聖女の歌声
残念神ことラプラスとのやり取りを思い出しながら、森の中を歩いていると、思わず文句が湧き出てくる
穴からの落とし方も優しくはなく、ドスンと落ちたから、お尻が痛いのだ
「絶対わざとね、もう少し優しく到着させることもできたはずだわ、めんどくさがったに違いない」と
天音と、まだ名前を決めていない子犬に語り掛ける、そうだ、今思いついた咲にしょう
お日様のような、温かい太陽の香りがする犬神にぴったりな名前だ。春に咲きほこる花のように
う~ん我ながら、いい名前を付けたと思うと満足げに心の中で思うと
「ぷるぴゃあ」と早く開けろと、リュックの中から鳴く
周りに危険なものがいないのを、一応確認してから開けると、勢いよく出てくる天音と犬神を抱き上げると
「あなたは咲という名前はどう?」というとなぜか天音の方が興奮して喜んでいるようだった
その隣で、ゆっくりとあくびをしながらワンと言い尾っぽをフリフリと揺らす
どうやら喜んでくれたみたいだ、尾っぽ降ってるし喜んでくれてるわよね
ラプラスの小屋から、離れたから自動的に考えていることが垂れ流しになっているのではなさそうだ
一人と二神で歩いていると、血なまぐさい砂鉄の香りがしてきた
「グルルルル」という声に、馴染みがある鳴き方をしていることに緊張が走る
「こんなところにまで、まだ町からそんなに離れてないぞ……どうしますか聖女様」と言う声とともに
それは綺麗な、女性が現れる。そして、おもむろに口を開くと
「分かりました、私が何とかしてみます」と控えめな口調の大人の女性だということが分かる
大人の気品があるその女性は、日本人らしいつややかな黒髪と、綺麗な赤い形のいい口びる
柔らかそうな胸
(私とは、何もかもが違うなと思っていると、そもそも万年寝不足じゃ、あぁはなれないよな……)
「はじめて、聖女様の歌が聞けるぞ」
「かの有名な歌だそうな、それは美しくて、眠ってしまいそうになる歌声だそうな」と口々に言うので私も、気になり隠れて、見ていると
ついに、形のいい口びるの聖女の口が開くと思ったときには
「らぁ~~んヴぉえ~」と出た声は聞くに堪えない歌声だった。それは、まるで……まさかと思うが
きいたこともないほどの音痴だったのだ
周りを見るとあまりの音痴さにみな気絶をし、先ほどまで泣いていた魔物も、同じく可愛くコロンと転がっている
そうすると、魔物はどこからか転移魔法が発動し、消えていた
「ふぅ。だから歌は苦手だって言ってるのに、聖女なら歌がうまいだろうってイメージはきついです」と独り言を言っていた
(まさか、ここまで音痴だとは、なぜか気絶しないことに驚きながらも、天音と咲をみると頭がぐらぐらとしているのが分かるのでリュックに入れる)
そんなことより町に近いってどんだけ遠くに、落としたのよっと愚痴ると
「ごめんごめん、間違えた。さすがに、遠すぎたわ」と頭の中で声がする
てへへという顔が思い浮かぶ ラプラスの声だけははっきりと聞こえる
(ラプラスめ!)




