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とあるカフェにて

 私とるーこさんの戦いは7戦1勝6敗で終了した。


 私は10戦しようと提案したけれど、るーこさんに却下された。


「で、取り敢えず色々と説明してもらえないかしら?」


 そう言ったのは私達の会話に置いてけぼりのカレンさんで、他の事情が分からない人達もそれに賛同していた。


 因みに、現在地は私達が泊まっている宿からほど近い高級なカフェの一室である。ある程度のパーティーが一堂に会する事が可能な貸切部屋にお茶とお菓子を囲んでいる。


「ざっくり説明すれば親戚の子だよ」


 と、クオンさんが本当に簡単に説明する――


「って、それは何となく会話の流れから分かってるわよ」

「あ、まぁ。だよな」

「分かってるなら、ちゃんと説明しなさい」


 カレンさんは小さな溜息を吐きながらお茶を一口飲んで目の前にあるケーキを頬張り満足そうな表情を浮かべる。


「るーこさん、クオンさん達とは母親が姉妹なので、私達は従妹という立場ですね。ちなみに、私も美弥も初めは全く気が付いていませんでした」

「どのあたりで気が付いたの?」

「確信は無かったですが、クオンさんが刀を使っていた時に見覚えのある型で構えていたんですが、この手の古流武術に関しては多くは似たような傾向があるので、すぐには判断出来ませんでした」

「確かに俺も知ってる動きだとは思っていたけど、確証が全然なかったし……以前にもこういうので似たような経験があったから、気のせいだと思ってたよ」

「主流な剣術の道場でも似通った動きはありますからね……それで、会話の中でなんとなく気が付いていたのですが、確証を得たのはるーこさんと山岳の王と戦った時ですね」

「確かに無手での動きに関しては少しクセのある構えで中国拳法や空手、合気道とも少し違うから分かるかもしれないな」


 私とクオンさんの言葉を聞きながらケーキを口に運びつつ「なるほどね」と、カレンさんは答えた。


「で、結局のところ、ちえるんはどんな方向を目指してるのかしら?」

「正直なところは分かりません。なにぶん、ゲーム初心者ですから……それにこのゲームのメインになるコンテンツである戦争にまだ参加もしてませんからね」

「確かにそうよね。ちなみにるーこはちえるんにどういうプレイを目指してる集団なのか説明してるのかしら?」

「んー、ちゃんとはしてないかな」

「まったく……」


 と、カレンさんは頭を抱える。クオンさんは「まぁまぁ」と、彼女をなだめつつ苦笑する。るーこさんはバッと立ち上がり自ら目指す道を力説し始める。


「まず、我々は基本的に対人戦のあるゲームに住む対人戦マニアと呼べるレベルでより強き者達と戦うバトルジャンキー達の集まりである!」


 そういうと、しょこらんさんは微妙な表情をする。彼女はどちらかと言えば付き合わされている。と、いった感じなのでしょう。


「このゲームでは大人数から少人数、様々な形式で行われる戦争をテーマにしたゲームの中で生きて行けるかを挑戦する者である! って、こんな感じでいいかしら?」

「まぁ、ようするに他ではあまりない大規模戦闘や特殊な環境での戦場体験をしてみたいってだけね」


 クオンさんが苦笑しつつ補足説明を入れてくる。るーこさんは「余計なことを言うんじゃない愚弟クオン!」と、クオンさんを殴り飛ばす。


 戦闘が出来ない場所での攻撃は違反になる可能性があるのに、るーこさんは流れるような動きでクオンさんを殴り飛ばした……と、いうより、クオンさんが派手に吹き飛んだように見えた。


「全く……ここは非戦闘領域だって。平気でそういうことをしないで欲しいな」

「だって、愚弟クオンは確実に反応して、飛んでくれると信じてたから」

「はぁ、全く……」


 やはりクオンさん本人が殴られたように吹き飛んだフリをしただけのようです。それにしても、この姉弟は仲がいいですね。と、ちらりと美弥を見ると同じことを思っていたようです。


「あ、私もひとつ聞きたいことがあったのですが、いいですか?」


 と、私は手を上げて発言する。この場に集まった全員からの視線が私に向きます。


「いいよ、ちえるん。なんでも答えてあげるわ」


 何故かドヤ顔のるーこさんにニコやかな視線を返しておきます。


「ずっと気になってたんですよね。傭兵団ってどうすれば結成出来るんですか?」


 しばしの沈黙――


 るーこさんやクオンさん、美弥などは納得の表情を見せていますが、他の人達は「そこかぁ」と、あからさまに肩を落としています。


「ま、とりあえず解説は愚弟クオンの役割だから、私や味噌汁ミソスープとかは囃し立てる役目だからね」

「はぁ、ねーちゃんの場合は横やりを入れる係でミソスープは余計な蘊蓄うんちくを言う係だろ……全く。で、とりあえず説明するよ」

「お願いします」


 と、私が言うとクオンさんは楽しそうに語りだす。


「まず、傭兵団ってのは、所属国関係無く集団で戦争に出撃出来る集団だと思ってくれ。他のゲームだと、クランとかギルドって呼ばれるモノと同義だな。で、傭兵団を作るのは至極簡単で、誰でも作れる。メニュー内にある『クラン管理』から『新規クラン設立』を選択して、確定してしまえばスグに作ることが出来る。世の中には一人傭兵団というのもいるくらいに簡単に作れる」

