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クリオファス魔鉱田攻略戦 その5

 坑道内を進みながら私達は不安に駆られていた。


 下層の詰所でみた兵士以外に誰も出会わないし、小魔尖塔(オベリスク)の範囲内にも誰も存在していない状況というのが異常だと私達は思い始めていた。


「こういう展開って、すごく嫌な感じがするのよね……」


 と、るーこさんは分かれ道の角に近づいて周囲の警戒を行う。


「誰もいませんね」

「全くもって不可解ッスね。逆に簀巻きにした兵士がなぜあんなとこにいたのかって方が、気になって仕方ないッス」


 確かにこの状況を考えると、あの兵士の存在は奇妙としか言えないのです。しかし、簀巻きにしてしまったので余程の事がない限りは動くこともままならないでしょう。それはいいとして……目的の階層に来て、未だに敵と会敵していません。


「アレですかね。既に敵としてはこの場所に用事は無い。と、いうことなのでしょうか?」

「その辺はよく分からないわね。ただ、色々と腑に落ちないって感じかしら?」

「そうッスね。そもそも、依頼って形で出されたクエストが本当にゲーム的に機能しているのかってところも不思議な感じッス」

「その辺りは大丈夫だと思うで御座るが……NPCどころか、世界構築自体にAIが使われているわけで御座るからなぁ。こういうところはクオン殿ともう少し詰めて話をしておきたいところで御座る」


 このゲームの特殊性に関しては美耶から色々と聞いているけれど私はよく分からないので実感できないけれど、他のゲームをする人達にとってはその特殊性を感じるようです。


 特に世界構築やNPC存在なども、人間の手はあまり入っていないAIによる創り上げられた世界は他のゲームには無い完成しているようで非常に未完成で不安定な不安を感じるらしいです。残念ながら、私にはそれを比較する材料はありません。


 閑話休題です。


 現状は会敵しないという事はある意味で言えばラッキーな事です。ただし、戦場に於いては私達はほぼ何もしてない状態なのです。


 故に戦闘大好きな傾向にある、るーこさん達からすれば不完全燃焼な状況が続いている事が問題になっていきそうです。


「ともかく先に進むしか無いですね。サッサと自国の商人さん達のお話でも聴きに行って情報を増やしましょう」

「そうね。早くしないとこの戦場も終わってしまいそうだし」

「あー、かなり押し込んでキテるッスね。って、魔鉱田に籠城する気はないッポいッスね」

「それはマズイ。急ぐわよ!」


 るーこさんの声に皆がハッとするが、私だけ分からなくて首を傾げた。


「団長が不思議な顔してるッス」

「あー、えっとね。ちえるん……籠城戦にならない場合はここは戦場では無くなる可能性が出てきた。って言って察せる?」


 るーこさんは苦笑しつつそう言った。なんとも簡単な話ですが、これはいい事なのでは無いかと私は思ったりしています。


「えっと、戦場で無くなる方がいいんじゃないですか?」

「まぁ、戦闘しない方がいいこともあるけど、私達の目的は?」

「戦場で魔鉱田まこうでんに潜入して捕われている自国商会の人達を解放と情報収集。状況次第では戦場の撹乱とか、最高なのは魔鉱田まこうでんの占拠ですよね?」

「前提としては?」

「えっと……前提ですか? 条件としてはクリオファス魔鉱田まこうでん奪還ですから、戦闘のある無しに関わらず勝利条件としては問題ないですよね?」

「確かに勝利条件としては間違ってない……だけど、間違ってるのよ。ゲーム的な話になるけど、場所の占拠や攻略を目的とした戦場のゲームルール」


 るーこさんにそう言われて私は美耶から説明された話を思い出す。


 いわゆる攻略戦と呼ばれるゲームルールは幾つかのフェイズに分けて進行する。まずは野戦フェイズ。両軍が魔尖塔オベリスクを展開させ戦闘を行う。戦場の規模は最大で1万人という話だけれど、実際にプレイヤーが参加出来る人数は1千人程度らしいです。


 そして、城や施設が存在する場合防衛側が一定まで押し込まれた場合に籠城戦へ移行する。


 籠城戦はさらに規模の小さい戦場で、最大で300人が参加出来る。ただし人数が多い場合は同様の戦場……と、いってもマップ構造によって2箇所から4箇所まで展開される。


 今回のようにクリオファス魔鉱田まこうでんのような施設がある場合は条件達成で自動的に籠城戦の展開になる筈なのですが……今回はそれが起こっていない?


