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魔法の鍛冶屋ルミル・ミーリア  作者: 黄龍
お節介仲間召集編
9/23

クロス参戦。仲間の集合

アムシェ(魔法生命体ラグセム三十四型)。


約二万数千年前、今はルクスソル内海として知られている場所に、グロスケラと言う魔法至上主義の魔導王国国家が誕生した。大陸のほぼ中央という立地の良さと魔法至上主義という明快な目標に賛同する人々が数多く集まり繁栄した。魔法研究はその主義も相まって著しく進展、ついに人工生命体を製作できるまでになった。それが魔法生命体ラグセムシリーズである。主要責任者ラグセム博士の名をとったそれは年月と共に改良、進歩していき、ついには自立駆動、及び識別判断、更には地上及び軌道上に準備された機動兵器を使用しての自動戦闘までを可能となるまでになった。しかし王国は王族の王位継承をめぐる問題を発端とした内戦が起点となり、魔法の暴走により王国全体が海下に沈むという最悪の結果により滅亡した。アムシェに搭載されている三十四型システムは滅亡直前に製作された最新型である。地上管制兵器は失われているため、軌道管制兵器を用いて戦う。なお、肉体部分はルミルお手製のオリジナルであり、その能力は過去のタイプと比べ物にならないほど高い。各機動兵器は汎用性があり、アムシェの身体に合わせてセッティングされる。また、アムシェも機動兵器も自己修復能力があり、さらに修復を専門とするユニットまでが存在する。故に、二万年の月日があっても維持、活動が出来るのである。なお、兵器目的で開発された生命体であるため、感情表現はないに等しく、理論的、また、冷静沈着である。



ミュレス 「こうやって見ると、恐ろしい娘ね、アムシェって」


アムシェ 「良くわかりませんが……」


ミュレス 「そりゃ、あんたはそうでしょうよ」


ルミル 「ミュレスちゃんも十分怖いですけどね~」


ミュレス 「んな?!あんたに言われたくはないわよ!」


アムシェ 「どうしてですか?」


ミュレス 「たぶん、あんたにはわからないわ……」


セレイラ 「え、えっと……と、とりあえず、本編を読んでくださいね」

祭の二日目。ルーケルセリュア大聖堂は、アイネア感謝祭のため、非常な賑わいを示していた。クロスグレヴドも司教として忙しく働くため自宅を兼ねていた研究所からやって来たのであるが、今日はどうも様相が異なっていた。大聖堂にある教会事務所に入ると、いつも以上に忙しく走り回る人々でごった返していた。


