傭兵団
クオンさんの暴走後、落ち着いた頃にるーこさんが「じゃ、作ろっか?」と、非常に軽い感じで言った為に全員が苦笑いをした。そして、私は傭兵団結成というシステム的な説明を受けながら傭兵団結成を行った。
『傭兵団【鋳薔薇の森】の結成を確認致しました。メインメニューに傭兵団メニューを追加しました』
と、システム音声が流れ、視線の端にあるメニューがピカピカと光りだしました。
「この光っているのが傭兵団メニューですか?」
「いやいや、それは普通のメニューだよ。その中に傭兵団用のメニューが追加されているって話だよ」
「そうなのですね……ああ、ありました。『人員管理』『評価管理』『その他』ですか」
私はメニューの中に掛かれている内容をひとつずつ確認していく。
まず、『人員管理』とは――
団員の管理権限の変更や公開情報、オンライン状況などの閲覧が可能なメニューとなっており、戦場での役割なども情報管理出来るようだ。
次に、『評価管理』――
こちらは傭兵団の評価値を閲覧することが出来るようです。あとは団員の寄附状況なども確認することが出来るのですね。それにしても「寄附とはどういうことなのでしょう?」そう言って私が首を傾げるとクオンさんがすかさず説明をしてくれる。
「傭兵団の運営資金は基本的に所属している各団員が傭兵団メニューの『その他』にある『寄附』から行う資金によって運営されることになるんだ」
「なるほどです」
「一応、管理権限が高いほど『寄附』による評価値が高くなるから頑張りなよ」
「そうなんですか?」
「まぁね。そのかわり、役職が無いヤツに寄附金の額面に負けたまま放置してると評価値が下がるから気を付けて」
「それは厳しいですね。私は初心者ですから、私が稼ぐというのは無理だと思うのですけど?」
そう言うと、クオンさん達は楽しそうな顔を見せる。いったいどういうことなのでしょう?
「そういう場合ってのは大いにある事なんで、ちゃんと問題解決出来る仕組みはあるんだ」
「難しくて面倒な事は愚弟に押し付ければいいのよ」
「それはそれで無責任な感じがして嫌なんですけど」
「ちえるんは真面目ねぇ。ともかく、財務官の役職を愚弟にしておけば大体は上手くいくわよ」
「別に俺じゃなくても良いんだけど……まぁ、システム上、財務官を設定しておけば財務統括権で財務官より上の役職については評価値の下げ幅はほぼ無しに出来る。その代わり、上位役職のメンツが寄附をしても評価値の上げ幅が下がる」
「どちらが得かはプレイスタイルなどに左右されるというわけですか」
私はそう言いながらメニュー内にある役職の項目を確認する。まだ、誰も所属していないせいで閲覧してもあまり意味は無さそうです。
閑話休題――
まだ『その他』の内容を確認していませんでした。
こちらは前者に含まれない設定内容があり、ヘルプなどもここにあるようです。
「さ、そろそろ招待をもらえないかしら?」
と、るーこさんが楽しみにしていると表情に出して言った。私は少し焦りつつ、慣れない手つきで彼女へ招待を送る。
「まずここからが始まりですね」
「そうね。戦場で共に戦う戦友とならん事を」
そう言ってるーこさんは招待を承認する。
美耶、クオンさん、しょこらんさん、カレンさん、名斬さん、ミソスープさんに招待を送り、皆んな楽しそうに承認を返してくれる。
その光景が少し面白かったけれど、笑うのも少し違うと思いながら淡々と役職なども設定していく。
団長:ちえるん
副団長:るーこ
財務官:クオン
攻撃隊長:みゃーるん
攻撃隊長:ミソスープ
防衛隊長:カレン
防衛隊長:名斬
とりあえず、設定できるところに設定して、私は小さく息を吐いた。
「ふぅ……」
「はい、お疲れさん」
「慣れないことはするものでは無いですね……お茶が美味しいです」
そう言って、手渡されたお茶を啜る。
「ほうじ茶ですか……なんだか、不思議ですね」
「洋風なのに和モノのメニューが結構充実してるのが、この店の特徴って話をしたよね?」
「そうでしたね。緊張していたので、すっかりと記憶から抜け落ちていました……」
