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魔法の鍛冶屋ルミル・ミーリア  作者: 黄龍
妖魔襲撃編(フィヴァ珍道中編)
21/23

フェニエルの楽しい?一日

レニス。



 美しい白髪で金色に光る魅惑的な瞳を持ち、淡い褐色の肌を持つ美女。身長は170cm位で体重は65kg位である。スリーサイズは上から、88、60、90。性格は沈着冷静で真面目、しかし感情豊かな素敵な女性。臨機応変さを持っているが、やや生真面目なため洒落や冗談には疎い。彼女はルミルが創り出した直属の天使の一人。レニスエルとは兄妹に当たる。レニスエルと同様の万能型。今回ルミルの「お節介」により、クロスの相方を務めることとなった。しかし、本人もクロスを非常に気に入ってるようで、慣れない(というか今までしたことがない)夜のお勤めまでクロスにする頑張りようで非常に微笑ましい。現在、新婚さんの雰囲気(笑)。ちなみに彼女の力はルミル直属の天使だけあって、天界の神々や魔界の魔神達並みにある。一人称は「私」。丁寧なですます調の口調で話す。余談だが彼女達が身に付けている白い布は「聖布」という特殊な布で一枚の只の布のように見えるが非常に強力な魔法の装備で彼女達を守護する。その効果を見るのはまたの機会に。



レニス   「は、恥ずかしいですね……(///ω///)♪」


クロス   (恥じらう姿が可愛いなぁ……)


ルミル   「ん~……。予想以上の反応ですね~♪」


ロイ    「ある意味狙い通りなのか?」


ルミル   「そうですね~」


セフィルナ 「じゃあ、ロイ様を私の狙い通りに……ムフッ♪」


ロイ    「ちょ?!お、俺は逃げるぞ?!」


ゴルワス  「おやどちらに?」


セフィルナ 「逃がさないわよ!!」


ロイ    「ま、待て!!」


ルミル   「あらまぁ……楽しみですね~」


クロス   「ん~……。可愛いなぁ」


レニス   「あれ?クロス様?」


クロス   「おっと、ぼ~っとレニスを見ていました。研究を始めましょうか」


レニス   「はい!資料をお持ちしますね」


ルルアト  「やれやれ、ああ、本編は以下から始まるぞい。楽しむんじゃぞ」


 ルーケルセリュア。十万人を擁するこの都市は昼も夜も多数の人々が様々な仕事、思惑、思想などにより活動していた。先日のレビヤタン事件の後始末も着々と進み、また玉としてフィルナを担ぐことが決まったことで、取り敢えずルミルが関与を考えていた「お節介」の一つは終了した。シニファがミュレス、アムシェと一緒にフィヴァへ向かった次の日、フェニエルは自室を出て街に繰り出していた。


「フェニエル様、今日はどちらへ行かれるのですか?」


 セレイラがフェニエルに抱きつくようにして聞いた。フェニエルは微笑む。


「ああ、今日は先日見つけた剣術道場を覗いてみようかと思ってね」

「マスター、けんじゅつど~じょ~って、何?」


 ラグの素朴すぎる疑問にフェニエルは苦笑した。


「そ……そこから教えないとダメか……。私はラグロウゼスを使っているだろう?ああいう武器を剣と呼ぶのだが、それを上手に用いる方法を剣術と言うんだ。で、練習や仲間と一緒に競い合う場所が、今日行く剣術道場と言うのさ。わかったかな?」

