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魔法の鍛冶屋ルミル・ミーリア  作者: 黄龍
お節介仲間召集編
8/23

魔法生命体ラグセム三十四型、起動します

バンパイア(バンパイアロード)。


直訳的には吸血鬼。但し、この世界でのバンパイアは生活上で吸血行為をすることはない。魔神の一人、ヴァルネアスが人間に対して行った呪術によって誕生した特殊生命体である。肉体の枷から解放されており、寿命による死がない。故に通常物理攻撃で肉体を破壊されたとしても、時間と共に再生、再構築が出来る。しかし逆に肉体に縛られていないために、直接的生殖能力を失っており、「吸血」による能力伝達によってのみ種を増やすことが出来る。ただ、この呪術、効果の出現に個体差が著しくあるようで、完全、またはそれ以上に能力を開花できる者もいれば、劣化発動(レッサー化)してしまい、理性を失い野生バンパイアとなる者、呪術を受け入れる素地がなく、灰塵と帰す者もいた。なお、生命力維持のため、生気吸収が必要で、多くの場合、接吻などの接触や人混みなどで生気吸収を行う。また、人間以外からの生気吸収も可能ではあるが非常に効率が悪く、彼ら曰く、非常に不味いらしい。非常手段としては魔力からの生気変換もあるようである。外観はバンパイア化した時点で停止してしまう。ミュレスが少女の姿なのはこのためである。

一般にバンパイアとバンパイアロードの明確な区別は明らかではないが、長年月生存し、バンパイアとして力を強化でき、バンパイアとして様々な能力を容易に用いれるようになって、ロードと言う称号が用いられるようである。

光に弱い、聖印に弱いと言うような特性は「ない」。銀は元々、魔力伝達能力が高く、また、若干魔力を有するためバンパイアに対しての有効な攻撃手段の一つとなる。

呪術であるため、刻印としてのあざが身体に発生する。強いほど、大きく濃く発生する傾向があり、ミュレスの場合、お腹から背中に、とぐろを巻くような蛇のような真っ赤な刻印がある。



