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精神世界でのお話の巻!

真っ白な世界。

目の前に広がるのは白色(ブラン)

何もない、真っ白な世界。

そこに俺は立っていた。あの異常な苦しさはなくなっていた。ただ、ここはさっきの場所じゃないようで、俺以外に誰もいない。探せばいるかもしれないが、あのトラブルメーカーさんが何かしらやってこないはずがない。そう思った俺は、特に何をするでもなく、ただただ、ぼーっとしていた。すると、なんだか禍々しい雰囲気(オーラ)を感じた。そちらに目を向けても何もいない。だけど、何もする事がないのでそちらをずうっと、見ていると、あの声が聞こえてきた。


≪モシモ~シ?聞コエテルゥ?…ネェ、聞コエテルンデショ?…ネーェ?≫


その声は、俺の警戒心とは裏腹に、底抜けた明るい挨拶…というか、一方的に話しかけてきた。何が言いたいのかなんてわからない。けど、コイツはなんだか危険な気がする。そう判断した俺は、警戒しつつもそいつの話に耳を傾けた。

≪…返事モシナイトカ有リ得ナインダケド。マァ、ボクハ寛大ダカラ許シテアゲル!…ア、ハジメマシテダネ、ボクノ名前ハ…≫

説明をしようとするそいつの言葉をさえぎって、俺は口を開く。

「…ノルン・ルシェイメア・マナ。テロルさん達の主であり、今俺が宿っている体の本当の持ち主…だろ?」

俺はそう推測を話す。すると、驚いた気配が伝わってくる。何でそんなに驚いてるんだよ?俺が読めないままだと思ってたのか?どうして読めたのか。それは単純。だって見たことがある文字だったから。すぐには思い出せなかったけど、あれは俺が好きだった小説に出てきた古代文字に似ている。何故わかるかというと、俺はハマったものに対して異常に愛を注ぐタイプだったから、自分で解読できるように、と必死になって覚えたのだ。だから、それに当てはめて解読しただけ。楽な作業だったぞ、何で似てたのかはわかんないけど。まぁなんでもいっか、解読できてたみたいで何より!これで間違えてたら死ぬほどダサいしな。…、まぁ、思い出したのはついさっきなんだけどね!思い出すの遅いとか言っちゃだめ。…なーんて事を考えてたら相手が戸惑っている感覚が伝わってきた。…あれか、今精神の世界スピリチュアル・ワールドにいるから、相手の感情がダイレクトに伝わる、とか?うっわぁテンションあがりまくりで死にそう~マジやっべぇな!ファンタジーばんざぁい!

≪…喜ンデルトコ悪いイケド、ソロソロオ話シタイナァ~ナンテ…≫

「今余韻に浸ってんだから空気読めよ!!」

≪ゴメンナサイ!!デモ色々ト説明サセテ!?≫

あまりにも悲痛で、悲願するような声をあげて、焦ったようにするものだから、余りにも哀れで仕方なかった。死神族族長という立派なお方なのに…なんて、若干見損なった気がする。

≪色々ト酷クナイ!?≫

「うっせぇ、あと何勝手に俺の思考読み取ってんだ殺すぞテメェ」

≪ヒェッ…≫

どうやら苦手意識を持たれたらしい。そんな思考が伝わってくる。そんなの俺に関係ねぇけどな!!そんな剛〇武みたいな思考をしていると、余計に相手が声をつまらせているのが伝わってきた。…そんな事よりおうどん食べたい。呑気な思考を巡らせていると、相手がチャンスを得たと言わんばかりに一気に捲し立てた。

≪ジャア説明スルネ!コノ空間ハ精神世界スピリチュアル・ワールドッテ言ッテ、特殊ナ世界ナンダヨォ!ボクニ招待サレタ者ダケシカ入レナイ、優レモノナンダ!ドウ、凄イデショ?見直シタ??≫

