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魔法の鍛冶屋ルミル・ミーリア  作者: 黄龍
魔獣レビヤタン編
19/23

玉は誰に?

銀の棒ルルアト。



元々は聖職者の魔力強化、及び増幅用に製作された銀の錫杖を護身向けに棒状に改変したもの。棒術は自身に対して球形に有効効果範囲があり護身術としては極めて有効である。武器自体の性能は通常の武器を多少強化した程度しかない。しかし、宿った精霊が魔属性で、しかも長年月を経て実体化、及び数々の魔法が使用できるようになったことで事態は変わった。魔属性は目には見えない特殊元素、魔が持つ属性で、主に精神に対して作用がある。つまりルルアトは精神操作が得意なのである。表面上ひねくれじじいを演じているのも本人が好きでやっている側面もあるがこの特徴ゆえといえる。また彼は封印されていない状態で約五千年生き続けた数少ない精霊であり、魔法に精通している。通常、封印されずにそこまで長年月生存できる精霊は少ない。何故なら高い能力を有するようになるため、権力者や能力者、冒険者などに狙われ争奪となり、結局紛失するということは良くあることだからである。なお、彼は見た目老人の姿をしているが、精霊は寿命での死はなく老化もないので、本人が好きで形作っているだけである。(セレイラ等若い精霊はそこまで形作る能力はない)余談だが魔法に精通しているルルアトだが魔属性の相対である聖属性の魔法は自身の力と相対するため余り使用しない。



ルルアト  「ま、儂の情報じゃな」


ミュレス  「くそじじいもツンデレと……。メモメモ((φ( ̄ー ̄ )」


ルルアト  「ちょ?!待てい!」


ミュレス  「ここに書いてある限りそ~じゃない」


クロス   「(゜-゜)(。_。)(゜-゜)(。_。)」


ルルアト  「な?!クロスまで……」


クロス   「誰しも中々、素直にはなれないものです」


ルミル   「全くですね~。クロスの意外な側面も今回の話で明らかに~」


クロス   「ちょ?!ルミルさん?聞いてませんよそんな話?!」


ルミル   「そりゃ~、話してませんし~♪」


クロス   「ちょ、ちょっと?!」


シニファ  「どういうことかは、以下の本編を見てください。(ドキドキ)」


 この世界は読者の世界の古代から中世にあった都市国家が、人間の国家組織の主流であり、しかも大半が立憲君主制だった。理由は多々あるが、元々人間は自分自身すら管理するのが大変な生き物、他人などまともに支配できるはずがない。これは読者の世界の歴史でも明らかな点である。また、この世界には人間以外の知的生命体が数多く存在し、それら知的生命体は総じて方法は様々だが、一人の代表者(首長)を任じ、その者の指導の元を歩むのが一般的で、たとえ共和制が取り入れられていても、そこは変わらなかった。また、第五次天魔大戦までは直接に、それ以後は間接的に神々や魔神達が地界に干渉し、様々な影響を与え人々に恩恵を与えてきた。故に、力に溺れた者でもない限り、人々を支配するという驕った考えをする者は少なく、また逆に、強い力を持つ者に敬意を抱くことが普通であった。