 可能性として考えれる事は既に戦闘が始まる前に放棄されていた場合。ただ、戦場に存在する大魔尖塔(オベリスク)魔鉱田まこうでん付近に敷かれた敵本陣後方にある。


 押し込まれれば敵は戦略拠点である魔鉱田まこうでんに籠城をするような形にした方が有利なハズです。特に兵力差を考えても、まるで城砦のようなクリオファス魔鉱田まこうでんに立て込まれた場合、攻める側は数倍の兵力と時間が必要になる。


 その場合、このゲームで設定されている一回の戦争に使用可能な時間を超える場合は防衛側の勝利となり、再度宣戦布告を行うには一定の期間が必要となることも考えれば籠城戦をした方が良い筈です。


 なんでしょうか。このなんとも言えない違和感のようなものは……そんな事を考えているとるーこさんが「気が付いた?」、私に向かって言った。


「違和感を感じた。と、いう感じでしょうか? 可能性としては2つですね」

「2つ?」

「いえ、正確には3つですね。まず、るーこさんに指摘された戦場の条件が変わっている場合。そして、次は籠城戦の条件が満たされていない場合。最後はそもそも相手はここの拠点を占拠していない場合です」

「はぁ? ちょ、ちょっと待って。占拠してない?」

「あくまでも可能性ですよ」


 と、私が言うと名斬さんのマスクの奥に隠された瞳が怪訝な色を見せる。そして、首を傾げつつ思い出すように口を開く。


「我々が斥候で出た時はちゃんと相手側の占領地としてUI表示されてたで御座るよ?」


 確かに普段ならその通りでゲーム慣れしている人にとってはマップの詳細表示というのは無くてはならないモノだと美耶が力説していたことがあった。ただ、一部のゲームでは平時と対戦時で動作が変わる場合が存在する。


「戦争開始時には、マップの詳細表示って見れなくなりますよね」

「配信者とかに対してのゴースティングとかの対策用ね……あんまり効果は無いけど」

「いや、そんな……しかし、自国の領土に戻ってきていた場合は戦場で敵陣としては使えない筈で御座る」

「所属国以外の国である可能性だってありますよ」


 私の言葉に「なるほどッス」と、ミソスープさんが反応する。しかし、彼はその後に私の言葉が色々と間違っていると否定した。


「そもそも戦闘大陸で各国が戦争を始めた設定が無視されてるッス」

「確か、隣国同士の戦争や領土の切り取りをしないとかなんとか……でしたね。大規模戦とかに分類される戦場は大陸内でプレイヤー同士が行う。ってクオンさんが言ってましたね」

「そうッス。小規模な衝突は絶対あるッスから、そういう戦闘にはプレイヤーはほぼ参加しないというか基本的には出来ないッス。今回みたいなチュートリアルか特殊クエスト以外では普通は参加できないッス」


 今回の参戦は特殊な場合に属する筈なので、それ自体はおかしい事では無い筈です。これもクオンさん情報ですが、戦闘大陸以外の場所で戦争行為を行う事は各国が集まって行われた会議によって決まったという訳では無く神様のお告げによって決められている。と、いう話だった筈です。


 なのでこのルールはこの世界ではかなり重い拘束力を持っている筈です――が、どうなのでしょうか。現代の私達だって神様を祀ったりお祈りをしたりしますし、信じてる信じてないとか、習慣化するとあまり関係ない気はします。


 ただ、この世界の人々がどこまで信心深いか分かりませんね。情報不足ですね。


「結局のところ、設定とかルールの強制性がどこまで通用しているか不明ですね。特殊なケースが存在しているかもしれませんし」

「それは確かにって感じね。ひとまずは、籠城戦になる前提として、急いで情報を得て地上へ向かいましょうか」


 るーこさんの言葉に全員が頷き先へ急いだ。

ちえるん「そういえば、プレイヤーが国家にどこまで影響を与えれると思いますか?」

るーこ「なんだかいきなりな質問ね」

ちえるん「いきなりという訳では無いんですけどね」

るーこ「国を獲ることは出来ないんじゃないかしら? 分かんないけど」

ちえるん「前のテストの時はどうだったんですか?」

るーこ「そういえば行動の自由度が前はもっと少なかったわね……」

ちえるん「何だか運営に試されている感じがしますね」

るーこ「まさにテストプレイって感じね」

ちえるん「本当に試されているのは人間だったりして……」

るーこ「そういうホラーチックな展開はノーサンキューよ」

ちえるん「ダメ? ですか?」

るーこ「(*'ω'*)ノーサンキュー」


コワイデスカ?(*'ω'*) (*´ω`*)コワクナイ、コワクナンテナイカラ

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