ミュレス 「ちょっと!刻印までバラさなくてもいいじゃない!」


ルミル 「この世界に関する説明を含んでいますからね~」


ミュレス 「に、したって……個人情報もあったもんじゃないわ……」


ルミル 「ちなみに、この世界では個人情報保護法なんてないですよ~」


ミュレス 「わ、わかってるわよ、そんなことは!」


ルミル 「可愛いですね~。後でまた、可愛がってあげますからね~」


ミュレス 「ちょ?!そこまでバラしたら……」


ルミル 「おっと……詳しいことはまだお預けです。では本編をどうぞ~」

夜も更けて祭の初日を楽しんだルミルは、シャネ、ミュレスと共に店の裏手に来ていた。店の方の側はまだ人通りが多いため避けたのである。


「ふい〜。やっと到着ですよ〜」

「夜も更けたのに街道の方は、人がまだ多いですね〜」

「全くよ。祭りとなると羽目を外しすぎる奴が多すぎるわ」


人混みで疲れたことに対して、ルミル、シャネ、ミュレスの三人は口々に思いを述べるのであった。

ルミルが勝手口の扉を開けようとして異変に気づく。


「おや〜?祭だから、もしや、とは思いましたが〜。どうやら、泥棒さんが来ているようですよ〜」

「あらあら」

「あら……その泥棒も貧乏クジを引いたものね。どうせ、ルミルの事だから、初期の罠を抜けた後に守護者ガーディアンでも置いているんでしょ」


ミュレスの指摘に、うんうんと感心しながら、ルミルは中に入る。


「流石はミュレスですね〜。その通りですよ〜」

「ったく!昔からその方法よね、あんたは。あたしも、あいつらの相手をして死ぬかと思ったんだからね!」


過去に自分が手痛い思いをしたことを思い出しながらミュレスは怒っていた。


「あらあら、私達が出会った頃のお話だなんて……良く覚えていますね〜」

「死にそうな思いをしたら嫌でも覚えるわよ!それに、こんなことを忘れるような奴、どうせ長生きは出来ないわ」


吐き捨てるように、しかし、正論を述べるミュレスの言葉に、シャネは頷いていた。

三人は勝手口から台所へと入る。ルミルはまず店の方へ行く扉を調べた。


「こっちの罠は動いていませんね〜。解除もされていないから、地下の方かな〜?」


ルミルのその言葉にシャネは台所から地下に向かう扉を調べる。扉は小さく軋みながら開いた。


「あらあら、こちらは解除されているようですね〜。と言うことは、結構腕のいい泥棒さんですね〜」

「そうだといいわね〜。とりあえず地下に行きましょうか〜」


シャネの言葉から、ルミルはそう結論して地下へ降り始めた。


「腕のいい泥棒だといいって……ルミル!あんたまさか?!」


ミュレスがルミルの考えを悟って言うと、ルミルは微笑んだのだった。その答えにミュレスはやれやれと諦め顔をしたのだった。






時間は少し遡る。

看板には「魔法の鍛冶屋」とあった。魔法のかかった武器、防具は、扱いが難しいが、気を付けて選び、それなりの場所で換金すればいい金になる。そう思い、中に忍び込んだ。

この稼業も、早十五年を越える。育ての親となってくれた養父が親切に、しかし厳しく教えてくれたものだ。今回も、難易度の高い罠を幾つも解除し、また、失敗はなかった。しかし、まさか商人が出すような店に「こんなもの」が居て、自分が捕らえられるとまでは予想すらしなかったのだ。

男はなんとかして身体を動かそうと試みたが、さっきから指一つすら動かせず顔が漸く動かせる程度だった。