 このような点からルーケルセリュアでは、水の神アイネアが長年支配を続け、人々は恩恵を受けてきたのだった。が……。今回のレビヤタン事件により事態は急変する。

 事件から数日後、大聖堂の修理が少しずつ進むなか、クロスはルミル達と共に大聖堂内にある会議室に来ていた。


「今日は何があるのだ?クロス」


 フェニエルがセレイラとラグとに、じゃれあいながら訊いた。クロスは苦笑する。


「フェニエル達のような幸せなこととは正反対の醜い争い事ですよ」

「何年、いやいつまで経っても、人は同じことを繰り返すわよね」


 ミュレスはやれやれと表現した。クロスは頷く。


「全くですね。文献を読んで当てはめればすぐにわかるはずなのですが……。残念ながら近視眼的で利己的な人々は多くいるものです」


 そうして話していると、次々に会議室に人々が入り始めた。服装から見て、聖職者、聖騎士団員、貴族、有力商人などがいるようだった。

 人々が集まりざわめくなか、一人の聖職者が立ち上がる。


「皆さん!静粛に!静粛に願います!」


 しばらくして会議室全体は静まった。その聖職者は言葉を続ける。


「さて本来であれば、ここで議事進行を務めるべきなのは大司教なのですが、関係者の証言から今回の事件の首謀者であり、すでに死亡しているとのことです。故に立場上、私、ゼルヴェイルが議事進行を務めさせていただきます」


 聖職者として実質二番目の地位にいた司教、ゼルヴェイルが語ると、会議室内には拍手が沸き起こった。それを静めてからゼルヴェイルは言葉を続ける。


「さて住民の代表を務める皆さん方にここに集まってもらった理由は、あえて詳しく語るまでもないでしょう。先日のレビヤタン事件により、我々が敬虔な専心を抱いていたアイネア様は我々との接点を失ってしまわれました。勿論、アイネア様が亡くなられたわけではありませんが、これ以後何年、いや何十年にも渡りアイネア様はこの地での支配を行えなくなったのです。この事は私達にとってアイネア様の祝福を失うことを意味しており、同時に我々自身が誰か玉として敬える存在を決め、速やかにルーケルセリュアの混乱を最小に抑える必要があります。残念ながら、大司教及び聖騎士団長は先の事件の首謀者ですでに死亡しているため有望と思われる者を見出せずにいます。どうかこの会議で決定できればと思います」


 ゼルヴェイルが話し終えて席につく。周囲では色々と話し合われるが、中々まとまった話は出てこなかった。一人の貴族が手をあげる。


「これはアースウィル殿、ご意見お願い致します」


 ゼルヴェイルに言われ、アースウィルは立ち上がる。そして話し始めた。


「さて皆さん、アイネア様は亡くなられたわけではありません。故に私たちは玉といっても一時的なものであり、また、無理に立てるべきものではないと考えます。ですので私としては各代表を、それぞれの立場から選出させ、合議制を行うことでアイネア様が再び私達の前に来られるまでの備えとするのはいかがでしょうか?」


 アースウィルは席につく。周囲ではすぐさま話し合いが始まった。


「アースウィル殿が言われることももっともだな」

「しかし、合議で行うと水面下での駆け引きが多くなりますぞ?」

「過去にはラグラス国のような悪い例もありますしな」

「しかし、玉を担ぐにも誰を推せば良いのやら」


 人々は意見を交わすが、良い案は中々浮かばない。ロイは苦笑した。


「所詮、人はこの程度ということか。幾らアイネアが神として我々より優れていたとしても、居ない今、誰かを立てて進んでいかねば、この都市も下手をすれば崩壊しかねないことがわからないと見える」

「小さな組織であれば合議制でもある程度上手くいくでしょう。しかし今までアイネア様の指導に慣れていた者が、しかも十万を擁するこの都市を代表者無しで維持管理など、頭の無い人間のようなものです」


 クロスが冷静に語る。ミュレスは頷いた。


「そうね。基本的に民衆は変化を嫌うからね。しかし玉を担ぐっていってもねぇ……。うちの大将は始めっからやる気無さそうだしね〜」


 ミュレスはルミルを見た。ルミルは微笑む。


「ん〜。ま〜、あたしがする方法もありますが〜。一般の人は不平がないでしょうが〜。ここに居る大半の人は、あたしが何者か知らないわけですし〜」

「得体の知れない者が何を言う、となるわけだな」


 ロイが結論し、ルミルはそれに頷いた。そこに一人の聖職者が手をあげる。


「おお!セラス殿、ご意見お願いします」


 ゼルヴェイルは手をあげた聖職者の名を呼んだ。セラスは立ち上がる。


「皆さん、聞いてください。玉は誰か、これは今は申しません。そうではなく、まず玉を担ぐ必要性を説きたいと思います。今まで我々は多種多様な意見、考え方、立場を持つ者でありながら、このルーケルセリュアで大きな問題なく生活できました。これは我々が寛容で互いの事を尊重しあってきたからでしょうか?いいえ、そうではありません。アイネア様の強力なご指導の元、我々が正されて生活を楽しむことが出来たのです。ですから、アイネア様がお戻りになるまでを務めてくださる玉を探すことこそ、最善と考えます」