「ん~……。良くはわからないけど、わかりました!」


 ラグは元気に答えた。フェニエルは微笑む。


「そこに腕のいい女剣士が居たのが見えてね……。今日はじっくり見てみようかと……」

「……フェニエル様?」

「あ……、いや、せ……セレイラ、私は純粋に剣術として興味をだな……。決して女性だからとかではなくて……」

「あら、フェニエル様。私は何も責めてはいませんよ?何をそんなに言い訳されるのかしら?」

「う……。いや、その……」

「後で、キツ~いお仕置きが必要なようですね!」

「ちょ?!ま、待て!まさか、この間のをやる訳じゃないだろうな?!」

「さあ?知りません!今晩は覚悟してください!じっくり、絞り出してあげますわ!」


 セレイラの台詞にフェニエルは顔を青ざめた。ラグは苦笑する。


「マスター、姉さん怒らせたら大変なのに~。相変わらず学習しないね~」

「たはは……。剣術は得意だが、女心はまだこれから修行だよ……」


 フェニエルは肩を落として街中を進んでいった。






 フェニエル達は修理中の大聖堂を通り抜け、以前行った大衆浴場の横を通り過ぎた。暫く進み、とある路地に入る。威勢の良い掛け声と木がぶつかるような音が聞こえてきた。


「ここだな」


 フェニエルはそう言い中を覗く。セレイラとラグも中を見た。

 中では剣術を学ぶ生徒達が練習用の木剣を手に互いに色々打ち込み合っていた。武術なので男性ばかりと思いきや、意外にも女性も多く、ざっと見ただけでも数人は居た。


「女の方も沢山剣術を学ばれているのですね」


 セレイラがやや驚きつつ言う。フェニエルは微笑んだ。


「ま、人は非力だからね。護身のためや身体を鍛えるために、こういうことを学ぶ人は多いのさ」

「僕達とは違うもんねぇ」


 ラグの言葉にフェニエルは頷いた。そんなとき、銀色で長髪の女性が立ち上がり剣の稽古に、場に上がる。


「お、あの娘だな」


 フェニエルの声に、セレイラ、ラグの二人は女性を注視した。女性は一礼をして相手と向き合い剣を構えた。


「ほう……下段構えとは珍しいな……」


 フェニエルは女性の構え方を見て言う。セレイラとラグは首をかしげる。


「フェニエル様……、私には何のことかさっぱりです……」

「マスター、教えて~!」


 二人の反応にフェニエルは苦笑した。


「剣は構え方がおおまかに三つあるんだ。攻撃を重視した上段、臨機応変に対応できる中段、防御を重視した下段とね。剣はそれなりに重量があるから、下から上に上げるより、上から下に下ろす方が威力が上がるのはわかるだろ?」

「あ……はい」

「それくらいなら僕でもわかる~」

「だから、下段で構えているこの娘は珍しいと言ったのさ」

「フェニエル様が言ったような防御重視だからでしょうか?」

「いや……発している気は攻性が強いから防御型ではないと思うが……」


 フェニエルはそう言い対峙する女性を注視した。セレイラとラグも注目する。女性と相手をする男性は互いに構えたままどちらも攻めあぐねていた。ふと男性の方から動く!男は剣を中段の構えから勢い良く突き出した。女性は剣を動かすというより自分が動くことで剣が「動いて」いき男性の鋭い突きを逸らした。しかもその時点で剣の構えは上段に変わっていた。


「そうか!誘い出すための構えでもあったのか」


 フェニエルは初めの構えの意図を悟った。女性は素早く男性の方へ突き進み剣を打ち下ろす。こうして勝負は決着がついた。周囲では歓声が上がる。


「また、アーニェさんが師範代から一本取ってますよ!」

「ウチの道場では師範以外相手にならないかも」

「お姉様、素敵です~」


 数々の声が上がりフェニエルも良く見たくなって道場に近づく。中で学んでいた一人がフェニエル達に気付いていた。


「おや?剣術に興味がおありですか?あ……いや剣をたしなんでいらっしゃる方のようですね」


 フェニエルが立派な剣を持っていることに気が付いて道場の生徒は言う。フェニエルは苦笑する。


「ま、まだまだ修行中だけれどね」

「宜しければ中へどうぞ。実践で用いておられる方の技術は非常に参考になりますので」


 道場の生徒はそう言い、フェニエルを強いて道場に招く。そして、師範代に報告した。師範代はアーニェの元からフェニエルのところにやって来た。


「ようこそ、わが道場へ。私は師範代を務めますローウェルと申します。ま、男ゆえに私に指名されていますが、実際の剣の腕は貴方も見られたように、そこに居るアーニェの方が上なのですがね……。もし、良ければ一戦お願いしたいところですがいかがでしょうか?」