「お止しなさい。ヴィサルエルが貴方に施した術は一定時間、身体の自由を奪うものです。無理をすると復帰した後に大変なことになりますよ。」


男が評した「こんなもの」の一人が、男に対してわざわざ警告をする。その名を仲間は、レニスエルと呼んでいた。


「で、どうするんだい?レニスエル。俺達はこのままここで待機でいいのか?」


更にもう一人の存在がレニスエルに問うた。が、答えはヴィサルエルと呼ばれた者が答える。


「ラグエル、心配せずとも、今、マスターが店に戻られたようだ。間もなくこちらに来られるだろう」


その答えにラグエルは口笛を短く吹いた。


「ナイスタイミングだな。泥棒の兄さん、あんた恵まれているぜ」


泥棒である男には、その意味が今は理解できなかった。






ルミル達が地下の倉庫に入ったのはそれから暫くしての事だった。泥棒の男が「こんなもの」と評した存在三人は、ルミルの姿を見て恭しく一礼した。


「お帰りなさいませ、マスター。ご命令通り、対象者を捕獲しておきました」


レニスエルが挨拶と報告をする。ルミルは微笑んだ。彼らを見てミュレスが言う。


「げ!守護者トラスラグナじゃない……。ルミル、留守中こんなのを置いていたのね」

「おや……これはミュレス殿、お久しぶりでございます。ご同行されていると言うことは今回もまた……と言うことで宜しいのでしょうか?」


レニスエルが丁寧に訊ねる。


「ま、まあね。ルミルがどうしてもあたしに手伝って欲しいって言うからね。仕方無く協力してあげているのよ」


ミュレスのその答えに、ヴィサルエルは苦笑し、ラグエルはやれやれと手で素振りをした。レニスエルは微笑みつつ答える。


「それは何よりでございます。出来うるならば末永くそうありたいものですな」

「そ、そうね……」


静かだが、しかし強い意思を持って語るレニスエルの言葉にミュレスは気圧されていた。


「さて……泥棒さんが回復するのに少し時間がかかるだろうし、レニスエル、貴方達でルフィ、エセラ、フェニエルに店に帰るように伝えてくれるかしら〜?」


ルミルがそう言うと、トラスラグナは一礼し「イエス、マスター!」と返事をしてその姿を消した。

それを見届けてからルミルは倉庫の中を見回して一つの弓と一つの胸鎧を取り出してきた。更にシャネに言う。


「シャネ〜。下の素材庫から、ミスリルを多目に色々持ってきてくれる〜?ミュレスを連れていっていいから〜」

「は〜い。わかりました〜。ミュレスちゃん行きましょうか〜」

「ちょ?!あたしに荷物持ちをさせるわけ?!」


文句を言いつつもミュレスは倉庫を出ていくシャネについていった。






およそ一時間後、地下一階にある倉庫に全員が集まった。


「へぇ、こんな処まで来れる泥棒が居たとはね。やるなぁ」


ルフィは感心しながら男を見た。


「ですねぇ。一応、地下に行くところの罠や店に入るところの罠は、かなり難易度を上げていたんだけれどなぁ」


エセラも、少し悔しさを見せつつ男を見る。


「しかし、レニスエル、だったか。彼らはどういう存在なのだ?」


フェニエルが質問をする。レニスエルはフェニエルに向き直して語り始めた。


「そういえば、急いでマスターの呼び出しをお伝えしただけで、まだ私達の事をお話ししていませんでしたね。失礼致します。私、レニスエル、そして、こちらがヴィサルエル、向こうがラグエルと申します。この三名でルミル様の守護者ガーディアントラスラグナを務めさせていただいております。今後とも、宜しくお願い致します」

