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クリオファス魔鉱田攻略戦 その6

 坑道内を警戒しながら素早く移動していく。


 同じ状態が続くと言えば察してもらえるでしょう。敵と会うなどという事は本当に無さそうなほどに、坑道内には人の気配がありません。


「全くもって不可解極まりないわね」

「ッスねぇー」


 と、るーこさんとミソスープさんが呆れたように小さく溜息を吐いた。


「とりあえず、目的地でよい情報があればいいですね」

「そうね……」


 そう言いながら、目的であった自国の各商会が軟禁されている区画への扉へ手を掛けつつ、全員で警戒態勢を取る。


 この区画は坑道内の他の場所に比べて非常に広く開けており、閉塞感を感じさせないように天井も高い。当然、扉のサイズも他の扉よりも大きい。


「じゃあ、開けるッス」


 るーこさんの指示でミソスープさんは重そうな扉を人が通れる分だけ開き、扉の先に少しだけ身を乗り出して様子を伺う。


「なんか、覗いてみたッスけど、この中もあんま変わんないッスね」


 そう言ってから扉をもう少し開き、私達に向けて手招きをする。


 名斬さんを殿にるーこさん、私と続く。一応事前情報からすると、この付近は中層居住区という場所で、長く篭っている鉱夫や魔素壺の取引で入っている商会が数日間過ごす為に用意された区画だそうです。


 広さも他の通路より広く、少し天井が高いだけで閉塞感が随分と薄れるのはとても不思議ですね。


「それにしても誰も居ないのは嫌な感じね」

「ですね。閉じ込められてるにしても、それを見張る兵士もいないというのは……どういう事なんでしょうか?」

「扉にも鍵さえ掛かって無かったッス」

「……不味いかもしれないで御座るな」


 名斬さんの一言で全員が緊張する。ここを占拠していた敵が軟禁していた者達をそのままにして放棄するでしょうか? 普通に考えれば、逃げれないようにする最も簡単な方法が存在して、状況的に実行されたかもしれないという可能性。


 私は一瞬想像して、否定する為に首を振った。


「拙者が近辺の様子を確認するで御座る……」


 彼はそういうと、スキルを発動させる。次の瞬間、名斬さんを中心に網目状の円が広がっていく。


 一定範囲まで広がった円はフッと消え、名斬さんは難しそうな唸り声をあげた。


「むぅ……これは、想像通りかもしれないで御座る。先ほどのスキルは探知系のスキルで空間系の魔導機からの派生スキルで御座る。周囲100メートル内にいる敵味方などを数秒間だけ視認出来るで御座るが、全く反応がなかったで御座る」

「旦那の使ったスキルは集団戦では無意味ッスけど、こういう複雑なマップでは結構有効なスキルッス。デメリットとしては使われた側にも探知されたのが分かるから敵におおよその位置がバレる事ッス」

「味噌、そんな解説は今はどうでもいいのよ……はぁ、全く嫌なクエストになっちゃったわね」


 るーこさんはそう言いながら周囲を見渡しながら小さく溜息を吐き、警戒態勢維持した状態で奥に続く通路へ向かう。


「名斬、CT終わったら、もう一度サーチ打ってくれる? マップからしたら念のために後一箇所くらいは必要かしら?」

「…………」


 ゲームだと分かっていても、こう言った展開と言うのは非常に空気が良くないのは確かで、全員の空気は重い状態です。ミソスープさんは、おちゃらけた事を言いたいような雰囲気をグッと押し殺している様子を見ていると、少しくらいは大丈夫ですよ。と、言ってあげたいくらいですが、たぶん、るーこさんに怒られそうです。


 そうして、私達は周囲を探索しつつ、名斬さんの探知スキルで周囲……上層含めて誰もいない事が判明し、また、最奥の倉庫に無造作に積み上げられた死体にるーこさんが小さな悲鳴を上げた。