「わかりました。私で良ければお相手致しましょう。ああ、この木剣をお借りします。セレイラ、すまないが剣を持っていてくれ」


 フェニエルは木剣を借り受けラグロウゼスをセレイラに預ける。セレイラはしっかりとそれを受け取った。


「は……はい!フェニエル様、頑張ってください!」


 フェニエルは優しく微笑んだ。セレイラにとってそのとろけるような顔を見て、セレイラは顔を真っ赤にして俯いた。ラグはその様子を見てやれやれと表現する。


「マスターも罪だよね~。何気なく、こうやって姉さんの気持ちを虜にしているのだもの。それだけ姉さんがマスターに固執しちゃうのだけれどなぁ」


 フェニエルとローウェルは道場の指定の位置に立つ。ローウェルは先程と同様、中段の構えをとった。しかし……。


「あれ?マスター、構えてない……」


 ラグの言葉の通り、フェニエルは構えをせず力を抜いたような自然体の姿で立っていた。


「どうされました?構えて構いませんよ?」


 ローウェルがそう言うがフェニエルは微笑んで答えた。


「いや、このままで大丈夫だ」


 ローウェルはフェニエルの態度を挑発ととってやや憤然となる。


「わかりました。では、参ります!」


 ローウェルは非常に勢い良く飛び出しフェニエルが立つ場所に鋭い突きを出した!人の目にはフェニエルに木剣が貫通しているようにも見えた。


「マスター?!」


 ラグが叫びをあげる。しかし、セレイラは落ち着いて様子を見ていた。


「ラグ、フェニエル様はそんなに弱い方ではありません。一般人の軍隊と対等に戦えるアムシェさんと一人で渡り合える方なのです」


 その言葉の通りフェニエルに木剣は当たっておらずいつの間にかフェニエルはローウェルの背後に回っていた。木剣をローウェルの首筋に当てる。


「勝負あったかな?」


 フェニエルの言葉に、ローウェルは片膝をつく。


「早すぎる……。私の目では追い付かない……」

「……実践をしている者から言わせて貰えば、目に頼りすぎると技術は途中から向上しなくなるかな」

「や、やはり、そうですか……」

「ところで、モノは相談なのだがローウェル殿」

「は?何でしょうか?」

「アーニェさんと言われたかな、彼女と一戦交えたいのだがお願いできないかな?」

「わかりました。彼女に話して聞いてみましょう」


 フェニエルの願いにローウェルは答えアーニェの元へ向かう。フェニエルはセレイラ達のところへ戻った。


「お疲れ様です、フェニエル様。彼女とは剣を交えれそうですか?」


 セレイラの言葉にフェニエルは苦笑した。


「やはりお前はわかっていたか。向こうの返事次第かな。恐らくローウェル殿が説得してくれるだろう」

「ルミル様やアムシェさんは人を越えた強い方ですからフェニエル様は自分と同程度の腕を持つ好敵手と言える存在を捜しているのかと思って……」

「うん。その通りだ。まだ私ではルミルやアムシェの相手は無理だからね。私の見立てが間違いなければアーニェと言うあの娘がそうなりそうなんだがね」


 フェニエルの言葉にセレイラは頷いた。ラグはアーニェという女性を見つつ言う。


「マスター、それはわかったけれど……。あのアーニェって人、人間じゃなくてエルフだよ?」

「え?!」

「本当ですか?ラグ」

「う、うん。僕、全属性元素が使えるから、その力を「見る」ことが出来るのだけれどアーニェさんの周囲には「風」と「水」の力があるもの。自然にそうなるのはエルフのはずだよ?」