 セラスは意見を終え座る。会議室は大きくざわめいた。


「確かにセラス殿の話はもっともだが……」

「問題は担ぐべき玉か……。誰を推しても問題が起きそうだ」

「う〜ん。どうすればよいのだ……」

「これではいつまでも終わらぬな」


 人々は話し合うが意見はまとまらない。そんな折、シニファがポツリと言った。


「う〜ん……。玉に人間を担がなければ上手くいくのではないでしょうか?」

「……そ、それです!シニファさん、その考えですよ!」

「え?!あの……一体?!」


 クロスはやや興奮した。それを見てシニファは驚く。


「無理に能力の無い人間を玉に担ぐこと、それ自体に無理があったのです!ミュレスさんやルミルさんのような能力を持つ人間ではない者を玉に立てれば良かったのです!」

「ん〜。クロス、言いたいことはわかるけれど……。あたしもルミルも恐らくやらないわよ?面倒だし」


 ミュレスの言い分にクロスは苦笑した。


「いえ、別にミュレスさんの名前は例で挙げただけです。今、私達はルミルさんの「お節介」の中にいますし、そちらが優先ですからね。で、ここは提案なのですが、ルミルさん、宜しいでしょうか?」

「はい〜?何でしょうか〜?」

「敢えてお願いします。貴女の「お節介」の一端として、このルーケルセリュアを統治する「存在」を一人あてがって貰えませんか?勿論ミュレスさんやルミルさんでも良いかもしれませんが、人を超える存在でないと、恐らくこの問題は解決しないと思います」