「あら、クロスさん、おはようございます」


事務所で働く女性がクロスに声をかける。


「おはようございます、レジーナさん。今日は昨日に増して皆さん忙しそうですね」


クロスは笑顔で挨拶を返した。それを見て微笑むレジーナであったが、思い出すようにして言う。


「いっけない!忘れてました。クロスさん、教皇が直々にお呼びですよ。急いでいってくださいね。今はまだご住居の方だと思います」

「おや、それは、それは……。なにかまた失態でもしたかな?ん〜……思い当たりませんねぇ」


クロスはそう言いながら事務所を後にする。レジーナは苦笑しつつ見送り、また忙しい仕事へと戻っていった。






大聖堂の五階は教皇の住居と謁見の場である大広間があった。教皇アイネアは朝の湯浴みをしているところだった。


「失礼致します。先に呼び出された、司教クロスグレヴドが参上した由にございます」


伝令として働く巫女が報告する。アイネアは湯浴みを続けていた。


「わかりました。すぐ、こちらに通しなさい」

「は?!アイネア様、失礼ですが、今は湯浴み中でございます。仮にも司教は男性でございますが……」


傍で手伝っていた巫女が忠告する。アイネアは微笑む。


「私は何と言いましたか?すぐに、こちらに通しなさい」

「し、失礼致しました!出過ぎたことを申し上げました。お許しください」


静かに、しかし、強い威厳を持ってアイネアが語ったのを見て、巫女は恐れひれ伏した。

伝令の係であった巫女は伝えるため引き下がる。

暫くしてクロスがアイネアの処に到着した。


「クロスグレヴドでございます。火急の召しと伺い参上致しました」


クロスが頭を垂れ、丁寧に挨拶を述べる。アイネアは微笑む。


「よくぞ参りましたね。湯浴みの格好なのでいつもとは違いますが遠慮はいりません。頭を上げなさい」

「はっ」


クロスが頭を上げてみると、そこには長い布を美しく巻いて席に座しているアイネアの姿があった。


「さて、急に呼んだことには訳があります。今からあなたはある場所に出向の形で出向いて貰うことになります」

「出向ですか?」

「ええ、とはいってもルーケルセリュア内ですが。あなたも一度出会っているとは思いますがルミル・ミーリアと言う方のところです」

「ルミル……ああ!フェニエルが厄介になっていると言う方ですね。わかりました。しかし研究の方は些か遅くなってしまうことになりますが、そちらは宜しいのでしょうか?」


クロスの質問にアイネアは少し間を置いてから答えた。


「今のところは大丈夫です。それに、あなたが出向くことは私の利益にもなる大事なことなのです。大変なことになるかもしれませんが、その事は良く覚えておくように」

「畏まりました。早速支度をして向かいます」


恭しく礼をしてクロスは引き下がる。姿が見えなくなってからアイネアは布をとり裸になってから再び湯浴みを始めた。


「とうとう「お節介」が始まりますか。今回はどうなるのでしょうね」


意味深に語るアイネアであった。






ルミルの店も祭の影響で賑やかになっていた。売れやすいように、安価な魔法のかかったナイフや包丁など、いわゆる便利なマジックアイテムを多数並べたこともあって、シャネ、ルフィ、エセラの三人は忙しく働いていた。

店の屋上では、ルミル、フェニエル、ミュレス、ロイ、アムシェ、セレイラ、セフィルナ、ゴルワスが話し合っていた。ルミル以外のそれぞれの立場について語っていたのである。


