プロローグ
初めまして。
少しでもこの作品に触れてくれる人がいますように
朝起きて学校に行き、終わったら帰宅して寝る。
もちろんこの間に食事をしたり、趣味の読書をしているが1日の流れとして大雑把に示すとこうなる。
端から見ると非常に退屈そうだが学生なんてものはこの流れに沿って生きている者がほとんどだろう。
今年から高校生となり今もあくびをしながら数学の授業を受けている僕、真木楓照もその1人だ。
正直このまま退屈な高校生活を送ってもいいかなと思い始めている程度には怠惰な人間であり少し捻くれていることも自覚している。
部活をしているわけでもなく友人も一握り。
別にこれ以上友人を増やそうとも思わないしそんなことに精を出すくらいなら新書を5ページでも読み進める方が余程有意義だ。
そんな変わり者の僕にも最近少し気になる人がいる。
気になる、と言っても高校生の青春のような甘酸っぱい意味ではなく、単純に人として彼女のもつ特異さに興味があったのだ。
それが今もこの退屈な授業の中、僕の隣の席で真面目にノートをとっている淡島初音さんだ。
黒髪を肩くらいまで伸ばし、顔はかなり整っていると言っていい。
スタイルも標準より少し細身でかなりいい部類に入るだろう。
だが彼女は入学して2ヶ月が経った今も誰かと話しているところを見たことがない。
なんなら声を聞いたことがある者すらこの学校中にいないだろう。
ちょうど先生に問題を答えるよう当てられてしまった彼女だがその口が開くことはない。
そして一枚のルーズリーフにいそいそと解答を書き起立して掲げる。
「第3象限ですね、正解です。着席して大丈夫ですよ。」
先生に言われて少しホッとしたような表情を見せながら着席する。
普通とは言えないこの日常に対して流石にもう2ヶ月も経ち慣れたのか異を唱えるクラスメイトはもういない。
彼女は声が出せないのだ。