「は、はぁ……ちなみにですが、一人で作る意味があるのでしょうか?」


 私がそう聞くとクオンさんは「よくぞ聞いてくれました」と、言わんばかりに反応する。


「うん、普通は疑問に思うよね。でも、一人でも傭兵団を作るメリットはあるんだ。まずは、傭兵団には評価値が存在していて、評価値が上がると所属国における地位が上がる。これに関しては一人でもある程度、戦場で活躍していれば評価値を得ることが可能だから、全くもって損はしないんだ。人数が多いほど評価値を上げるのは簡単になるハズなんだけど、負け戦に傭兵団員が増えると場合によっては評価値を大きく下げてしまう可能性が無きにしも非ずだ」

「なるほど……」

「他にも……と、こっちは一人では金が掛かり過ぎるからアレだけど、拠点を設けることが出来るのが傭兵団の最も重要な特徴で、拠点があれば態々宿住まいする必要は無くなる」

「団員各自の部屋とかも用意出来るのでしょうか?」


 私がそう聞くとクオンさんは少しだけ困った表情を浮かべるけれど、言わないわけにはいかないだろうと決心したのか咳払いをしてから口を開く。


「んんっ、ま、まぁ。そこは金さえあれば……かな。特に拠点は結構な値段を要求されるので、人数が少ないところだと、それは大変な思いをしないといけない。千人を超えるような大規模なところになると、下から上まで金銭を集めれるから、潤沢な資金を持って拠点拡張が出来るので、あっという間に城持ちになるだろう」

「お城ですか?」

「ああ、傭兵団のもう一つの特徴として戦闘大陸ヴェルハーサ内にある自国拠点を傭兵団の拠点として購入することも出来る。ただし、敵から攻められる可能性もあるので、城を持つってことは領地運営もしないといけなくなるので、すごく大変だ」


 クオンさんはそう言ったけれど、城を持つというのは何やら楽しそうな気もします。でも、大規模な傭兵団というのは凄い人数が所属することになるようですので、私としてはそこまで人が多いのは少し遠慮したいところです。


「ちえるんとしては大規模な傭兵団にしたい?」


 と、るーこさんが興味深そうに聞いてきます。私は迷わず即答します。


「今は大規模とか考えられませんね。できれば現在の人数でしばらくは過ごせればよいのでは無いでしょうか?」

「うん、なるほどね。小規模でも戦場によっては十分に活躍出来る仕組みになってるから、フフッ、楽しみにね」


 と、るーこさんは悪戯な笑みを浮かべる。


「戦場って、何か特殊な仕様なんですか?」

「うん、ちえるんの疑問はいい感じだよ。このゲームはただのアクションゲームじゃ無いんだ。戦略要素を持ったゲームだから話題になってるんだ」


 クオンさんは説明スイッチが入ったように細かく解説し始める。


「まずは戦場で誰かプレイヤー、もしくはNPCが宣戦布告を行う。布告が行われると戦場へ入るべく集まるプレイヤーの人数によってルールが定められる。少人数対大人数なんて場合もあるんだけど、基本的にはある程度均衡が取れた人数になるように調整される。で、戦闘が始ると先ずは指揮官が立ち各拠点に存在するマナゾーンを占拠するんだ」

「マナゾーン?」

「正式名称は『魔素溜(まそだま)り』と言うんだけどね。各マナゾーンは戦時、非戦時関係無く一定の速度でマナを生み出す。ただし、マナを採取し過ぎると枯渇する事もあるから注意が必要だ。そして、採取したマナは戦場で様々なことに使用される。その一つで、戦場を大きく左右するのが召喚魔法だ」

「召喚ですか?」


 私が首を傾げるとクオンさんは自慢げな表情で言葉を続ける。正直、聞いているが全然理解出来ないというか、頭に入ってこない。


「そうだよ。召喚は大きく分けて2種類の効果があって、特に戦場では対人用の切り札として展開される事も多い。特にドラゴンやベヒーモスなんかは劣勢な状況を覆す可能性も大いにあるんだ! 因みに、召喚のもう1種類は対召喚用で運用される」


 そう言ってクオンさんはお茶をひと口口に含み、乾いた喉を潤す。


「で、対召喚用ってのが各国にいる英雄と呼ばれる者達だ。こいつらは一定時間毎にお仕事終了で帰って行くのでアルバイトとか呼ばれていたりする」

「それは英雄さん達も不幸ですね」

「確かにね。彼らは相当強いんだけど対人はイマイチ力を発揮できないらしい。召喚されている魔物に対しては絶大な力を持っているから見てるだけでも結構面白いよ」

「あ、そうですか……」


 クオンさんはるーこさんに止められるまで説明というか楽しげに戦場について語るのでした。

みゃーるん「お姉ちゃん、ああいう時はスルーしないと」

ちえるん「そうなの? だって楽しそうだったし……」

るーこ「ドブを見るような視線で見ないとダメよ、ちえるん」

ちえるん「ご褒美だったらどうするんですか?」


キットダイジョウブ(; ・`д・´);・`д・´)ソ、ソンナバカナ

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