「(此処が何処かなんて)知ってる。あと(俺的には)見直す程凄くない。」

≪……ハァアッ!?君って規格外ダヨォ!ボク、君ノ事苦手ェ!!≫

絶叫するような、頭を抱えたくなるような感覚が伝わってくる。それほどまでに俺はイレギュラーなのだろうか?そんな自覚は全くないけれど。っていうか、何でこの世界に連れてきたんだ?その説明がないって、意外にぬけてるのかもしれないな!と勝手に結論付けると、相手は「チッガーウ!!」と思考を読んで否定してきた。…また勝手に読みやがってこの野郎。

≪話サセテクレナイノガ悪インデショ?ボク悪クナイ!≫

「いいからさっさと話せや」

≪アッハイ。エェットネェ…≫

そこからの話は長かったので割愛する。要点をまとめると、

・俺がこの世界(魔界)に来たのはノルン・ルシェイメア・マナが俺を召喚(呼んだ)から。

・俺とノルン・ルシェイメア・マナの体が一つになってしまったが、自我は健在だということ。

・俺が最初に出会った七人は「幹部」と呼ばれるえらーい存在だということ。

・ノルン・ルシェイメア・マナはその幹部の中でもいっちばーん偉いのだということ。

・魔界でのノルン・ルシェイメア・マナは結構ヤバイ死神らしい。

こうなる。わぁわかりやすい。

「…なぁ、この世界(魔界)に来たのって…お前のせいなのか?」

≪端的ニ言エバネ。デモ決シテソレダケジャナイヨ。少ナクトモ、ボクノ思惑ダケジャナイノハ確カダヨ。≫

「結局お前が関わってんじゃねぇかよ。はぁ…っていうか、いい加減お前姿見せろよ。対話してる気にならねぇよ。」

俺がドストレートにそういうと、少し渋ったあとに、嫌々、といった感じで姿を見せてくれた。不満ありありといった感情が漏れ出ている。…子どもかよ。なんて思いながらも相手に視線を向ける。男にしては長髪すぎやしないだろうか?と思うくらいに長い髪。色は白だ。若白髪か?なんて思ったら殺気をとばされたので慌てて他の事に思考を移す。右目が前髪で隠れている。綺麗に右目だけだ。左目は普通に露出(?)している。瞳の色は真紅だ。黒いローブのようなもので身を包んでいるので、中の衣装はわからない。手袋をしていて、足がない。…なんていうか、煙みたいにもやもやっとして消えてるって言うか…。まぁ、そんな感じ。髪を紐のようなもので束ねている。ポニーテールとまではいかないくらい下で、後ろに束ねている。見た感じは元気いっぱいの男子って感じだが…。

「コレデ満足?全ク、ホント強情ダヨネェ。」

ぷりぷり、と怒ったように見せて、たいして怒っていないのだ。それが丸わかりな俺には意味がないというのに。…何がしたいんだろこいつ。俺が少し引いた事を感じ取ったのか、ワタワタとして弁解してきた。

「気分ダカラ!ソウイウ事ッテアルデショ!?」

「ねぇよ。お前がそんな演技したって需要なんかねーよ。」

俺がそう冷たく言うと、拗ねたように頬を膨らませる。マジで子供だな。そう思って暖かい視線を向けると嫌がられた。…特に何もしてないのに拒否られた。解せぬ。

「モウイーヨ!!イイカラサッサト本題ニ入ルヨ!」

まだ入っていなかったらしい。こいつぬけまくってんじゃねーか。呆れて肩を竦めると、誰のせいだ、というイラッとした感情が伝わってくる。俺のせいではないな!と自信満々に思っていると、更にイラッとさせてしまった。…そのうち、ストレスで死ぬんじゃないか?なんて思いながらも本題とやらを聞く。

「ボクカラノオ願イダヨ。ボクトノ対話ガ終ワッタラ、ボクノ代ワリヲシテ。」

直球に告げられたその願い。相手は俺をまっすぐ見ている。…どういう風の吹き回しだ?と思いながらも、相手の言葉を待つ。相手は俺を見据えたまま話し始める。おちゃらけた雰囲気を消し去っては真剣に。…まぁそう見えるだけで、本当は真剣じゃないのだが。そこはこの際置いておこう。話がこじれるからな。