「くぅっ、恥ずかしいっ」

「恥ずかしく無いですよ。普通の反応というか、みゃーならもっと酷い悲鳴を上げてましたよ」

「うーん、慰めになってないし。ちえるんの方が落ち着いてるのはちょっと悔しい」

「私だって驚きましたし、大丈夫かと言われれば微妙です」

「そう? ならいいけど。取り敢えず動き方は考えないと不味そうね」


 と、文句を言いつつも切り替えが早いところは流石という感じです。


「それに全く敵がいない状況……上に上がるのは少し注意が必要かもね」


 るーこさんは小さく息を吐き、気持ちを切り替えるように腕を組んでそう言った。


「何か分かったんですか?」


 私の言葉にるーこさんは首を横に振る。


「いいえ、分からないから警戒する。それにひとつ可能性がある……と、いうか勘みたいなレベルの話だけどね」


 るーこさんがそう言った瞬間「あー、あの手か!?」と、ミソスープさんが驚きの声を上げる。


「どういった手なのでしょう? 驚くような一手という感じなのですか?」


 私が首を傾げるとミソスープは言って良いかどうかを伺うようにるーこさんへ視線を向ける。るーこさんはハッキリと頷き言っても大丈夫だという視線を返す。


 因みに私とも視線があって、彼女は優しく微笑んだ。分かっていますが、いつもながらズルイ人だと思いつつ優しい笑顔を貰えたことに喜ぶのでした。当然ですが、周囲に勘付かれることなんてさせません。


「至極簡単な話、バグ技ッス」

「バグ……虫ですか? あ、不具合のことですね」

「そうッス。タイミングとかが重要なんッスけど、特定の方法で探索系のスキルを躱すことが出来るッス」

魔尖塔オベリスクもですか?」

「流石にそれは無いと……いや、もしかしたら事前に大魔尖塔オベリスクが展開するタイミングで成功していれば、その後は全くサーチされない可能性はあるッス」


 そう考えると、私達は敵の動きを全く把握出来ていない可能性があることになります。問題としては、どれくらいの人数と規模が見落とされているか……それを踏まえた上で行動をしないといけません。


「前回からまさか直ってなかったとは驚きッス」

「既知の不具合だと公式が発表してたで御座る。ただ、現象を故意に起こすのは難しいようで、再現性が極めて稀なせいで後回しにされてるらしいで御座る」

「マジッスか……」


 そう言ってミソスープさんは何かを考えるように俯き加減で黙ってしまう。


「ともかくよ。既に敵の罠に入っている可能性大と考えるべきね。しかも、NPCをゴミのように殺せる奴等がいる……と、いうかαからのプレイヤーでそういう事が平気で出来る奴等を知ってる」

「そのようなアウトローな方がいらっしゃるのですか?」

「まぁね、しかも前回のテスト期間中にチート行為が見つかってアカウント停止されてる、相手をするには面倒なのは確実だし、警戒しないといけない――全く面倒な話ね」

「急ぎ、上層を目指した方がよさそうで御座るな」


 るーこさんは名斬さんの意見に「そうね……」と、呟いて数歩進んでから足を止める。


「ねぇ、居住区域から出るルートは幾つある?」


 るーこさんは事前に作った地図データを表示して、名斬さんとミソスープさんに聞いた。二人とも突然のことに困惑の色を隠せずにいたけれど、お互いのデータを突き合わせて新たなマーカーを設置する。


「本来は入って来た扉の方が正規ルートッス。ただ、目的は不明ッスけど、幾つかこの区域から別の坑道へ抜ける道が存在するッス」

「ただ、上層へ向かう道でいえばかなりの遠回りになるで御座る」


 と、名斬さんは居住区域の奥にある小さな倉庫にマーカーを置いた。


「このクリオファス魔鉱田まこうでんの内部いくつかの場所にこうした倉庫があるで御座るが、かならず塞がれた壁が存在するで御座るよ……この倉庫の壁に関しては予定外で御座ったが、調べておいてよかったで御座る」

「ほんと、たまたまッス。時に不必要だと思ってた情報が使えるってのはいいことッスね」

「そうね。無駄に色々と調べまわるタイプのメンツで助かったわね。とりあえず、急ぎましょう……嫌な予感が止まらないし」


 全員が無言で頷き、目的地へ急ぐ――

ちえるん「チーターって、可愛いですよね」

るーこ「Cheetahならね」

ちえるん「Cheaterですものね」

るーこ「そうそう……」

ちえるん「そういえば、昔の日本では狩猟豹と書いたそうですね」

るーこ「そうなんだ……豹ではないよね?」

ちえるん「パッと見では分からないですけどね」

るーこ「チーターとヒョウとジャガーね」

ちえるん「ちなみに、チーターはサバンナ。ジャガーはジャングル」

るーこ「ヒョウは山岳地帯から熱帯雨林まで幅広くってね」

ちえるん「知ってらしたんですね」

るーこ「たまたまね。ちなみにクロヒョウとヒョウは昔、亜種だと思われてて分類わけられてたんだよ」

ちえるん「なんにしてもネコ科の動物はカワイイですね」


モフモフしたい(*‘ω‘ *)(*‘ω‘ *)モフモフよねー

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