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魔法の鍛冶屋ルミル・ミーリア  作者: 黄龍
妖魔襲撃編(フィヴァ珍道中編)
22/23

ほのぼのした日々

アーニェ(アールヴェルサラオルサーニェ)。



 ルーケルセリュアの北にあるソル・ウェス大森林に住むエルフ族の族長の娘。銀色の長髪で長く尖った耳、琥珀色の瞳を持ち、淡い褐色の肌を持つ女性。身長は160cm位で、体重は53kg位であり、スリーサイズは上から、79、59、81。性格は、おとなしいが気弱ではなく大胆不敵で行動し始めると非常に積極的。また状況判断能力が高く、臨機応変さを持つ。エルフは妖精族の一つであり、「風」と「水」の精霊力を自然に用いることが出来る。のだが……。アーニェは精霊力に対する反応が鈍く、また行使も上手くなかった。しかし、身体能力強化魔術が非常に得意で、それを駆使した剣術を鍛えるために、わざわざルーケルセリュアの街に出てきたほどのエルフにしては変わり者。(通常、エルフは積極的に人間の街に出る方ではない)剣の腕は実際、非常に秀でており、フェニエルと互角なほどである。一人称を「私」で話し、口調は、ですます調の丁寧なもの。剣術道場でフェニエル達と知り合い、セレイラのお節介もあって、フェニエル達と共同生活(同棲?)することとなった。互角に戦えたフェニエルに好意を持ち、セレイラ達と争奪することになった。余談だが、アーニェは呪文魔法は不得手にしており使用しない。また、料理が趣味なのだが……何故か(?)下手である(苦笑)。



アーニェ  「さて、料理を作りましょうか~」


フェニエル 「何を作るんだ?」


アーニェ  「ビーフストロガノフです」


フェニエル 「ほう……精がつきそうだな」


アーニェ  「ですね。まず、豚肉を……」


フェニエル 「待て待て待て!!ビーフと言ったら牛肉だろう?!」


アーニェ  「そういう場合もあります」


フェニエル 「牛っと言ったら牛なの!!だ、大丈夫なのか……( ̄▽ ̄;)」


(暫くして……)


アーニェ  「さあ、完成ですよ~。フェニエル様、召し上がれ♪」


フェニエル 「……( ̄▽ ̄;)。と、取り敢えず……この、メダカの居る水槽に一滴……」


(ボコボコボコボコボコ!!)


フェニエル 「うおぉぉぉい!!沸いてる沸いてる!!」


(シュワァァァァ(メダカが溶けていく))


フェニエル 「と、溶けてる、溶けてるよ、おい!!」


アーニェ  「あれ~?どうしてこんなに……?」


フェニエル 「私は生きていけるのかな……( ̄▽ ̄;)」


ラグ    (アーニェの料理だけは食べないようにしよう……)


セレイラ  「えっと……( ̄▽ ̄;)。以下が本編です。楽しんでくださいね」


アーニェ  「おかしいなぁ~?」


 シニファ達がフィヴァへ旅立った次の日、フェニエルが街の北の道場へ向かったとき、クロス達は新しくルミルから住むようにあてがわれた建物に移っていた。一階にある食堂で朝食を済ませ団欒をしていた。


