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デッドマン  作者: れーじ
2/2

発症

 翌朝。

 目覚ましの音で目を覚ました。


 伸びをすると、全身の筋肉がバキバキだ。昨日の久々のバスケのせいだろう。随分体がなまってしまったものだと思いつつ、ベッドから起き上がり、換気のために窓へと向かう。



 起きた後、すぐに窓を開けるのは、毎朝のルーティンワークの一つだ。何気なく行うが、決まりきった動作なため、イレギュラーなどすぐに気づくのだった。窓は閉まっていた。だが、鍵がかかっていなかった。



 まさかね?昨晩のことが現実だったとでもいうのだろうか?だとすれば、そうとうマズいだろ。あの女の子は不法侵入だし、勝手に口付けをしてくるし。そこまで考えてから、唇に触れてみる。うん。ない。絶対そんなことありえないと、妄想に変わりそうな考えを振り払う。第一ここは二階だし、飛び移れるような建物も近くにない。



 結論としては、昨日のバスケで疲れて、窓の鍵を閉め忘れて眠るが、無意識下では鍵を閉めていないことを認識していて、その不安に起因する夢だということなった。それにしても、我ながら神経質な奴だと思う。決まったルーティンをこなさないと眠れないのだから。

そんなことを考えながら、朝の身支度をすませて、居間へと向かう。



 居間ではニュースを見ながら、両親が朝食をとっていた。どこか外国でのテロのニュースだった。



「炭疽菌か。こりゃあ土壌汚染まで大変だな」

そういって父は顔をしかめた。



 どうやら炭疽菌を生物兵器としてばら撒いたテロであったらしい。すでに肺炭疽による死亡者が数人出ているようだ。どうやら今回のテロは、とある後発国での現政権に対してのものであったらしい。そして、炭疽菌の散布形態が、死亡率の高い肺炭疽を発症させるためにエアロゾル化されたものであったこと、薬剤耐性遺伝子を持っていたことなど、高度な科学技術が用いられていたことが国際協力の科学チームによって判明したことから、後発国のテロリストだけの犯行とは疑問視されているとのことだった。つまり、現政権だと困る先進国が関与しているか、生物兵器を扱う武器商が関与しているかもしれないという国際問題へと発展していて、他人事といっていられないという事態らしかった。



「物騒な世の中ね」

と、母は月並みの感想を述べた。



 両親がテレビを見ている間に、俺は朝食の準備を続けていた。トーストを焼き、その間に半熟の目玉焼きを作る、ポットの湯も沸かす。そして焼きあがったトーストにバターを塗り、その上に目玉焼きを乗せ、塩コショウをかける。これが最高にうまいんだ。白身が固まらないくらいで作るとアルブミン万歳ってなる。カロリーは気にしない。そしてわいたお湯でコーヒーを入れる。



 世の中で大きなことが起こっていても我が家はいたっていつもどおりだった。いや、たいていの家庭はそうなのだろうと朝食を食べながら思う。


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