「は、はぁ……ルミル、済まないが私の頭では少々ついていけなくなった。後でまた教えてくれ……」


フェニエルは少々面食らった様子である。セレイラが心配そうに見守る。


「あらまあ……。まあ、確かにあたしの素性が殆どわからない状況で、トラスラグナの説明となると無理がありますね〜。今度また時間をとって説明しましょうか。まずは、この泥棒さんと、こちらの製作を済ませましょうかね〜」


ルミルはそう答えて、泥棒の方へ向く。


「さて、泥棒さん。ここはお願いなのですが〜」

「お願いだと?」


漸く喋れるようになった男は驚きつつ答えた。


「ええ〜。あたしのために働いて欲しいのです〜。ま、言うなれば、貴方の能力を買いたい、と言うところですね〜」

「ほう……それは興味深いお誘いだな……」


ルミルの言葉に男は興味を示した。ルミルは話を続ける。


「それで、あたしの条件に快諾していただけるなら〜、貴方の活動に役立つ魔法の武具を二つプレゼント致します〜」

「ふむ……つかぬことを聞くが拒否すればどうなる?」


男はルミルにそう返した。ルミルは微笑みながら答える。


「そ〜ですね〜。ご希望であれば、この場で十数える間に消し去って差し上げますよ〜」

「あんたね〜……そんな台詞、にこやかに微笑みながら言うのやめなさいよね!」


ミュレスが呆れつつツッコミを入れる。

男は軽くため息を一つ吐いた。


「ま、捕まった以上、こちらに選択権がないも同然なのは仕方がないが……俺は何をすればいいのかな?」

「では、承諾と言うことで宜しいですか〜?」

「ああ、まだ死にたくはないしな」

「ではまず、この二つを差し上げますね〜」


ルミルは先程用意した弓と胸鎧を男に渡す。


「これは……複合弓コンポジットボウ胸鎧ブレストプレートか……って、何?!」


男が受け取って話している途中、その二つから霧状のものが出てきて、女性と男性の姿になった。


「い〜やったぁ!久々に出てこれたわ〜!」

「お久しぶりです。ルミル様」


男は驚いて二人を見つめる。ルミルはくすりと笑った。


「精霊は見たことがないですか〜?」

「……あ、いや。ないわけではないが間近で見るのは初めてだな」

「なるほど〜。ちなみに弓の方がセフィルナで、風が得意でしかも貴方のような人が大好きなのです〜。仲良くしてくださいね〜」

「セフィルナで〜す!宜しくお願いしま〜す。え〜と……」

「ああ、名前を言っていなかったな。ロイと呼んでくれ」

「ロイ様、宜しく〜!」


セフィルナはロイに抱きつく。ルミルはその様子を微笑んで見つつ話を続ける。


「で〜、鎧の方はゴルワスと言います〜。ちょっと堅物だけど〜、真面目でいい子ですよ〜。ま〜、お目付け役も兼ねていますけれどね〜」

「ゴルワスです。今後宜しくお願いします。ロイ殿」

「ああ……宜しくな……しかし、こんなもの本当に貰っていいのか?」


確認するようにロイが訊ねる。ルミルは笑顔で答えた。


「もちろんですよ〜。逆にロイはあたしのために技術や技能を使うわけですからね〜」

「要するに、あたしと同じで「お節介」を手伝わされるってことよ」


ミュレスがやれやれと手を拡げた。


「またまた〜。ミュレスちゃんも好きでやってるくせに〜」

「な?!勘違いしないでよね!あたしは自分の利益のためにやっているんだからね!」

「はいはい〜」

「ちょっと!ちゃんと聞きなさいよね!それに「はい」は一回よ!」

「は〜い♪」

「ったく……だからルミルのところにいるのは嫌なのよ…………」


その後は何やらぶつぶつと言うミュレスであった。ルミルは微笑む。


「ま〜、そういうわけですので、これからはロイも仲間です〜。後でみんなを紹介しますね〜」

「……わかった。これも何かの縁だ。俺も、俺なりに働かせてもらおう」


半分諦め、半分期待といった様子でロイは答えた。


「では〜、ロイの件はとりあえずこれで良いとして、次はこれですね〜」


ルミルはそう言い、先の祭りで手にいれた球体を取り出した。


「何だそれは?」


フェニエルが訊ねる。ルミルは直接それには答えずこう言った。


「これは〜。ルクスソル内海に沈んでいたものなのですね〜」


ルクスソル内海。

ラグレイド地方とエリム地方の間にある海で、大陸にほぼ囲まれている形で存在しているため、非常に穏やかな海である。漁業が盛んだが、島が多いこともあって海賊も多い。


「ちょっと待って!ルクスソル内海から出た人工物ってことは……、滅亡した魔導王国グロスケラの物じゃないの?」


ミュレスが思い出したように言った。


「正解です〜。珍しいものだったので、再生、再構築をしてみようかと〜」


ルミルはそう言い、球体を自分の前に置いた。


「すまない。無知でわからないのだが……滅亡した魔導王国グロスケラと言う名を知らないのだが、一体いつの話だ?」


フェニエルが問う。やれやれと表現をしつつミュレスが答えた。


「ま〜、人間じゃ、知らない方が普通でしょうね。第五次天魔大戦よりも昔、およそ二万年ほど前の話よ」

「そ〜いうことですね〜。ま〜、その話はまた今度に〜。今はこちらの製作を始めますね〜。シャネ、ルフィ、エセラ、素材をこちらに持ってきてください〜。これから始めます〜」