「ボクノ代ワリッテ言ッテモ、ナリキルトカソウイウンジャナイカラ安心シテヨ。ボクガ元ニ戻レルマデノ間、ボクノ代ワリニ過ゴシテホシインダ。」

そんな事をバカ丁寧に頼んでくるものだから驚いた。何でそんな事を頼むのだろうか疑問に思ったが、一々聞いても仕方がないし、何となくでわかるから、まぁいいかと聞かなかった。

「わかった、できる限りはそうするよ。」

「理解ガ早クテ助カルヨォ。ドッカノ脳筋(バカ)ト違ッテネ!」

脳筋(バカ)って、レオノールさんの事か?…あれ、待てよ?俺とココで話していたっていうのに、いつ、こいつはレオノールさんに伝えたんだ?俺がその疑問を抱くのと同時にノルン・ルシェイメア・マナは言った。

「ハァ~イ、ジャアモウソロソロオ開キダ!後ハ宜シクネェ!」

強引に話を終わらせる。それだけで嫌な予感は高まっていく。…もしかして俺、ちゃんと理由を聞くべきだったんじゃね?なんて思いながら顔を引きつらせる。相手の姿が薄くなっていく。どうやら俺の意識が覚醒しはじめているみたいだ。薄れゆく相手を見ながら、俺は最後の挨拶をする。

「ノルン・ルシェイメア・マナ。まt「ルシェイメアッテ呼ンデヨ、一々長ッタラシイ名前言ウノメンドクサイデショ?」…遮るなよ。ていうかマナの方が短いd「ルシェイメアッテ呼ンデネ?」…わかったからかぶせてくるのをやめろ。腹立つ。…ルシェイメア、また会ったら、お前には話したい事が沢山あると思う。…だから、覚悟して待っとけ。」

「ウヘェ、ボクソウイウノ、苦手ナンダヨネェ…」

「だから………………………………………………………………………

次会う時には首洗って待っていやがれェェ――――――――――――――――――――ッ!!!」

「アレッ!?別レノ言葉ッテソンナノ言ウッケ!?」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「うぅ…」

ぐわんぐわん、と頭痛の余韻が残る体に意識が戻った。どうやら無事だったようだ。ここまでひどい頭痛はしぶりすぎてくっそ痛い。あ~…頭痛ってこんなに痛かったっけか…?

体を起こせば、幹部の皆の視線が一斉に此方へと向く。何やら話し合いっぽいのをしてたけどいいのかな?それとも終わったのかな?

「お目覚めですか、我が主。」

テロルさんが今までの優しい雰囲気を消し去ったような厳しい顔で近寄ってくる。思いつめてるとかじゃないんだよ、寧ろ自分からやってる気がする。…それよりも、我が主とか言われて戸惑いが隠せないんですがそれはどうしたら?そんな疑問に答えてくれる人はいない。仕方ないので直球に聞いてみた。

「テロルさん、俺はノルン・ルシェイメア・マナではありません。何で我が主、などと呼んでいるのですか?」

そう聞くと、テロルさんは驚いたように目を見開く。それから目を伏せて、暫し考えた後に「失礼致しました。私の説明不足です。」と言って一歩下がって跪く。その動作があまりにも自然すぎたので、俺はテロルさんを止める事が出来なかった。その隙にテロルさんは口を開いて、俺に俺が倒れてからの経緯を説明してくれた。経緯ってほどでもないかもしれないけど。俺を寝台に寝かせてこれからの事を話し合っていたらしい。ただそれだけだと言っているのだが、どうも嘘くさい。俺の勘ではあるが、なんだかそんな気がするのだ、仕方ない。

「それで、結論として、我々はルシェイメア様が戻られるまで、貴方様の庇護下に就く事に致しました。ですので、一時的にですが、契約をしたいと思っているのですが…哀切様、宜しいでしょうか?」

