2. 「自覚の手前」
「キーンコーンカーンコーン」
授業終了のチャイムが鳴った。
チャイムを合図に俺は起きる。
あとはホームルームが終われば帰れ・・・・・
「水希〜!今日はちゃんと仕事してってよね!」
・・・・・・・・・・・でた。
俺に話しかけてきたのは「斎藤 瞳」。
幼馴染の女子だ。
「あんたが来ないとあたしまで怒られるんだからね!」
「はいはい」
そんな会話をしていると、担任が教室に入ってきた。
「ほら〜そこのW斎藤。席に着け」
「は〜い」
「はいはい」
テキトーに返事をして座る。
「プリント配るぞ」
担任がプリントを配る。
・・・・・・・何だ?これ。
「秋のキャンプ」だって。
「水希、行かない?」
行かねーよ。誰が行くか、こんなもん。
「考えとく」
瞳に返事をしてプリントをしまう。
「よーし。じゃ、ホームルームは終わりだ」
やっと終わった〜。
うし、帰るか。
「水希〜!また逃げる気でしょ!」
「違う違う。トイレ行ってくるだけだって。」
「ホント?ならいいけど・・・・・早くね」
「あいさ〜」
よし。逃亡完了。
瞳はとてつもなくだまされやすい。
だから嘘も簡単に信じる。
さて、帰って寝よ。
俺は学校をでた。
そこには心配事なんて、まだ一つもなかった。
「恋してる」なんて自覚なかったし、
瞳の気持ちも知らなかった。
自覚したら瞳と普通に過ごせなくなりそうで。
自分から逃げ出していた。




