アンジェネットのお話その2
「アンジェは巫山戯てるの?」「私達のアンジェでしょう?」「それともカッコイイ王子様達に惚れたの?」
「ちがっ…」
否定するアンジェを力任せに押さえつける。痛みで顔を歪めた彼女でさえ美しいと思うのだから僕等は本当にどうかしてると思う。
「私はカイン様もカノン様もカレン様もこんな事をする様な方では無いと思っておりましたのに…なぜ、このような!!」
彼女の必死の訴えは聞こえないフリをする。
「俺たちを」「こんなふうにしちゃったのは」「アンジェの仕業でしょうに?」
幼子が嫌々と首を振る様に彼女は必死に否定する。でも間違いないのだ。僕等が興味を持つのは彼女のみ。彼女を幸せにする為に勉強もするし、カインは騎士になろうと、僕は学年1の成績をとるしカノンは人付き合いの苦手な兄二人に代わって情報網を広げているのだ。全てはアンジェの為。
幾年か過ぎ去って僕等は上層教育部に進学した。アンジェも僕らの通う学校に転校してきたし問題ない。二つほど誤算があった。ひとつは想像以上に殿下二人がアンジェに入れ込んでるって事。もうひとつは、僕等の周りを彷徨くコバエがうるさい事。
「カイン様カレン様!!こんな所でサボってちゃ駄目じゃないですかっ!!もう、授業が始まりますよっ!教室に参りましょう!!」
カノンは真面目だから既に教室に戻っていた。それに反して僕は授業に出なくても勉強はそこそこできるし、カインもそこそこの成績さえ取っていれば叱られることも無いので授業はサボっているが…どういう訳かこのピンクブロンドの愛らしい髪を持つ少女が先生でもない癖に僕らに構ってくる。まぁ彼女曰く先生に頼まれたらしいが先生は見る目がないな。彼女に頼むより確実にアンジェに頼んだ方が成功率が上がるだろうに。
「うるさい。」「お引き取り願いますー」
相変わらずカインは口調が荒々しい。まぁ、そこをアンジェに叱られるのをたのしみにしてる様な変態だから問題ないだろうけど。
「とにかく!!教室に参りましょう!!先生方もほとほと困り果てていらっしゃるのですよ!?」
ぷんぷんとでも擬音が付きそうなほど怒っていることが目に見えて分かった。まぁ気にしないけど。と言うか、興味も無い?
「もーほーらっ!参りましょう。」
ぐっと手を引っ張り挙げられた。案外力がある様で僕は簡単に立たされてしまった。ふと後者の方に目をやると驚いた様な顔で走り去るアンジェと目が合った。
「カノン様、カレン様!!学年ツートップおめでとうございます!!あっ!でも、次は負けませんからねっ!」
僕等がトップを取ったと言うのに嬉しそうな顔をして飛び跳ねていたがふと思い出した様にむっとした顔をして次は勝つと彼女は宣言した。勝てるものなら勝ってみろ。
「ありがとう。いつまで経ってもカレンには勝てないね」「勉強は僕の担当だからね。いくらカノンと言えど簡単に勝たれてしまうと困る。」
「あの…カイン様カノン様カレン様…」
疲れたのでここで一旦…(´・ω・`)