表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/12

シーケンスの洗礼

翌日の朝。俺達は廊下に張り出された紙を見ていた。それは昨日の新入生のクラス決めの結果だ。S〜Eまでのクラスの教室の場所と、そのクラスに該当する生徒の名前が書いてある。紙によると、かんづめがAランクで、俺と柳がBランクらしい。華々しく飾られたSランクの枠には、誰の名前も書いていなかった。新入生でSランクに該当する生徒は居なかったのだろう。

「げ、2人とクラス分かれちゃったよ」

「まぁ問題ないだろ。放課後は自由に行動できそうだしな」

「そういうことじゃ無いんだけど……ところで、今日は何するの?」

「名簿確認しながら現状整理。時間が余ったら調査でもしようか。放課後に昨日の教室に集まろう」

「了解!」

軽く今後の予定を立てて、俺達はそれぞれの教室に向かった。

自分の教室に着き、扉を開けたとき、衝撃の光景が目に飛び込んできた。教室の中心で在校生の男子生徒5人が新入生を取り囲み、暴行を加えている。新入生は棘つきの鎖で宙吊りにされていた。鎖は血で染まっている。鎖は、5人のうち1人の掌から伸びていた。

恐らく、シーケンス学校の洗礼を受けているといったところだろう。他の生徒もいたが、誰も助けようとはしない。これが日常とでも言うように普通に談笑している。


5人がかりで1人か。結局、こういう奴らは群れないと何もできない。集団のがんだ。


俺はバッグのなかに手を入れ、鋼鉄と鉛に触れる。そのまま能力を発動。バッグの中で金属が組み合わさる音が鳴り、拳銃が出来上がっていく。

5人組のリーダーと思われる男に拳銃を向け、銃弾を放つ。銃弾が肩にめり込み、男が肩を押さえる。

他の4人が俺を睨み、臨戦態勢になる。

「5人に喧嘩売るなんて、命知らずな新人だな」

「俺はあいつらのおもちゃが増えるに1000円」

周りは勝てるわけがないと、鼻で笑っていた。

鎖の男が、空いている手をこちらに向ける。同時に、3人が椅子を蹴飛ばしながら突っ込んできた。

素早く鎖の男の掌を打ち抜く。

鎖がボロボロと崩れ去り、新入生が床に叩きつけられる。

そのとき、3人はすでに眼前まで迫っていた。

身体をひねって3人を躱す。そしてすぐさまリーダーに駆け寄り、そいつの頭に拳銃を突きつける。

「近づくな!こいつがどうなってもいいのか?」

3人が固まる。周りがお〜。と関心の声を漏らした。

「そうだ。手を頭の後ろに回せ」

3人が言う通りにする。だが直後、俺の身体が重くなった。

━━1人が能力を使ったのか!

俺は地面に跪かされた。

もう1人が能力を使い床を隆起させる。

俺は震える手でデバフ男に照準を合わせ、引き金を引く。弾は足を貫いた。少し身体が軽くなる。

隆起する床を転がって避ける。後ろの椅子が飛び上がる。

俺は体勢を立て直そうとした。しかし最後の男が腕を剣に変え、斬りつけてくる。咄嗟に銃で防ぐが、グリップが壊された。

剣の男を蹴り飛ばす。

そいつの体を地面の男にぶつける。


武器を壊された。代用できるものは……


先程飛ばされた椅子が目に入る。俺は椅子に触れ、能力を発動する。直後に剣の男が起き上がった。

時間がない。大きく変形させる余裕はない。

俺は椅子の足を尖らせる。

男の方を見ると、居合の構えして、こちらを睨んでいた。

まずい!!