「ん~……。良い香りだ……。良いお茶ですね、レニス」


 茶の香りを嗅ぎながらクロスは言った。レニスは奥から菓子を出しながら微笑む。


「そうでしょう。昨日、シャネさんがわざわざくださったのですよ。あ、お菓子もどうぞ。これも頂き物です。さ、ルルアト、ロイさんも」

「お~。すまんの~……。ずずずず……。うむ、いい茶じゃな」

「お、すまないなレニスさん。じゃあ、俺はこれを貰ったら出掛けてくる」


 ロイは菓子を手に取ると素早く外へ向かって足を運ぶ。クロスは茶から口を離す。


「おや?お一人ですか?セフィルナさんやゴルワスさんは?」

「し~!!ゴルワスに見守って貰っているが、することを作らないと一日中セフィルナの相手をさせられそうなのでね。ちょっと街に出てくる!」


 ロイはそう言い素早く勝手口から外へ出ていった。クロスは苦笑する。


「昨夜も凄かったのでしょうねぇ、ロイさんの処は」

「ま、セフィルナは情熱的な寂しがり屋じゃからな。ロイのことがえらくお気に入りじゃから無理もなかろう」


 ルルアトは出された菓子を口に入れながら言った。レニスが微笑む。


「クロスも頑張っていましたよ、昨夜は」

「ちょ?!れ……レニス!あ……あれはですね……」

「ほう……儂の見ぬ間に何をしていたのじゃ?」

「え?!い……いや……その……こ、これは私とレニスの二人だけの秘密なのです!」

「うふふ……だそうですよ、ルルアト」

「やれやれ……ま、お前達二人の仲が良いのは良いことじゃて。ルミル様の「お節介」からとはいえ良い結果じゃな」

「え、ええ……感謝しています。ルミルさんには」

「はい♪」


 クロスとレニスは顔を見合わせて笑顔をしていた。そこへセフィルナが駆け込んでくる。


「ちょっと!ロイ様、知らない?また私が寝ている間に居なくなったのよね!」

「っと言うか……セフィルナよ」

「ん?何?ルルアト」

「こんなに遅くまで寝入るとは、お主、昨夜ロイと何回ヤったんじゃ?」

「え~と……。アレをして……、コレもやって……」


 セフィルナは指を折り数えていくが、当たり前のように片手では足りなくなる。ルルアト達はため息を吐いた。セフィルナは数え続ける。


「……アレもしたし……あ、そうそう、アレもやったわよね♪八回かな?」

「お主……。そこまでしたらロイも少しは休みたくなるじゃろ……」

「え~?!まだ二桁いってないわよ?」

「いくつもりなのか……。ロイが逃げる訳じゃな……」

「で!そんなことよりも、ロイ様はどこ?」

「さあ?さっき、ちょっと出ていくと言って外に行ったがの?」

「くぅ~……!!また逃げられたか!捜すときはゴルワスは協力してくれないからなぁ……」


 セフィルナは残念がる。ルルアト達はそれは当然だろうと思ったが敢えて突っ込まなかった。セフィルナは玄関の方に向かう。


「あ、もし、ロイ様見つけたら教えてよね!」


 そう言い部屋から出ていった。ルルアト達は苦笑した。


「ま、仲は良いのだろうがの~」

「は……激しいみたいですね……八回だなんて……」

「ははは……私がレニスと頑張っても五回だったかな?」

「ちょ?!ちょっとクロス!!」

「あ……す、すみません、レニス」

「お熱いことじゃて」

「全くですな。クロス殿も、お盛んなことで」


 ゴルワスが部屋に入りつつ言う。クロスは顔を赤くした。


「ご、ゴルワス殿、こちらに来ておられたのですね」

「ま、ロイ殿にセフィルナを暫く押さえるように頼まれましたので。それが終わった今は自由ですからね」

「では、ゴルワスもお茶をどうぞ」


 レニスは新しくお茶を淹れてゴルワスに渡す。ゴルワスは微笑んだ。


「これは、これは、ありがとうございます、レニス様。クロス殿との生活は楽しまれていますか?」

「はい♪それはもう♪ルミル様に感謝ですね」

「それは何よりです。……うん、このお茶は美味しいですね。のんびり出来るのも今少しでしょうから、楽しんでおいた方がいいですね」

「やはり、次が来そうかの?」

「先日、ルミル様とお話をしたとき、そのようなお話を少し。どうやら次はミュレスさん達が帰る前に起こりそうです」

「また、レビヤタンのような奴ですか?!」

「クロス、興奮し過ぎてはダメですよ?」

「あ……ああ、すみません……」

「本当に、お二人はお似合いですね。あ、話が逸れましたね。ルミル様のお話では多数の妖魔の来襲になりそうだと」

「妖魔?ルーケルセリュアには衛兵も聖騎士団もありますし、今はフィルナ様も居ますから、少々妖魔が来ても問題には……」

「それは自分も言ったのです、クロス殿。にも拘らず、ルミル様はそう言われたのです」

「ふむ……」


 クロス達は考え込んだが、只、妖魔が街の外から来襲したのでは問題になりそうにはなかった。ルーケルセリュアは城塞都市の名の通り街の周囲は巨大な壁で守られており城門以外からの侵入は極めて難しかった。また、空からの来襲は魔法により容易に防がれるため、普通行われない。クロスは考えつつ言う。


「通常では考えられない方法となれば……」

「二、三、挙げられますが実行は難しいと思いますよ、クロス」

「そうですよね、レニス」

「ん?何かあるのか、クロス」

「ええ、確率は低いですが幾つか考えられます。まずは時空門ゲートを使う方法ですね。手引きする者が街中に居たら一応は可能ですね。次はラクリム川を用いる方法です。水中は城壁ほどは防がれていないので侵入はしやすいと言えます。但し、この方法で来る妖魔は種類が限られるので対処は楽ですね。後、私が考えれたのは、土の精霊力を用いて地下に穴を掘り街に侵入する方法でしょうか。只、どれも魔法や精霊力を用いるため、こちらが警戒していれば防げないとしても察知は十分に可能ですね」

