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サムライ異世界へ行く  作者: ぴっぴ
第1章 サムライ異世界へ立つ
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第7話 小次郎の旅立ち

 野盗の襲撃から3ヶ月、村はやっと平常に戻った。村人が何人か死んだがここでは人の死はそう珍しいものでも無い。狩りの最中に死ぬ事もあれば魔獣に襲われる事もある、また病で死ぬ者もかなり多いのだ、そして盗賊等も居る世界なのだ、それだから人々は切り替えが早かった、何時までも過去にとらわれていては生きていけないのだ、自己憐憫で生きていけるほど甘い世界では無かったともいえる。


「小次郎、これ食べる?」


「食べるでござる」


 小次郎は相変わらず村人に餌付けされていた、食える時に食っておくのが戦人の性なのだ、お陰で少し体型がふっくらしてきてしまった。ハッキリ言えば中年太りになって来たのだ。

 盗賊を討伐して村の娘を救い、殺された村人の敵を単身で討った小次郎は村人から好意的に受け入れられているが、最近小次郎は少し落ち着きが無くなって来た。


「小次郎、最近落ち着かないね。何か悩みでもあるのかい?」


「悩みと言うか、何と言うか。・・・・・・そわそわするでござる」


 野盗から助け出して仲が良くなった娘が小次郎を心配している。何時もニコニコして悩み等微塵も感じさせなかった小次郎が悩んでいるようなのだ。命の恩人である小次郎は強い事は強いのだが、世間の事を良く知らない子供じみた所ろが有る。そのせいで女や老人は小次郎を子供の面倒を見るように見守っているのだった。


「最近魔物がいないでござる、気ずいてござるか?」


「そう言えば、最近魔物に襲われたって話は聞かないね。平和な事はいいことだよ小次郎」


「それはそうなのでござるが・・・・・・」


 小次郎は言葉を濁しているが、小次郎は純粋な戦闘員なのだ。魔物や盗賊が絶滅してしまうと存在価値自体が無くなってしまうのである、これが気楽な兵士だったら平和は楽が出来るので大歓迎なのであるが、小次郎は村の居候なのである、このままでは又もや無駄飯食いになってしまいそうだ、今はまだ皆優しいがこれが永久に続くわけは無いのである。元の世界でも平和が長く続けば続くほど武士は立場が悪くなっていったのである、武士よりも金を持っている商人や平民が幅を効かせていくのは平和な時代の習いである、こればっかりは小次郎の剣術ではどうにもならない事を小次郎は良く分かっていた。


「潮時でござるな~」


 村も平和になったし、鍛えた村人も何とか形になった。今ならば野盗10騎位ならば何とか撃退も出来るだろうと思った小次郎は、村から出る決断をした。


 どうせ去るなら大事にされているうちが花だと思ったのだ。厄介者扱いされて追い出されるのは武士としての沽券に関わる、ならば今のうちに出ていこうと思ったのだった。


「村長殿、ちょっと相談が有るでござるよ」


「どうしたのだ小次郎殿?珍しく思いつめた顔をしてる様だが」


「拙者そろそろお暇をしたいと考えているでござるよ」


「お暇?・・・・・・村を出て行くと言う事か?」


「そうでござる、もうこの村で拙者がする事は無くなったでござる」


「・・・・・・小次郎がそう言うなら止められないな。確かにお主はこの村には勿体無い人物じゃからな。小次郎なら国軍の将軍にでもなれそうだものな」


 この村の人達は小次郎に恩義を感じていたので、小次郎が村を出て行くと言う話に皆が反対した。何時までも村に居て欲しいと皆思っていたのだ。だが、村長の「小次郎はこの村には勿体無い人物じゃ」と言う言葉には村人達も納得した。確かに小次郎なら都でもっと良い暮らしが出来そうだ、なにせ小次郎ほど強い人間は見た事が無い。都に出れば騎士団長や高位の冒険者になれる人物だと皆思っていた。


 小次郎が村を出て行く日、村の皆はそれぞれ贈り物を持って集まった。皆小次郎には世話になったので、貧しい暮らしの中から旅に役立ちそうな物を持って来たのだ。余りの贈り物の多さに辟易した小次郎は、自分に持てるだけの物だけ貰って行こうとしたのだが、村長が馬をくれたので何とか全てを持っていける様になった。


「馬を貰って良かったのかね」


「良いに決まってるじゃろ、元々お前さんが奪ったものじゃ。村の馬は全てお前さんのものじゃよ。それに街に着いたら馬は高く売れるから、金に困ったら売ると良い」


「ほ~、馬は財産代わりにもなるでござるか」


 村人全員に見送られながら荷物を満載した馬に乗って小次郎は、次の街を目指した。村長の勧めでここら辺で一番大きな街アルムを目指す事にしたのだ。そこに行けば冒険者ギルドなる物があり、冒険者になれるのだと言う。そして冒険者って言う奴は腕っ節で食って行ける商売なのだと話だった。


「では皆の衆世話になった!達者でな!」


「元気でやれよ!」

「又帰って来いよ!」

「辛かったら直ぐに戻っておいでよ!」

「小次郎なら直ぐに有名な冒険者になれるよ!」


 村人達に見送られ小次郎は馬を見事に操り街道を走って行く。旗本の生まれだけに馬の扱いも相当な腕前なのだ、戦場で騎馬で戦う事が出来なければ旗本は務まらないからだ。そう言う意味では小次郎はこの世界の騎士団の隊長みたいな家柄に生まれて育ったのだった。小次郎の次の目標は決まった、アルムの街に行って冒険者になるのだ。そして自分の力で金を稼ぎ腹一杯飯を食うのが小次郎の目標だった。


 オマケ


 小次郎の武装


 小太刀 刃長 1尺5寸

 太刀  刃長 2尺3寸5分(柄に小柄付き)

 大太刀 別名背負い刀 銘付き 十六夜 刃長 4尺

 

* 小太刀 

 刀身が2尺未満のもの


* 太刀

 刀身が2尺以上3尺未満のもの


* 大太刀

 刀身が3尺以上のもの

 元々は馬上決戦用 馬上から地上の兵士や相手の騎馬を攻撃する為に刀身が長くなった

 刀身が長すぎて腰に差せなく成ったので背中に背負って使う為、別名背負い刀




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