episode2 存在
休み時間もこれといった楽しいことはない。教室ではチャラ軍団が先生がいないことを見計らいながらスマホでゲームをしているため、まともにはしゃぐこともできない、いや、できないわけではないがしないんだ。私は地味ーずの友達と周りに聞こえないくらいの小さな声で会話をする。
「さっき…大丈夫?」
小学校から一緒の恵未がさらに小さな声で私の顔を不安そうに覗く。
「まあ…。気にしてないよ。」
そう、と恵未が短い返事をしたところで、私達は視線を感じて直ぐに席に戻った。
毎日が同じようなもので全く楽しくない。一度だけ、いっそのこと不登校になろうと学校を休んだことがある。その時母から「いじめられてる訳じゃないのに、めんどくさい子。」と言われてご飯も出なかった。仕方なく次の日は学校に行った。
ネットのニュースを見てみると、小学生が自殺したという記事があった。小5だった。私は不謹慎ながらも羨ましく思った。私が死んだところで誰も悲しまないだろうし、ニュースにもならないだろう。恵未とだってそれほど仲がいいわけじゃない、ただ一緒にいただけのこと。親も、特に私に興味があるようでもない。成績簿を学期末に見せて怒られる程度だ。
部屋の窓を開ける。マンションの10階だから確実ではないけど、可能性がないわけでもない。心の奥に眠っていたような気持ちがぞくぞくと身体全体に感じられる。カッターナイフだって持っているし、縄はないけど絞めようとすれば他のもので首を絞めることもできる。ここまで死にたいと思うのに自殺をしないのは、多分、未遂に終わったときを考えてしまうからだ。余計なお金がかかるから親に嫌な顔をされ、原因が学校だと知られたら更に行きにくくなる。カッターナイフを机の引き出しに戻し、窓を閉めた。