「なるほどな……。しかし、ミュレス達が帰る前にか……。面倒じゃな、早めにフェニエル達にも伝えた方が良かろうて」

「自分もそう思います。今日、帰ってこられたらお伝えしておきましょう」

「処で、そのフェニエルさんは今日はどちらに?」

「ああ……。フェニエルは今日、剣術道場を見学だそうですよ。何でも凄腕の女剣士を見つけたとか」

「ほう……女剣士とのう……。また、セレイラがヒステリーを起こしそうじゃな」

「そのようですね……。自分がその場に居なくて良かったです」


 ゴルワスのその言葉に全員は苦笑した。クロスは立ち上がる。


「さて、話はこれくらいにして、私はいつもの魔法研究に入ります。レニス、行きましょうか」

「はい。では皆さん、失礼します」


 二人はそうして部屋を出ていった。ルルアトは微笑む。


「何とも仲睦まじいことじゃな」

「そうですね。ロイ殿とセフィルナも似たようなものですよ」

「じゃろうな。ロイもセフィルナがしつこいのには辟易しているようじゃが、セフィルナ自身が嫌いなわけではなさそうじゃしな」

「毎晩、仲睦まじいですよ」


 ゴルワスとルルアトはお茶を飲みながら談笑していた。






 ロイは住居から出て、街道には出ずに、人が多くは居ない静かな公園に来た。家族連れや老人など数人は居るが公園の広さに対しては少ないと言え、小動物の鳴き声の方が大きいくらいの静けさだった。ロイは誰も座っていないベンチに座る。


「ふ~っ。夜の付き合いでセフィルナとヤるのはまだ何とかなるが、流石に昼間まで付き合わされたらフェニエルのようになりかねないな……」


 ため息混じりにロイは言った。実はこの日、フェニエルはアーニェまで加わり三人を相手にしないといけなくなるのだが、無論、今のロイが知る由もない。ふと、ロイは考えた。別に今の境遇に不満があるわけではない。むしろ犯罪を犯す危険をせずに己の技術を用いれることを感謝するくらいだ。が……。自分はまだ何かが出来そうな気がする。具体的に何かははっきりとはわからないのだが……。いや、何かがしたいのかもしれない。しかし「何か」は良くわからなかった。