「私は以前ケスラフィム帝国の帝国騎士団にいたのだが、派閥などの人間関係に嫌気が指して出奔したのだ」


フェニエルが自分の出自について説明をいれる。


「なるほどね〜。あたしは百五十年前、ルミルの「お節介」を手伝って以来、ふらふらとあちらこちら諸国を渡り歩いていたわね〜」

「そ〜なんですよ〜。百五十年も見捨てられていたんです。ヨヨヨヨ……」

「ちょ?!とんでもないことを言わないでよね!あの時だってベヘモト相手で大変だったし!あんたが倒せば一瞬で終わるっていうのにね!」


いつのまにやらミュレスとルミルのコントが始まる。ベヘモトと言う言葉でセレイラが興味を抱く。


「あ、あの……もしかして、私の鎧の素材の魔獣を倒したのってミュレスさんですか?」

「ほえ?そうなの?ルミル」

「あ〜。そういえば、あの時ミュレスに手伝って貰っていましたから、そうだと言えますね〜」

「そ、そうだったんですか……。ミュレスさんありがとうございます。わ、私……お陰でフェニエル様に出会うことが出来ました」


ペコリと頭を下げるセレイラ。ミュレスは少し頬を赤らめる。


「べ、別にあんたのためにやった訳じゃないしね。感謝されることでもないわよ。てか……セレイラ、聞きたいんだけれど、コレのドコがいいの?」

「こ、コレ……(汗)」

「え?!あの……えっと……う、上手く言えないのですが……」

「あ〜……急いで言わなくていいわよ。あんた話すの苦手なんでしょ」

「あ……ありがとうございます。えっと……フェニエル様はあったかいです」


セレイラの言葉にミュレスは目を丸くする。ルミルは微笑んで観ていた。


「へ?!あったかい?」

「はい!とてもあったかいです。だから一緒に居たいと思いました」


ミュレスはやれやれと表現しつつフェニエルの方へ向く。


「あんたも物好きに好かれたものね〜」

「まあ、そうだな。そもそもルミルに興味を持ったのは私の方だったしな」


フェニエルが述懐しつつ述べた。ルミルが思い出したように言う。


「あ〜。そういえば〜。始めあたしに襲いかかったんでしたよね〜」

「へ?!マジで?!良く無事だったわね、フェニエル」


ミュレスが驚きながら言う。苦笑しつつフェニエルが答えた。


「いや、全くだな。本気で相手をされていたら既にここには居ないだろう」

「ところで、ロイ。貴方あまり話さないけれどどうして泥棒を始めたの?」


ミュレスがロイに話を振ってくる。


「ん?俺か。ま、あまり話好きではないのでね。あ、泥棒についてだったな。養父が結構な腕の泥棒だったんで、彼から生きる術として教わったのさ」

「養父?ってことは血縁は……」

「色々あったらしくてね。ま、俺が幼少の頃だったので詳しいことは知らないのさ」

「……そっか……ごめん、あまり聞き齧ることじゃないわね」

「いや、気にしないでくれ。それに今は俺達はどういう経緯にしろ仲間だしな。互いに知り合うのは良いことさ」

「うん、そうね。じゃあ、これからも宜しく!ロイ」

「ああ」


ミュレスとロイはそうして握手を交わすのだった。


「しかし、精霊達は、まあ環境が特殊なのはあたしでもわかるけれど、アムシェ、あんただけはいまいち理解が難しいわ」


ミュレスが次にアムシェに話題を移す。


「私についてですか?」

「そう。そりゃあたしもグロスケラがどんな国だったかは覚えているけれど、あんたのような存在、あたしは見てないのよね」

「私自身は起動したてで記録がありませんので軌道管制兵器の記録から参照します。暫くお待ちください」


アムシェはそう言い目を閉じる。数分後アムシェは目を開いた。


「お待たせしました。記録に残るデータを照会しました。魔法生命体ラグセムタイプ一型から三十四型まで完成体は三十三体。三十四型のみ未完成のまま製作停止。基本思想は、自律、自己判断で敵と自動戦闘をする機動兵器として設計、製作されています。故に、生命体として製作されつつ、戦闘面に不利になりやすい感情面を排除。これにより一体で一軍隊を殲滅できるまでの設計を可能にしたそうです。なお、機動的展開を可能とするため、各兵器群を転送の形で使用できるように製作されています。以上、私及び私に関する情報です」


淡々とアムシェは報告する。ミュレス達は呆気にとられていた。ルミルだけが微笑んで観ていた。


「フェニエル、あんたわかった?」

「話し半分くらいかな……話が大きすぎる……」

「ロイ、あんたは?」

「俺はあまり魔術だのは詳しくはないからな……あまりわからん」

「当時生きていたあたしが言うのもなんだけれど……あの王国がとんでもないことをしていたのだけはわかるわね」


ミュレスの言葉に、フェニエル、ロイは頷いた。

みんながそれぞれ色々と話すところへシャネがやってくる。


「あらあら、賑やかですね〜。ルミル様、クロスグレヴドさんが来られましたよ〜」


そう言い、クロスを案内してきた。


「再びお目にかかります、ルミルさん。あ、フェニエルにセレイラさんもお久しぶりです。他の方々は初めましてですね。私、クロスグレヴド・エサルウェスと申します。今は教皇アイネア様の元で司教として働かせていただきながら、魔術に関連した研究を行っています。今回、アイネア様の命でルミルさんのお手伝いをさせていただくことになりました、宜しくお願い致しますね」


