを見比べる。


 ちなみに旧坑道で隔離されている場所に限ってはどうやら戦闘マップ外という判定をされているのか、戦闘システム上のマップには誰もマーカーされない事が分かっていた。


「不正のパターンが分からないで御座るからなぁ。出来れば()()が来てから強制排除(ログアウト)が一番で御座ろう」

「それが一番確実よね……さっきクオンに連絡取ったところだからね。数分は相手に察知されないように逃げるしか無いわね」


 彼女の言葉に全員が無言で頷く。


「うーん、GM権限貰っとけばよかったかしら?」

「姐さんがそれは面白くないから嫌って拒否したッス」

「分かってるわよ……」


 るーこさんは口を尖らせてそう言いながらマップをグリグリと回転させる。拗ねる姿が何とも可愛らしい。


「ちなみにですが、GM権限とは一体なんでしょう?」

「ゲームマスターって言って、ゲーム内の管理用権限なんだけど、不正利用者や違反者をリアルタイムに排除することが出来る機能がいくつもあるのよ」


 仕組みや難しい事は分かりませんが、特殊なプログラムが使える特殊な人達という感じなのでしょうか?


「えっと、不正利用者チートプレイヤーと似たような感じですか?」


 私がそう言うと全員が「うーん」と唸り、その後に納得する様な表情を浮かべた。


「ま、言えばそんなところね。ゲーム作ってる側の機能だから、システム権限でも上位にあたるから、ある程度の不正プログラムに対しての対策もしてる」

「クオンさんとかは持ってたりするんですか?」


 るーこさんは私の疑問に対して「ま、気になるよね」と呟いて微笑む。


「ううん、愚弟クオンも私と同じ理由で断ってた。因みにだけど、事情を知ってるプレイヤーで今回GM権限を持ってるプレイヤーはいないハズ。持ってる場合は教えて貰うって約束だし」

「なるほど」


 と、いうかそんな約束を運営会社の方としてらしたのですね。


「まぁ、何にしても不正利用者チートプレイヤーに対しての策って点においてはGM権限を持ったキャラクター以上の奴らはいないから……って言ってる間に来た?」

「みたいッスね」


 次の瞬間、すぐ側の空間が揺れて地面に特殊な光が発せられ、光の粒子が集まって人の形を形成していきます。なんとも不思議な映像を見ているので、改めて現実世界とは違うのだと痛感するところです。


「はいはい、どうもー。呼ばれて飛び出てなんとやら~♪」


 なんといいますか、台詞が驚くほどに棒なしょこらんさんにそっくりな女性が登場してきました。うーん、まさか私と美弥のように双子なのでしょうか?


「ちょこ、申し訳ないけど不正者チート対策よろしくね。私達じゃどうにも出来そうにないから」

「了解、了解。既に不正者が()()()()()()傭兵団は隔離鯖へ移動してるから、このマップ上にいる不正利用者チートプレイヤーを確実にとっ捕まえる――と、いうか知らないプレイヤーねその娘」

「はじめまして、ちえるんと申します」


 彼女は私を見踏みするような視線で見まわして「ふーん」と、棒な感じで反応されました。なんとも……微妙な気持ちになるのは私だけでしょうか?


「ちょこ……さんは、しょこらんさんと姉妹なんですか?」


 私がそう言うと、彼女は一瞬首を傾げてからポンッと手をついて「おおっ」と、感嘆の声をあげた。よく分からない空気感に私は心の中で微妙な表情をしておきます。あくまで心の中ですから、表情には出しませんよ。


「うん、まぁ。双子みたいなもんだよ」

「そ、そうなのですね」

「色々と事情はあるんだけど、悪いヤツじゃないから。ま、しょこらんの妹? みたいなもんだと思っておいて」

「よく分かりませんけど、るーこさんがそう言うならそういうことにしておきます」

「そうそう、気にしない気にしない」


 そういうぼかし方をされるとすごく気になるのですが、たぶん聞いても教えては貰えない……と、いうか教えると色々と不都合があるのでしょう。私は今日のところは素直に言うことを聞くことにして、不思議な人物である『ちょこ』さんを観察することにしましょう。


 見た目はしょこらんさんに似ているのに雰囲気はまるで違う……と、いうか双子でもここまで見た目が似ているのは珍しいでしょう。私と美弥は見た目だけで言えば実はそこまで似ていないと言われています。時に二卵性双生児かと問われることもありますが、一卵性双生児なんですよね。


「さて、ここからは機密情報の扱いを行うので、全員規約契約に了承して。内容は……まぁ、SS撮らない。録画しない。今日あったことをネット上に流さない。OK?」


 彼女がそう言うと目の前に書類が現れる。色々と難しそうな内容が書かれている――秘密保持契約書ですか。今まで、こういったモノを見たことが無いのでとても不安な気持ちになります。


「まぁ、あくまでも形式上のモノだから。ちなみにサービス終了したら、その限りじゃないので気にする必要はないです。さっさと名前を書いて『承認』ボタンを押して」


 他の人達は既に署名済みのようで、全員が私を見ているようです。


「ちえるん、大丈夫だから。ちゃっと書いちゃえばいいから。問題あったらお姉さんが責任取るから安心して」


 と、るーこさんが悪戯っぽい表情でそういいました。が、そういう軽い言い方をされた方が不安になるんですけど。


「姐さん。軽いッス。軽すぎッス……それじゃぁ、団長不安になっちゃうッスよ。彼女まだJKっしょ?」

「言っても、ここの運営は知り合いだらけだから、早々問題になんかならないから大丈夫よ」

「知り合いだらけなんですか?」

「まぁね。ワールドシミュレータの起動立ち上げから協力してるくらいに知り合いだらけなのよ。まぁ、運営情報は機密まみれだから私はなーんも知らないけどね」


 私はとりあえず、時間があまりなさそうなので署名して『承認』ボタンを押した。はっきりいって色々言われても慣れないことをするのは不安になるのは性格上の問題無いので仕方ないと思ってください。美弥なら何も考えずにサッと署名するんでしょうね。


「さて、とりあえず軽度の違法者に関してはロックして隔離鯖へ案内完了。残りは3アカウント……攻勢防壁と複数の串で攪乱してるのがいるっぽい。……これは直接じゃないとダメか……」

「どうする? 私達は待機しておいた方がいい?」


 るーこさんがそう言うと、ちょこさんは表情を変えずに首を傾げる。なんだか、少し人形っぽい雰囲気はかなり奇妙だと言わざるを得ませんね。


「んー、守ることを考えると離れられると問題があるかもしれない――とりあえず、空間保護は思ったより範囲が狭い。ま、そこは今後の課題。だから、全員そばにいることを推奨。ただ、手出しも無用」


 そういった次の瞬間――私達は光に包まれた。

ちえるん「光ってますね……」

るーこ「光ってるねぇ」

ちえるん「これから、どうなるんですか?」

るーこ「うーん、私に聞かれても困るかな?」

ちょこ「楽しいショータイム。に、なるかどうかは気分次第」

ちえるん「気分次第……なんですか?」

ちょこ「まぁね」

ちえるん「でも、楽しいのでしょうか?」

ちょこ「んー、人によるかな?」


ですよね(*‘ω‘ ) (‘ω‘ *)まぁね


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