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作戦会議

暫く雑談をしていると、廊下からバタバタと足音が聞こえてきた。それは俺達がいる教室で止まり、勢いよく教室の扉が開く。そこには、朱色の短髪の女子生徒が立っていた。彼女は制服の上にダボダボのジャージを着ていて、口に棒付きの飴を含んでいる。彼女もまた、Sの形をしたバッチをつけていた。おそらく相方というのは彼女のことだろう。

俺が挨拶をする前に、女子生徒が口を開く。

「やぁやぁ皆さん!お揃いのようで。私は瞬という者。以後お見知りおきを〜!」

正面の席からため息が聞こえた。

「遅いですよ。予定は事前に確認しておいた筈でしょう。それに、何ですかその挨拶は」

「だって海斗が能力使うなって言うから……挨拶は昨日から考えてたの!カッコいいでしょ!」

「能力が使わなくても遅刻しないように動きなさいと何度も言ってるでしょう。とにかく。全員揃ったので、本題に移りましょう」

「まずは学生証を見せてください」

俺達は海斗に学生証を渡す。

海斗はそれを受け取り、学生証をなぞりはじめた。海斗の細い指が学生証の凹凸に合わさり、何かを読み取るようにゆっくりと右にスライドしていく。

何回か学生証をなぞったあと、海斗の口から衝撃の言葉が発せられた。

「なるほど。あなた達が、クラフトラインのエージェントで間違い無いですね。それに、あなたはあの有名な死神さんじゃないですか。巻き込まれないように気をつけたいものです」

「なぜそれを!?」

「なんで知ってるの!?」

俺達は反射的に距離を取って、目を見合わせる。

情報が抜き取られている!?学生証に細工がしてあったのか!まずい。相手は俺の存在を知っている。Sランクともなるとその実力は未知数。かんづめと2人で太刀打ち出来るか微妙だ。こうなったら、一度手榴弾で煙幕を作る。この距離なら窓から逃げれる。

能力を発動しようとする俺を、海斗が制止する。

「落ち着いてください、そちらの情報は、学生証を通じて取得できるようになっているのですよ。なぜなら、私たちがあなた達を雇ったのですからね」

確かに、この学生証はクラフトラインが用意した物。何かしら細工されていてもおかしくない。そう言えば学生証は謎にゴツゴツしていた気がする。これなら筋は通っているが、本当に信用してもいいのか?

「雇い主なら、何か身分を証明できるものを見せてよ」

そう言って、かんづめが2人を睨む。

「分かりました。ではこれを」

2人は名刺を取り出し、俺達に差し出した。

俺達はそれを受け取り、まじまじと見つめた。

名刺は左下にホログラムが入っていて、右半分に顔写真と名前が載っている。何より目を引くのは、上部にあるDTA潜入部門の文字。潜入部門といえば、DTAのエリートが集まる部門。こいつら……相当だな。

偽造の線も疑ったが、ホログラムを見る限り、本物で間違いないだろう。

「疑って悪かった」

俺は椅子に座り直す。

かんづめは暫く固まっていたが、視線を逸らし、ゆっくりと椅子に座り直した。


「この学校で、生徒の失踪事件が発生して、大規模な調査が行われたにも関わらずこの学校に異常はないと判断されたことはご存知でしょう。そこで上層部は、内部から調査を進めるために、私達を派遣しました。ですが、現状、調査が難航しているため、増援として、あなた達を雇うことになりました」

海斗は淡々と述べる。しかし彼の目には悔しさが滲んでいた。今回の任務はDTAのエリートが行き詰まるレベルか……

はたから見れば、今の俺は苦虫を噛み潰したような顔になっているだろう。

「現状、私達が持っている情報は2つです。失踪が一ヶ月ごとに起こっていること。失踪した生徒は、Bランク以下の生徒がほとんどで、全員が寮に入っているそうです」

「場所は絞り込めてないのか?」

「特定しようとしたけど、範囲が広すぎて無理。時間も特定するのは難しいし、どうしよーってかんじ」

瞬が椅子にもたれかかる。

「これが、失踪した生徒の情報が記載されている名簿です」

海斗が俺に名簿を渡す。

「ありがとう。あとで確認する」

俺は名簿をかばんにしまった。

「要件は以上です。何か情報を掴んだ場合は、情報共有をお願いします。作戦会議などは、ここの教室で行います。監視カメラ等は取り払ったので、計画が外に漏れる心配はありません。期待はしていないので、どうぞ好きにしてください」

海斗がそそくさと席を立ち、教室を去っていった。

「あっ!ちょっと待ってよ!」

瞬は走って海斗のあとを追っていった。

俺はカバンから名簿を取り出し、生徒の情報を確認した。そこに柳によく似た女子生徒がいたのを、俺は見逃さなかった。

次々に浮かぶ疑問をかき消すように、昼休みの終了を告げるチャイムがなった。

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