 クロスは真剣にルミルを見た。暫くルミルは微笑んでクロスを見ていたが、ため息を一つ吐く。


「流石はクロスですね〜。あたしやミュレスにしろと言えば、断っていたでしょうが、そう言われてはやらざるを得ませんね〜」

「で、では?!」

「但し〜、条件があります〜」

「条件ですか?私で出来ることであるなら、何でもしますが……」


 クロスの言葉にルミルはにんまりと笑みを見せた。


「では男に二言無し、と言うことで〜。まず〜クロスは司教を辞めてあたしの店の裏の建物にロイと一緒に来て貰います〜。今まで二人は別に住んでいましたからね〜」

「え?!そ、それは……」

「ああ、魔法研究に関しては〜。新しい建物の方に関連物の移動をして貰ってそこで続けて貰いますからね〜」

「あ……。そ、そうですか。それは良かった……」

「それと〜、クロスの研究、生活全般、更には戦闘補助をも行う付き人をつけます〜。でないと大変でしょうし〜」

「ええ?!い、いや、そ、そこまでしなくても……」

「クロスの意見は無視します〜♪きちんと相手をしてくださいね〜夜まで♪」

「ちょ?!夜って……。ルミルさん?!」

「クロスの意見は無視します〜♪さて、では連れてきましょうかね〜」


 ルミルはそう言って会議室から出ていく。クロスは項垂れた。ミュレスはやれやれと表現する。


「あんたね〜……。何でもするなんて言ったらルミルの事だから自分が「楽しむ」事を織り込むことはわかるでしょうに……」

「あ〜……。そういえばそうでしたね……。でもやはり、ルミルさんに頼むか他の強力な存在に頼むしか方法はないわけですし、これで良いのです……多分」


 クロスは自分に言い聞かせるように言った。他の者は苦笑してクロスを見ていた。






 少ししてルミルは会議室に戻ってきた。一緒に二人の女性が入ってくる。美しい白髪の、しかし年若く見える女性で、二人とも白い布を巻き付けて衣服としていた。


「お待たせですよ〜。連れてきました〜」


 明るく言い、ルミルは席につく。ミュレスは二人の女性を見て驚く。


「げ?!レニスにフィルナじゃない!ルミル……あんたなんてものを連れてくるのよ〜」

「え〜?!取り敢えず急いでとなると彼女達くらいしか……。トラスラグナにしましょうか〜?」

「い、いや!あいつらよりはいいわ、うん」


 ルミルの言葉にミュレスは嫌そうに頷いた。クロスは疑問に思ってミュレスに訪ねる。


「えっと……すみません、ミュレスさん。彼女達やトラスラグナという存在が私には良くわからないのですが……」

「あ〜……。そういえば以前あいつらが居たとき、クロスは居なかったわね……。一言で言うと彼女達やトラスラグナはルミル直属の天使よ」

「天使?!過去、天魔大戦の折には地界にも来て戦ったという?」

「ん〜。まああの天使はアイネアとか天界の奴等のだから格が低いのよね。彼女達はルミルの直属なので一人一人の強さが天界の神並みにはあるわよ?」

「え……?!」

「多分これからそれがわかるわよ。ルミル、どっちをどう使うの?」


 ミュレスはルミルに問う。ルミルは微笑んだ。


「そうですね〜。レニスは万能ですからクロスの世話役にしたいですね〜。玉の役はフィルナにお願いしましょうか〜」

「真言のフィルナか……。ま、ここに居る能無しどもを納得させるには適役かもね」

「でしょ〜♪レニス、フィルナ、お願いしますね〜」

「畏まりました。クロス様、これから宜しくお願い致します」


 金の瞳を持つ女性はクロスに恭しく頭を下げた。クロスは慌てる。


「あ……?!ルミルさん!私に彼女のような人……って人じゃないですけれど来て貰っていいのですか?!」

「クロス〜、二言はないのでしょ〜?」

「ぐ……。わ、わかりました……。クロスグレヴドです。宜しくお願いします。後、私の事はクロスと呼んでくださいね」

「畏まりました、クロス。魔法研究に関する補助、戦闘に関する補助、及び生活全般、筆の上げ下ろしまで務めさせていただきます」


 レニスが恭しくクロスに再び頭を下げる。クロスは顔を赤くした。