クロスはそう言い丁寧に礼をする。


「……ん?アイネアの命……?ルミル、まさか?!」


ミュレスが悟ってルミルの方を見る。ルミルはニッコリ笑ってミュレスの考えを肯定した。


「さて〜、クロスさん、わざわざありがとうございます〜」

「いえいえ、これも仕事のうちですから。しかし、何をしたらよいのですか?」

「ん〜、まずはこれを貰って欲しいですね〜」


ルミルはそう言って、どこから持ってきたのか銀色の棒をクロスに手渡した。


「おお……重さといい、私の手にしっくり来る棒ですね。おや?これはミスリル銀のような……」


クロスが素材に気づく。ルミルは感心しつつ言う。


「凄いですね〜。表面は銀で完全に被って隠してあったのに〜。じゃあ、そろそろ出てきて貰いましょうか〜。ルルアト、出てきてくださいな〜」


ルミルの声に答えるようにクロスが手にしていた棒が光り始め、形を成して小柄な老人の姿になった。


「相変わらず年寄りをコキ使う奴じゃな……。儂はもう五十年は休みたかったのじゃがな」


老人は文句を言いつつ腰を叩く。その姿を見てミュレスが指を指して叫ぶ。


「思い出した!ルルアト!このひねくれじじい!」

「おや?誰かと思えばミュレスではないか。何を言うか儂の十倍も生きているババァの癖に」

「き〜!!相変わらず口の減らないじじいね!」

「なんの、お前さんには負けるわい」


何やらミュレスとルルアトの二人で言い合いになったようである。


「あ〜。まあ、ミュレスとルルアトの口喧嘩はあっちでやってもらうとして〜。皆さんにはこれから何をしていくのか説明致しますね〜」


ルミルはそう言って説明を始めた。






ルミルは今はまだ自分の立場は詳しくは言えない、と注釈を入れて説明を始めた。

まず、フェニエル達がすべきことは、パーティとしての意思の疎通。集団で事を成すためにもこれは欠かせないからだ。そして、各人の能力の確認と強化。それぞれが立場、能力、得意分野が異なるのだから、知ることは、結果として良い方向に向かう力となるからである。そして……。


「で、まず始めの「お節介」ですが〜。今、やっている祭の最終日に事件が起こりますのでその解決に当たってもらいます〜」

「事件が「起こる」?」


フェニエルが疑問に思い訊ねる。ルミルは微笑んだ。


「はい〜。起こるんです〜。起こす前に潰す方法もあるにはあるのですが〜」

「根本的な解決にならないことと、あんたが「楽しめ」ないからでしょ!」


ミュレスが突っ込む。ルミルは笑顔で答えた。


「ミュレスちゃん流石ですね〜。今晩も可愛がってあげますね〜」


ルミルの言葉にミュレスは顔を真っ赤にして答える。


「ちょ?!ちょっと、人前でそんなこと言わないでよね!」

「え〜……。まあ、そちらはおいておいて。事件ですが、ルーケルセリュア大聖堂で起こります〜。ですので、皆さん頑張ってくださいね〜」

「ふむ、具体的に何かはわかるのか?」


ルミルの言葉にロイが訊ねた。


「わかりますが〜。今、言うと〜」

「なるほどな。わかった」


ロイは、ルミルが言いたいことを察してそう答えた。ルミルは微笑む。


「ではまずは皆さんで交流ですね。ならばいい場所がありますが行きませんか?明日にでも」


クロスが提案する。


「いい場所?どこだそれは、クロス」


フェニエルの言葉にクロスは微笑みつつ答えた。


「公衆浴場ですよ」






ついにルミルの思惑通り(?)に集まった仲間達。

ルミルの予言通り事件は起こるのか?そもそもどんな事件なのか?

まずは次回の珍騒動から見ることに!

ルミル 「これで漸く全員揃いましたね~」


ミュレス 「てか、これからが大変じゃない」


ルルアト 「全くじゃな、ミュレスと一緒かと思うと……」


ミュレス 「あんたに言われたくはないわよ!!」


クロス 「いや~、賑やかでいいですねぇ」


フェニエル「クロスは順応性が高いな……」


クロス 「そうですかね~?あまり深く考えてないだけかもしれませんよ?」


セレイラ 「え?そ、そうなんですか?」


ロイ 「ま、ともあれこれからだな」


セフィルナ「次は、お風呂~、お風呂~♪」


ゴルワス 「ま、はしゃぎ過ぎないように」


どうなることやら……( ̄▽ ̄;)

次回は「湯けむり事情、その時、その人は見た!」をお送りする予定です。

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