咄嗟に回避行動を取る。

その刹那、男が消えた。

反応する間もなく、男の剣が脇腹を深く斬り裂く。


あの野郎……こんな切り札を隠していたのか……


油汗が吹き出す。足元には、血溜まりができていた。

男が構えをとる。次の一撃で決着がつくことは、この場にいる全員が分かっていた。

俺は数歩後ずさり、目を閉じる。

数秒後、血溜まりを蹴る音が聞こえた。

即座に音の方向に椅子を突き出した。

━━ドスッ…

鈍い音と共に、拍手が巻き起こる。

目を開けると、案の定、男が串刺しになっていた。

勝利を実感した瞬間、急にめまいがして、その場に座り込んだ。

「決着、ついたみたいだな」

後ろから声がした。

振り向くと、氷室が立っていた。 

氷室は在校生のリーダーに近づき、こう言い放った。

「お前たちがこんな勝手できたのは、それなりの実力があったからだ。1人の生徒に負けた時点で、お前らはここで終わりだ。さっさと失せな」

氷室はそのまま、5人を教室の外へ引きずり出した。

そこで、俺の意識は途切れた。


気がつくと、俺は白いベッドに横たわっていた。どうやら、ここは学校の医療棟らしい。壁に掛けてある時計は、3時を示している。俺は放課後まで眠っていたようだ。

「あっ!起きたんだ!もう痛みはない?」

かんづめの陽気な声が聞こえる。

「あぁ。もう何ともない。すごいな。普通だったら治るのに1ヶ月はかかりそうだが……」 

「医療棟の先生が、もう動いていいって言ってたよ!ここの医療はめっちゃ進んでるね!」

「そんなあっさり片付けて良いのか……?」

「治ったんだし、それはあとで考えれば良いでしょ」

「そうだな。それじゃあ、昨日の教室に行こうか」

「オッケー!」

俺達は医療棟を後にした。

「そう言えば、Aクラスの生徒ってどれぐらいいるんだ?」

「えっと……俺入れて9人ぐらいかな。でもみんな話しかけても反応薄いし、ずっと空気ピリついてるんだよね」

「優等生クラスだから仕方ない。馴れ合う気はないってことだろうな」

「そっちは何人くらいいたの?」

「15人だな。いや、5人いなくなったから10人だ」

「え!?なんかあったの?」

「まぁ少しいざこざがな……」

「あ〜だからそんな怪我してたんだね」

そんな話をしていると、昨日の教室の前に着いた。

扉を開けると、そこには趣味全開の部屋があり、そこら中にフィギュアやら、ゲーミングPCやらがところ狭しとならんでいる。かんづめはその部屋を見るなり、漫画棚の方へ走っていった。

部屋を間違ったのか?いや、部屋の隅で海斗がゲームをしている。彼がここを改造したのか。何のために?俺は海斗に近づき、ヘッドホンをひったくる。

「なんだこの部屋は?ここで作戦会議をするんじゃなかったのか?」

俺は海斗に詰め寄った。

海斗は気だるげに答える。しかし、相変わらず声は無機質だ。

「これはカモフラージュです。特定の4人が理由もなくここに出入りしていたら、怪しまれて学校にマークされるでしょう?だから、私達はここを趣味部屋として利用している。という理由をつけておくのです。ていうか、驚いたとしてもゲームが終わるまで待っててくださいよ」

「……それは悪かった。ところで、名簿で気になる点があった。それを共有したい」

「何ですか?」

俺は名簿を取り出し、最初のページを開く。

「この最初の犠牲者、柳桔梗という生徒とよく似ている。何かしら関係があるんじゃないか?もしかしたら同一人物とか……」 

「それはないと思います。理由は、実力差がありすぎるからです。この生徒は1番最初の犠牲者で、ランクはEです。対して、柳桔梗さんのランクはB。たった1年半ほどでここまで成長するとは思えません。他に何かありますか?」

「あぁ。それだけだ」

「私達も話したいことがあるのですが、瞬が来ないことには進まないので、どうぞくつろいでください」

「分かった」

海斗の憶測を頭で繰り返す。確かに、姉妹と考えれば辻褄が合う。しかし、俺にはどうも引っかかることがあった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