「ま、俺はクロスのような知識人ではないし、考える方は向いてないかもしれないな」


 つい口に出して言った。すると……。


「考えているロイ様も素敵ですよ♪」


 声のする方向を向くとセフィルナが立っていた。ロイはやや慌てる。


「せ、セフィルナ?!えらく早く見つけてくれたな」

「うふふ~♪だってロイ様、前々回と同じ場所ですよ?ここは」


 セフィルナに指摘されて、ロイは顔に手を当てる。


「ちっ……。逃げることばかり考えていたわりに間抜けだな俺も……」

「あら……。私は嬉しいですよ?こんなに早くロイ様を見つけられましたし♪」


 セフィルナはロイに抱きついた。ロイは苦笑する。


「ふっ……。そうか……。そうだな、今のお前は俺一筋だものな」

「はい♪セフィルナは今、ロイ様から幸せを一杯貰っているのです♪」

「毎日搾り取られているからなぁ……」

「はい♪毎日頂いています♪」


 そうしてセフィルナはロイに熱い口づけをした。ロイは少し顔を赤くする。


「セフィルナ、流石にここではヤれないぞ?」

「わ、私だってそれくらい分別は働かせますよぉ。でも愛情表現くらい良いでしょ?」

「俺は構わないが周囲の人は逃げるだろうな」

「居なくなれば出来そうですね♪」

「いや……流石に俺には無理だ」

「ちぇ♪でも今日は早くからロイ様を独り占めできたからいいかな~」


 ロイはセフィルナを優しく抱く。セフィルナは顔を赤らめロイの腕に飛び込んだ。


「朝からロイ様を独り占め♪あ~……。家だったら出来るのに~!」

「……だから出てきたんだよ、俺は……」


 セフィルナの台詞にロイは苦笑する。セフィルナはペロッと舌を出した後、再びロイと熱い口づけを交わした。






 新しくクロスの魔法研究を行うことになった部屋で、クロスとレニスは研究作業をしていた。


「えっと……。元素間の魔力影響値の記録はどちらに収めますか?クロス」

「そうですね……。北側の棚にある黄色の四番のファイルの方でお願いします」

「はい!」


 二人で運び込んだ資料を整理する。ふとクロスの手が止まった。レニスが気付いて声を掛ける。


「クロス、どうかしましたか?」

「しまった……。もう一つの可能性があった……」

「え?!」

「さっきのゴルワス殿の話ですよ!」

「ああ……。ルミル様の次の「お節介」になりそうだと言う……。しかし、対処しやすそうではありませんでしたか?」

「確かに魔力や精霊力を使えばね。しかし、そういうものを使わずに向こうが来たら?」

「え?!それはどういう……」

「取り敢えず、ルルアト達の処へ行きます!」

「あ、はい!!」


 そうして二人は足早に部屋を出ていった。






「ふむ、なるほどのう……。その可能性もあったか。盲点じゃな」


 ルルアトは急遽報告しに来たクロスの言葉を聞きそう答えた。ゴルワスは腕を組む。


「確かに準備が必要ですが、その方法なら手際よく、また「力」を必要としないために大量の兵力を見つからずに街に侵入させれそうですね」

「今、先日のレビヤタン事件で聖騎士団の人員は極端に減っていますから、もしも三ヶ所の大きな城門で同時多発的に発生すると対応しきれなくなります」


 クロスは確信を込めて言う。聞く全員は頷いた。レニスが口を開く。


「もし街中に入ってきたら、一つ一つ退治するのは大変になりますね」

「そうですね。時間がかかる分、街の人々に多大な被害が起こりかねません」


 ゴルワスは険しい顔をした。ルルアトも表情が険しくなる。


「これは、かなりの大事になりそうじゃな。ゴルワスよ、ロイや、フェニエルにも伝えて、明日にでも話し合って対策を練った方が良いかも知れぬ」

「そうですね。自分がお伝えしてきましょう」


 ゴルワスは立ち上がった。クロスは頷く。


「お願いします。私は、もし、その方法で来たときに対処できるように色々準備しようかと思います」

「あ、では、お手伝いを」

「お願いしますよ、レニス」


 クロスとレニスが立ち上がる。ルルアトは頷いた。


「では儂は、フィルナの処へ行って、対応できるのがどの程度か聞いてみようかの」

「お願いします、ルルアト。備えは幾らしても不足はないですから」

「そうじゃな。では参ろうか!」


 そこに居る全員はそれぞれの目的の元、移動していった。残されたお茶から侘しく湯気が立っていた。






 ルミルは店の地下深くで作業をしていた。レビヤタンの骸を解体処理し、素材にして新たな武具を創ろうとしていた。


「今回は、ど~しましょ~かね~。ん~……。そうだ、アレも持ってきて、アレを創りましょ~かね~」


 何やら思い立ったルミルは部屋を出ていく。どうやら新しい武具が誕生しそうであった。






 折角ほのぼのとした生活を満喫しているなかでの、次なる事件の情報。しかし、彼等は義務からではなく、自ら進んで行動を起こそうとしていた。それは何よりも静けさを取り戻し、再びほのぼのとした生活を得るためであった。一体どのような事件となるのか……。神ならぬ我らは見守るしかなかった。


ルミル   「さて、ここをこうしてっと……。出来上がりが楽しみですね~」


クロス   「何とかしなければ……」


レニス   (焦らないで、クロス)


ルルアト  「やれやれ、厄介になりそうじゃな」


ゴルワス  「漸く自分も出番でしょうかね。まあ、出番がない方がいいことなのですが……」


……さて、次回はどう進むのか( ̄ー ̄)

次回の題名は「戦闘準備、各々奔走す」です。


アーニェ  「この武器、素晴らしいです!ルミルさん!」


ルミル   「それは良かったですよ~。活躍期待していますよ~」


クロス   「妖魔用に、対策を整えねば……」


レニス   「えっと、これと、あれと……」


ロイ    「俺は何をすれば良いかな……」


セフィルナ 「三人で出来ることを考えましょ!」


ゴルワス  「自分も参加ですか。頑張らせて貰います!」


ルルアト  「こりゃ、儂も奮闘せねばなるまいな……」


フェニエル 「鍛える以外に、何が出来るかな……」


セレイラ  「何でしょう?」


ラグ    「う~ん……」


各々の奮闘が始まります、お楽しみに!


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