そうテロルさんが顔を此方に向けて聞いてくる。その瞳には優しさなんてなくて、探るような、愚か者をふるいにかけるような、そんな色を浮かべていた。言外にここで生き残りたいなら契約を結べといわれているような気がする。少なくとも気のせいではなさそうだ。俺に拒否権はない。というか、最初からするつもりはない。だって、紛れもない当人、ノルン・ルシェイメア・マナから頼まれたのだから。

「佐保…いえ、哀切様、どうかお願いいたします。」

「僕も、貴方様の庇護下に入りたいと思っております、どうか…」

「僕もだよ、だから…契約を、お願いします。」

「…どうか、ご英断を。」

「貴方の庇護下につかせて頂戴。絶対に役に立ってみせるわ。」

そう言って強い視線で見つめてくる幹部の皆さん。跪きはしないものの、敬意は表されている。各々の思いがしっかりとこもっているように思える。…ただ一人、レオノールさんを除いては。あの人は元々、嫌々庇護下に入っていたみたいだけど、どうするんだろう。俺はレオノールさんに視線を向ける。しかし、此方を見つめ返してくるだけでなにもしない。つまりは、「庇護下に入る気はない」ということなのだろうか?そういう認識でいいのだろうか?…その辺はよくわからないが、俺が気にする事でもないだろう。それよりも、さっきっから体の中に不思議な感覚が芽生えてるんだ。こう、内側からでる魔力的な感じの。魔力なんて扱った事も感じた事もないけど!!でも、本能的にわかる。この呪文と、このセリフを言えばいいって。多分、この体に記憶されたものなのだろう。だから覚えてられるのだと思う。俺は息を吐いて、吸い込む。キッ、と睨むように幹部の人達を見て、告げる。

「…『跪け』」

「「「「「「「ッ!!!」」」」」」」

そう俺が言っただけで、皆は地面に叩きつけられたように跪く。予想していなかったようで、立っていた人は勿論のこと、テロルさんでさえ驚いたようだ。周囲を見渡してから此方を驚愕に見開かれた目で見つめてくる。俺はそんなテロルさんを見下す。…体が熱い。なんだか力が溢れ出ているかのように、俺の意に沿って魔法(?)を発動する。体は熱いのに頭は冷えていて、冴えているような感覚だ。頭に浮かんでくるセリフを読んでいく。

「ノルン・ルシェイメア・マナの名において此処に契約を交わす事を命ずる。テロル・ヴェドラ、サンドラ・ウルカン、ライラス・トール、レオノール・アレルド、アルデンテ・リューゼマインド、ポタミア・フロレンツィーア、シルヴィア・グローリアを、ノルン・ルシェイメア・マナの庇護下に置く。今宵、この瞬間(とき)をもって、ノルン・ルシェイメア・マナはこの者達を庇護する事を誓おう。対価はその御身、捧ぐは我の庇護。…異論は?」

『威圧』にのせて問う。これじゃあ半ば脅しみたいだが、大体の人が望んでいるんだし、まぁいいよな!うん、問題ナーシ!自由だとか言われても仕方ない、こればっかりは俺じゃあどうにもできないよね!

「ございません、我が主よ。」

「「「「「「同じく。」」」」」」

声をそろえて皆がそう言ってくる。レオノールさんまで言ってきたけど、これは本意なのか、威圧のせいなのか…よくわからないけれど、本人がそういったんだし、いっか。本意じゃなかったとしても俺は知らなかったので、仕方ないということで。…ってそうじゃない、詠唱の続きを言わなきゃ。すぅ、と息を吸って、一言ずつ言葉を紡ぎだす。

「……紡げ、我らの証を。刻み込め、我らの契約を。」

世界が眩しい光に包まれた。そこから先の事は、よく覚えていない。

だが、成功はしたようで、皆が喜んでいた。だから、安心していたし、警戒心がなかったし、いろいろと杜撰になっていた。…だから、気づけなかった。






「…………」

あの人が、俺を冷たい目で見ている事に。

ブックマークがついていてびっくりしました。

ありがとうございます。これからも頑張っていきますので、。どうぞ宜しくお願いします。

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