表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

2

シリンジのケツを一番下まで押しこむと体の中に異物が這っていくのがわかった。それはアメーバ……寄生虫、とにかくそんなものだった。僕は体のすぐ隣に置いてあったギターを手に取り歌った。その出だしはこんな感じだ。


あるベイビーがこう言ったんだ。あなたに会えて本当に良かった


そんな事が僕の人生で一度たりともありえたのだろうか?


そんな思い出は一つもなかった。いつも周りに空気の色みたいなものがあって、その空気より少し透明になるようにしていただけだった。


赤い空気の味方をすれば紫色の空気を吸う人が怒るし、その逆ならまったく逆なだけだった。僕は皆元気だなと思った。


経口摂取に比べると大分、楽だった。紙巻き煙草をほどき、取り出した葉を煎じて茶を淹れた事がある。まるで、ペニー・ロイヤル・ティー……それは一滴口に入れただけで茶に触れたところがひりひりして、毛虫を飲み込んでいるような気持ちになった。


ギターを弄ぶことに飽き、煙草を一本吸ったころ、ニコチン中毒の症状、吐き気とめまいが襲ってきて僕はその場におう吐した。赤色のなにかだった。僕は震える右手を左手で支えてやりながら、またシリンジで瓶からニコチン溶剤を吸いだした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