「エルフがわざわざ人の街中で剣術を学ぶというのは珍しいな」

「交流とかが積極的な方なのかもしれませんね」


 セレイラの言葉にフェニエルは頷いた。ローウェルがアーニェと話し終えたのかフェニエルのところにやって来る。


「お待たせしました。彼女もお相手すると申しています。さあ、どうぞ」

「よし、では行ってくる。恐らく久々に本気で出来る相手だ」


 フェニエルは高揚感に満ちた声で言い、道場の指定の位置に向かった。セレイラは顔をややしかめっ面にする。


「全く!こういうときは本当に嬉しそうな顔をするんですもの。私も剣が扱えるなら、あの顔も私のモノになるのに……」

「姉さん……。マスターを独占したいんだね」


 ラグの素朴な一言にセレイラは顔を真っ赤にした。


「ちょ?!や……ラグ……え……えっと……その……つまり……」

「僕にも少し分けてね?」

「ラグ……。何て可愛いのかしら!」


 セレイラはラグを抱きしめた。フェニエルが立つ場所にアーニェがやって来て一礼する。


「アールヴェルサラオルサーニェと申します。今回は宜しくお願いします」

「フェニエル・ログラントと言う。宜しく頼む。あ、そうそう……」


 フェニエルは語りつつ、先程とは異なり剣を顔の高さに水平に持っていき持ち手を引いた。そして言葉を続ける。


「貴女の力量が知りたい。私も本気でいくので見せてくれないか?」


 フェニエルが言い終えると、彼の髪は舞い上がり眼は美しく輝き出した!アーニェは頷いた。


「わかりました。では、参ります!」


 アーニェも美しい銀髪が舞い上がり琥珀色の美しい瞳が輝く!そして二人の試合は始まった!!






 激しく木剣同士がぶつかり大きな音がする。二人は一旦、間を開けるが再び激しく激突した。一合二合と剣が激しくぶつかり合う。端からの見た目、二人の戦いは互角に見えた。


「す、凄い……。目が追い付かない早さでの戦いなんて初めてだ!」


 周囲からは驚嘆や感嘆の声が漏れる。セレイラは二人の戦いに見入っていた。


「フェニエル様、アーニェさん、なんだか二人で踊るみたいです……。凄く……、凄く素敵です……」


 セレイラの言葉通りフェニエルとアーニェは笑顔で剣を交えていた。片方が剣を出すと剣で受けたり、見事に回避し、反撃する。その姿がリズムのある流れる動きのため、まるで「踊る」ように見えるのだ。


「いいなぁ……。そうだ!姉さん、僕達もやろう!」


 ラグがそう言い、セレイラの手を取って道場の中央フェニエル達の横へ出ていく。


「え?!ちょ、ちょっとラグ?!」


 突然のことにセレイラは慌てる。ラグは土の力を使い「剣」を造り出した。


「さ!姉さんも!」

「え?!き……急にそんなこと、言われても……」


 セレイラは立ち尽くして俯いてしまう。フェニエルはアーニェと剣を交えながらも笑顔で声をかけた。


「セレイラ!お前も楽しめ!」


 アーニェも無言の内にセレイラに微笑みかけた。セレイラは一つ深呼吸をしてから頷いた。


「よし!行くわよ、ラグ!」


 土の力を用いて「剣」を造りだし、ラグの「剣」と交える。二人とも高い剣術を持つわけではないのでぎこちないが、二人とも楽しんでいた。次第に道場にいる各人が誘われるように木剣を持ち、互いに相手を選び、剣を交え合う。そこには、いつもと違い笑顔と笑い声が聞こえるおよそ道場とは思えない雰囲気となっていた。ローウェルは剣を交えて楽しむ仲間達を呆然と見ていた。