「今日はこの後で戦争の準備に移りたいと思っているけど、どうかしら?」
と、るーこさんはやる気を見せる。当然そうなるだろうとは思っていたので、私は小さく息を吐いて気合を入れる……まだ、経験したことの無い場所へ向かうのだから、しっかりと準備をしなければいけないハズです。
「ひとまず。先に聞きたいことがあります……」
「なになに?」
「戦争ってどうやったら参加出来るのですか?」
「ま、そうなるよね。と、いうか……その辺りのチュートリアルとか無かったっけ?」
「……まぁ、無くはないけど……アレをチュートリアルと言っていいか不明だ。俺たちで丁寧に教えた方が確実だと思うけど」
「そうよねぇ」
「あ、一応私はある程度調べがついてるので、いつでもオッケーです!」
と、美弥はやる気満々のご様子で手を挙げる。無邪気な妹はいつでも可愛いものです。
「で、戦争への参加方法だよね?」
「はい、どうすればいいんですか?」
「まず、参加方法は幾つか存在――」
と、クオンさんが喋っているのをるーこさんが遮って来る。
「基本は三つ! まずは戦場へ移動する。戦場に入ったら自動的に戦場モードに切り替わるから、結構簡単に分かる。次は国軍として参加する方法ね。これは職安で戦場の情報を買って、登録することで参加出来る。ただし、自国が布告したかされた指定戦場へ規定時刻までに行かないといけない。最後は自身で敵の国に布告する方法。これは戦争を起こしたいところで宣戦布告を行うんだけど、条件が色々とあるから現状じゃ厳しい感じね」
「じゃぁ、結局のところ、どうやって戦争に参加するんですか?」
「今はまだ戦場の数が無いだろうから、戦場を探すってのは厳しいだろうね。確実に参加するのは職安で戦場の情報を買って、兵士登録で参加するのが確実。傭兵団の場合は団毎参加出来るから」
「お金はどれくらい掛かるんですか?」
「この人数なら、大銅貨10枚ってところね」
「思ったよりお金が掛かるんですね……」
「まぁ、勝てばそれ以上は確実に貰えるから、問題は無いわ」
「意外と準備にも結構な金が必要なんだけどな……」
「で御座るぞー」
クオンさんと名斬さんは二人で頷きながらそう言った。ちなみにカレンさんも頷いている。この三人は私達の装備一式を特注で作るということもやっており、現傭兵団における兵站の重要なところを担っていると言えるでしょう。
「順序としては戦場に行く準備をしてから、戦場へ向かうのか、向かう戦場を決めてから、戦場に行く準備をするのか……だと、思うのですが?」
「うん、どっちでもいいんだけど……今回は準備をしてから戦場へ行こうか。基本的に自国発の戦場は規模は大きくても強い傭兵は集まってこないから、特殊な準備が必要な場合はほぼ無いわ。どちらかというと戦場を体験するってのが目的」
「と、いうことは私やみゃーの為にってことですか?」
「ま、それもあるけど、どちらかというと……調整かな?」
そう言ってるーこさんは立ち上がる。私もそれに合わせて立ち上がると、全員がここから立ち去る準備を始める。
「調整ってどういうことですか?」
「いきなり厳しい戦場に出て戦うよりも、疲弊感が少ないゆっくりとした戦場へ行って、長らく戦場へ行ってなかった身体を馴らすのが目的って言った方が伝わるかしら?」
るーこさん達にはαテストから考えると半年以上経っているので、まだ戦争の空気というモノに慣れていない為にリハビリとしてもキツイ戦場より、ある程度予測の立てやすい戦場に出た方がいいだろうということなのだろう。
「では……ひとまず準備に掛かりましょうか」
「おー!」
と、傭兵団の皆は元気いっぱいに答えてくれた。
ちえるん「で、どこに行くんでしたっけ?」
るーこ「職安って言った」
ちえるん「ハロー……じゃなくて、職業案内所ですね」
るーこ「そうそう」
ちえるん「そういえば、るーこさんはプロのゲームをする人ですが、他の方の職業は?」
るーこ「……それは聞いてやるな」
ちえるん「ダメなんですか?」
るーこ「(*´ω`*)キイテヤルナ」
ちえるん「(; ・`д・´)」