「ちょ?!い、いや、そ、そこまでしなくても……」

「私では不服でしょうか?クロス」

「いや、そうではなく……」

「では、今夜からでも早速お願い致します」

「あ〜?!ルルアト!貴方も何とか言ってくださいよ!」

「儂に振るな。何でもするのじゃろうが」

「いやしかし、私が何でもと言ったのはこういうことではなく……」


 クロスが慌てる様子をルミルは楽しげに見ていた。シニファは疑問に思い言う。


「アムシェ、クロスさんは何故あんなに慌てていらっしゃるのでしょうか?」

「さあ?私にもわかりかねますが……」


 二人はわからず悩む。ロイは苦笑した。


「クロスはレニスが筆の上げ下ろしまでする、と言ったことに焦っているのさ」

「え?!ど、どうして筆で?私には良くわかりません」

「私にもさっぱりです。ロイ、わかるように説明をお願いします」

「ああ……。これは隠語の類いでね……」

「いんご……?」

「隠語……。仲間内の言葉、という意味ですね。つまり本来とは異なる意味があると?」

「ま、率直に言おうか。筆とは男の陰茎を指しているんだ。形が似ているだろ?」

「えっと……いんけいって?!」

「男性の生殖器の筒の形をした部分の事です。ああ、確かに似ていますね」

「だから、筆の上げ下げをするというのは、夜のお勤め、つまり性交をするということになる。レニスが素直に言うから、クロスが焦っているのさ」


 ロイの説明に、シニファとアムシェは顔を赤くする。


「な、なるほど……」

「マスターも意地悪ですね……」


 まだ暫くクロスとレニスの問答は続きそうだった。仲間はそれをある者は顔を赤らめて、ある者は微笑ましく見ていた。






 暫くして、レニスの件が一段落する。


「さて〜、クロス。皆にフィルナを紹介してあげてください〜。後はフィルナが上手く事を運びますので〜」


 ルミルはクロスに言う。クロスは苦笑した。


「あぁ……。すみません、自分の事ばかりを考えていました。こちらの方も大事ですね。わかりました」


 話がまとまらず紛糾するなか、クロスが挙手する。


「おお!クロスグレヴド殿、何か妙案でも?」


 ゼルヴェイルは助かったとばかりにクロスを指名した。クロスは立ち上がる。


「皆さん、お静かに!」


 クロスはそう強く言い、暫し待つ。会議室が静けさを取り戻すとクロスは話し始めた。


「皆さん。我々はアイネア様を玉と仰いできました。それはどうしてでしょうか?利益があるから?確かにそれもあるでしょう。しかし肝心な点は一つです。それは人間よりも遥かに優れた方で崇敬の念を受けるに相応しい方だったからではありませんか?」


 クロスはここまで話し、一旦話を切って周囲を見渡す。ルミル達が拍手をし、それに釣られるように会議場内の人々が拍手をした。静まってからクロスは再び話し出す。


「故にこう結論できます。玉に掲げるべき方は人間ではなく、人を超えた方であるべきであると!そしていみじくも私はそのような方を皆さんに紹介できることを幸せに思います!」


 クロスはそう言い、フィルナに立ち上がるように促す。フィルナはゆっくりと立ち上がった。クロスは話を続ける。


「この方の名はフィルナ様と仰られます。ある方にお仕えする方で、その力はアイネア様にもひけはとらないのです。フィルナ様、僭越ではございますが、皆に力のほどをお示しくださいませ」


 クロスはそう言いフィルナに一礼して座る。フィルナは頷いた。


『跪くが良い!愚民ども!』


 フィルナの声で会議室に居たルミル一行以外は、急いで椅子から降り、床に跪く。


「うわぁ……。流石、真言のフィルナ、えげつないわね……」


ミュレスは呆れていた。フィルナが言葉を続ける。


「これより、この私フィルナが貴様等を治める。私はアイネア程は甘くはない。しかし、私の声に聞き従い、相応しく行動する者には豊かな祝福を授けよう。私に従いたい者はこれよりついてくるが良い。しかし無理強いはせぬ。嫌な者は早々に立ち去れ!」