「今までこんな風に楽しんで交えるところなんて見たことがなかったな……」

「それは剣術の素晴らしさを理解しきれてなかったからじゃよ」


 ローウェルの背後から声が聞こえ、振り向く。そこには一人の老人が佇んでいた。


「師範!お帰りになっていたのですね!」

「うむ。たった今じゃがな、しかし……」


 師範と呼ばれた老人はフェニエル達に目を向ける。そして言葉を続けた。


「本気のアーニェと互角に渡り合う、あの男、何者じゃな?」

「あ、はい。今日、見学に来られた剣士の方ですが、名は確か、フェニエル・ログラントと申されましたね」

「フェニエル……?おお!ケスラフィム帝国騎士団筆頭だった迅雷の剣風か。ということは騎士団は辞めたのじゃな」

「師範、ご存じなのですか?」

「ん?何、帝国に知り合いが居てな。約五年前、凄腕の剣士が入隊したことを話題にしてくれたことを覚えていただけじゃよ」

「な、なるほど……」

「しかし、互いに本気で戦いながら楽しむとは末恐ろしい奴等じゃな。更なる成長がありそうじゃて」


 師範はフェニエルとアーニェが踊るように戦うのを楽しげに眺めていた。






 日が高く昇り、時刻は昼になろうとしていた。道場ではくたくたになりながらも笑顔で笑いながら座り込んで話し合う人々が居た。


「いや~、久々に本気で楽しませて貰ったよ」


 フェニエルはセレイラから貰った濡れたタオルで汗を拭きながら言う。


「私もです」


 アーニェも短く言った。その顔には満足げな笑みがあった。ラグがアーニェに寄りかかる。


「ねね、アーニェさん。ど~してエルフなのにわざわざ人間の街で修行しているの?」

「え?!あなた、私がエルフとわかるのですか?!」


 ラグの言葉にアーニェが驚く。ラグは更にアーニェに抱きついた。


「うん!自然と「風」と「水」の精霊力がアーニェさんの周りに働いているから。これってエルフの特徴だよね?」


 ラグの言葉にアーニェは頷き、ヘアバンドを外す。髪の中に隠してあった長く尖った耳が出てくる。


「精霊力が見えるだなんて凄いですね。私、エルフですけれど、そういうことはさっぱりで……」

「え?そ~なんだ。それで剣術をやっていたの?」

「えっと、私……精霊力の操作は苦手なんです……出来ない訳じゃないのですが……。只、身体強化魔術は得意なので、それで……」

「へぇ~。アーニェ、凄いんだね」

「そ、そうでしょうか?私は好きなことをやっていただけですし……」


 アーニェは顔を赤くして俯く。フェニエルは微笑んだ。


「好きなことであっても努力して向上するのは大変だ。ならば、好きじゃないことより好きなことで向上する努力をした方が楽しめるんじゃないかな?」

「……そうですね……。そうだと思います」

「それに、悔しいですけれど、フェニエル様の極上の笑みを引き出したのは、アーニェさんの剣技ですから、私、素敵だと思いました」


 セレイラが笑顔で言った。アーニェは顔を赤くしつつ驚く。


「ええ?!そ……そんな……。あ、ありがとうございます……」

「ところでアーニェさん。エルフなのにわざわざ人間の街まで出掛けられてるということは、生計はどうしておられるのですか?」


 セレイラは急に話題を変える。アーニェは真顔に戻った。


「あ、はい。幸い、私にはこの剣技があるので冒険者として護衛の仕事とかをしていました」

「ならば……。フェニエル様?」

「ん?どうしたセレイラ」

「ルミル様にお願いして、アーニェさんをお招きしてはどうでしょう?」

「え?!……いや……それは私も嬉しいが……。いいのか?セレイラ」

「それは勿論。遠くまで通いに行かれるより近くで監視する方が楽ですから」


 セレイラの台詞にフェニエルは苦笑した。アーニェがこっそりとラグに訊ねる。


(ラグさんでしたっけ?)

(うん。ど~したの?アーニェ)

(セレイラさんって、フェニエルさんのことが?)

(うんうん。嫉妬してヒステリーを起こすくらい大好きだよ~)

(うわ……。そんなところに私が行ってもいいのかな?)