ルミルはそう言い、両手を突き出した。シャネ、ルフィ、エセラは先程もってきた素材をルミルの近くへと運び始める。

ルミルが両手を合わせて、その後、球体に向かって手を向け開く。そして手を上げると球体は何もない場所を手の位置に合わせて上昇し始めた。


「ん〜。体格はルフィを基本で作成しましょうか〜」


ルミルがそう言うと、球体の周囲にルミルの処に集められた素材が粘土のように次々とまとわりつき始め形作っていく。

そして、それは次第に縦長になっていき、ついには下が地面につく。

やがて粘土の集まりのように見えたものが次第に淡い褐色の肌の色へ……。

頭のように見える部分からは髪のようにも見える銀糸が現れた。また、顔も形作られていき、身体の各肢体もはっきりと女性とわかるものへと変わっていった。


「さて〜、もう少しですね〜」


ルミルの声で全員は現実に引き戻された。そう、まるで幻か夢でも見ているように事が進んでいたからである。

そして「それ」は完成した。


「そういえば、ルミルがモノを造るところは初めて見たな……」


フェニエルが感慨深く述べた。ルミルは微笑む。


「これで〜、魔法の鍛冶屋と言うことの証明になりますかね〜」

「あ……いや……その、何というか、素直に度肝を抜かれた、と言う奴かな」


フェニエルが素直な感想を述べた。漸く身体を動かせるようになったロイが立ち上がり感心しながら拍手をした。


「素晴らしい。俺は何度か魔法武具の製作現場を見たことはあったがこんな光景は初めてだよ」

「ま、まあ、ルミルが凄いのは当然よ。だって、ルミルは……(もごもごもご)」


ミュレスが何やら言おうとして、ルミルは口を押さえてそれを止めた。


「ダメですよ〜ミュレスちゃん。それは、もう少し後で〜。まだクロスも居ませんしね〜。全員が揃ってからですよ〜」

「…………んはっ!わ、わかったわよ!って、クロスって誰?後で教えてよね!」

「ああ、クロスに関しては私から話そう。まあ、奴の事だから近日中には来るとは思うが」


ミュレスの質問にフェニエルが答えた。

さて、完成した「それ」は美しい女性の姿で立っていた。


「さてっと。じゃ〜目を覚ましてもらいましょ〜かね〜」


ルミルがそう言うと、ルミルの身体が力強く光り、全員は目を開けられないほどになった。


「魔法生命体ラグセム三十四型、起動します」


今まで誰も聞いたことがない声が聞こえ、全員は目を開ける。そこには、目を開いて直立不動で立っている女性の姿があった。


「起動チェック、行います。暫くお待ちください」


女性はそう言い目を閉じる。


「チェックブロック第一、オールグリーン。チェックブロック第二、オールグリーン。チェック…………」


機械的な報告を淡々と続ける女性。


「なんか変わっている娘ね。淡白というか、抑揚がないっていうか……」


ミュレスが素直に感想を言う。ルミルは微笑んでいた。


「ま〜、ある意味、ミュレスちゃんとは真逆の存在ですからね〜」

「んな?!何よ、あたしが濃厚で感情の起伏が激しいとでも言いたいわけ?!」

「あら〜。良くわかっているじゃないですか〜」

「き〜!!全く、憎たらしいわね〜!」


ミュレスはルミルを捕まえて軽く小突く。ルミルはそんなミュレスを見て喜んでいた。


「チェック、オールグリーン。身体機能、全て問題なし。次に、地上管制兵器及び軌道管制兵器の確認を行います」


女性は更に事務的に淡々と報告をしていた。


「あ、あの……この女性ひと、さっきから淡々と……ほ、報告ばかりしているのですけれど……」


セレイラが心配そうに見つめる。ルミルは微笑んで答えた。


「心配しなくて大丈夫よ〜セレイラ。あれが彼女のやり方だからね〜。まだ時間がかかるから見ててあげてね〜」

「あ……はい!」


そんな間にも女性は淡々と報告を続けていた。


「……地上管制兵器、反応オールレッド。ロストしたものと思われます。軌道管制兵器、稼働率六十五パーセント。復旧作業に入らせます。現在地点確認完了、しかし、時間軸が著しくずれていることを確認、地名更新の必要性を報告します。マスター、現時点でのチェック全て完了しました」


女性は報告を終える。ルミルはその言葉に頷いた。


「はい〜。では貴女の名前をつけないといけないですね〜」

「名前……個体識別名称の事でしょうか?」

「ま〜、そういう言い方も出来るかもしれませんね〜。ん〜、では〜、貴女の名前は、アムシェ、です〜」

「名称、アムシェ、登録しました。以後、アムシェとお呼びください」

「宜しく〜、アムシェ」


ルミルはそう言い、アムシェの手を握った。アムシェの方はルミルの行動が理解できず、キョトンとしているのであった。


「あ〜、済まないが、ルミルだったな」


ロイがルミルに声をかける。ルミルはロイの方に向いて答えた。


「はい〜?どうしました?ロイ」

「済まないが、アムシェだったか。彼女の裸体を早くなんとかしてくれないかな。俺や、そこにいる彼には結構な目の保養になってしまうのだが」


ロイの指摘通り、アムシェは美しい裸体をありのまま、恥ずかしがらずにさらけ出していた。あまり男性に対して適切とは言えなかった。


「あら〜確かに〜。アムシェ、自分に似合った衣服か装備を一つ、私達のように装着しなさいね〜」

「イエス、マスター。軌道上より転送、イメージングフィールド、ナンバー十七、装着します」


ルミルの指示にアムシェは淡々と答えて実行に移す。彼女の身体が淡く輝いた後に、草色の綺麗なワンピースを着ている姿が現れた。


「あら、素敵じゃない。あたしもたまにはドレスを変えようかしら」


アムシェの姿を見て、ミュレスは感想を述べた。ルミルはそんな姿を微笑んでみていた。






次々と揃う、ルミルの「お節介」のための仲間たち。

彼らに課せられるものとは?それはまだ先の話である。

ルミル 「そういうわけで、今回、新たに参入者です~」


ロイ 「ロイだ。宜しくな」


アムシェ 「アムシェです。宜しく」


フェニエル「しかし、大所帯になったな……」


ルミル 「クロスがまだですけれどね~」


ミュレス 「で、何をさせるわけ?」


ルミル 「ん~……まずは、ミュレスにはベットテクニックから……」


ミュレス 「ちょ?!まって!あん!やだぁ!」


アムシェ 「何をしているのだ?」


ロイ 「お前は覚えなくていいことさ」


アムシェ 「そうか……」


フェニエル「だんだん、ミュレスが弄られキャラになってるな……( ̄▽ ̄;)」


…………頑張れ?ミュレス……( ̄▽ ̄;)

次回は、「クロス参戦。仲間の集合」をお送りする予定です。

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