 フィルナの声に跪いた全員は黙っていた。暫く沈黙が続く。しかし、立ち去る者は居なかった。


「何と素晴らしい!アイネア様は優しく包み込んで力を示された。しかしフィルナ様は我々を力強く導こうとしておられる!皆さん喜んでついていこうではありませんか!」


 ゼルヴェイルが高らかに宣言する。拍手や歓声が起こり一気に会議室内は騒然となった。


「こんなものでしょうか?ルミル様」


 フィルナが先の宣言とは異なる口調で話す。ルミルは微笑んだ。


「十分ですね〜。暫く面倒をかけますが〜、「愚民ども」の世話をお願いしますね〜」

「あ……あれは……。はい、畏まりました。ご命令、適切に果たします」


 フィルナは顔を赤くするが、恭しくルミルに一礼した。その後、ゼルヴェイル等に担がれて人々の中に入っていった。


「これで少しは気が引き締まるといいわね」


 ミュレスが様子を見ながら言う。ルミルは苦笑した。


「そ〜ですね〜。しかしそれでも「フィルナが居る間」でしょうね〜。残念ですが〜歴史は繰り返すものです〜」

「そうですね。こればかりは人間の弱さというしかないのかもしれません。弱い者としてもっと自覚できれば良いのですが」


 クロスも様子を見ながらそう言った。レニスがクロスの傍に立つ。


「ではクロスも観念して私の相手をしてくださいますね?」

「ちょ?!ちょっと待ってください!その……研究とか生活に関してはありがたいのですが……。その……夜のまでは……」

「やはり私のような女では不服ですか……」

「いやいや、そうではなくて……。私自身研究好きが高じて、そういう世事には疎いもので……」

「ならば今夜から早速私と一緒に学びましょう。命令があったとはいえ、私も知識のみで経験があるわけではありませんし」

「ええ?!なら尚更いけないのでは……」

「どうしてですか?」

「いや、どうしてって……。いきなり初めて出会う男とですよ?しかも私のような。その……不似合いだと思いませんか?」

「私はそうは思いませんが。クロスは私の事も懸命に考えようとしています。私もクロスの事を考えたい。命令もありますが、私も貴方を見て、感じて、そう思うのです。それでもダメでしょうか?」


 レニスは真剣に、また真面目に語る。クロスはため息を一つ吐いた。


「わかりました。私の事をそこまで買っていただけるのであれば、高く売らせていただきます。しかし……後戻りは出来ませんよ?」

「元より前進あるのみです。元々はルミル様のご命令ですから」

「そうでしたね……。私の迂闊な一言から始まったのでした。では、毒食らわば皿までも……。ちょっと適用がおかしいですが不肖クロスグレヴド、お相手させていただきます」


 クロスはそう言いレニスに手を差し伸べた。レニスはクロスの手を取る。皆はその姿を微笑ましく見ていた。






 ルミルの「お節介」もあり、担ぐ玉が決まったルーケルセリュア。問題はあるであろうが前進が始まった。クロスとレニスの仲は?夜は一体どんな風に?残念ながら詳細は語られない。人の営みは続き、問題はまた起こる。次は一体何が起こるのか?

クロス   「えっと……。どうするんでしたっけ?」


レニス   「そうですね、この医学書によれば、私のここに……」


クロス   「あ……。(///∇///)」


レニス   「あ、えっと……。(///∇///)」


クロス   「す、すみません。えっと本によると……、私のを……」


(隣からコッソリ聞き耳をたてているルミル達)


ルミル   「初々しいですね~」


ミュレス  「……何か、聞いてるこっちが恥ずかしくなるわ……」


シニファ  「アムシェ、私たちも戻ってしましょう」


アムシェ  「え?!シニファ?!」


ゴルワス  「困ったものですね」


ロイ    「そう言いつつも、お前もここに居るじゃないか」


ゴルワス  「いや、そりゃ、私たちもこの建物に移動になりましたし……」


セフィルナ 「そ~いうことにしておきましょ♪ロイ様~あたし達もしましょ~♪」


ロイ    「やれやれ……」


(再びクロスの部屋から)


クロス   「あ、すみません……。えっと、ここかな?」


レニス   「何か違うような……?」


クロス   「え?!ちょっと本を見ます……、あ、本当だ、すみません……」


レニス   「焦らず行きましょう、私達初めてですし……」


クロス   「そ、そうですね……」


レニス   「さあ、来てください!」


クロス   「はい!」


ん~。なんだか、初々しいですな~。

あ、詳細は描けません。描くと18禁になりますので(笑)

あとは妄想で補完してください( ̄ー ̄)

さて、次回は~?


シニファ  「さて、助さん格さん、フィヴァ迄参りましょうか」


ミュレス  「はい、黄門様……って!何であたしが助さん?!」


アムシェ  「えっと……この紋所が目に入らぬか!……で、いいのですか?」


ミュレス  「いや、いいけれど……。アムシェは冗談がわからないわよね……」


アムシェ  「はい?」


シニファ  「楽しい旅になりそうです!あ、次回は「港町フィヴァへ!シニファ達が行く」をお送りする予定なのです!さあ、行きますよ助さん格さん!」


ミュレス  「あ、は~い、黄門様……って、だから何であたしが助さんなのよ!!」


アムシェ  「えっと……それから……畏れ多くもこの方は先の副将軍……」


お楽しみに~♪

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