(ん~……。多分、問題ないと思うよ?)

(そ、そうなの?)

(うん、だって……)

(だって……?)

(姉さんはフェニエル様にしか絶対怒らないと思うしね)

(え?!それって……どういうことなの?)

(う~ん……。僕じゃ上手く説明できないからアーニェも一緒に来たらいいよ!)

(そ、それでいいのかな……)

「あ~……、アーニェ、いいかな?」

「あ?!は、はい!何でしょうか、フェニエルさん」

「その……セレイラも勧めてくれたのでお願いしたいのだが」

「はい」

「良ければ私達のところで共同生活をしてみないだろうか?今、私はルミルという人物のところで居候をしているのだが彼女に話してみようと思うんだ。私としても身近に剣を交える友がいることは嬉しいのでね……」


 フェニエルは頭を掻きつつ恥ずかしげに語る。アーニェは微笑んだ。


「私は一向に構いませんよ。むしろ生活環境を与えてくれることに感謝します。ところで……セレイラさん?」

「は……はい?!何でしょうか、アーニェさん」

「私が頑張ってフェニエルさんの心を奪ったら祝福してくれますか?」

「ええ?!い……いや……それは……」

「どうします?」

「わ……わかりました!その時は祝福します!」


 セレイラの言葉にアーニェは微笑む。フェニエルは焦った。


「ちょ?!ちょっと待て!すると何か?わ……私は三人とも相手をしろと……?じょ……冗談じゃないぞ!!か、身体が持たない!!」

「あれ?マスター、一緒に来て貰う時点で、そんなことわかるんじゃないの?」

「そうですよ。今日から早速、三人で取り合いですね」

「え?私も入っていいの?なら頑張っちゃおうかな」

「待て待て待て待てぇ!!セレイラとラグの相手でも大変だったのに……。わ、私を殺す気か?!」


 喚くフェニエルを余所に三人の邪気一杯な無邪気に振る舞う可愛い女達は笑っていた。






 優れた剣術仲間として加わることになりそうなアーニェ。しかし、女達の戦いで夜、フェニエルは楽しくも苦しい日々が続きそうであった。さて一方、ロイやクロスはどうしているのか?それは次回で語られるのかもしれない。


フェニエル 「ま、待て!!三人なんて無理だ!」


セレイラ  「あらあら、覚悟を決めてくださらないと困りますよ」


ラグ    「マスターも諦めが悪いねぇ」


アーニェ  「ん~、楽しそうですね~。剣技だけでなく、私も楽しませて貰おうかな~」


フェニエル 「ま、待て!!真面目にヤバイって!幾ら私でも……」


三人    「さ~、解剖して、絞り出しましょう!」


フェニエル 「ぎゃ~!!や、やめろ~!!」


…………( ̄▽ ̄;)

が、頑張れ……ふぇ、フェニエル……(汗)

ま、フェニエルには頑張って貰うとして(やげやり)、

次回は~?


クロス   「お茶が美味しいですね~」


ルルアト  「そうじゃな~……」


レニス   「あ、お菓子もありますよ~」


クロス   「ありがとうございます~。さ、ルルアトも」


ルルアト  「おお、こりゃいいのう」


ロイ    (こそこそ)


ゴルワス  「おや、ロイ殿どちらに?」


ロイ    (し~!!)


セフィルナ 「あ~!ロイ様!また逃げようとして!逃がしませんからね!」


ロイ    「ま、待て!今日はもう無理だ!」


セフィルナ 「何を言ってるんですか~、まだ三回じゃないですか!」


ロイ    「十分だろ?!」


セフィルナ 「いや、まだまだやって貰いますからね!」


ゴルワス  「ロイ殿頑張ってください」


ロイ    「お、おい!!放置かよ!!」


ルミル   「いや~、凄そうですね~、次回もお楽しみに~」


次回は「ほのぼのした日々」です。

お楽しみに。


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