07 兄上の恋愛相談7
「それで兄上、デートプランはどうなったのですか?」
私の問いかけに兄上は少し気まずそうな顔をした。
「もしかして、決まってないのですか?」
「いや、出来ればアーシアが行きたいところに行けたらなって思って………」
「私も、ライアン様が行きたいところなら……」
どうやらふたりは相手を思いやるばかりに互いに譲り合っている。
(本当に大丈夫なんでしょうか?このふたりは…)
内心そう思いつつも私からひとつ提案をした。
「それならこの国の街を兄上が案内するのはどうでしょうか。アーシアさんは結婚した後、こちらに引っ越してきて日が浅い訳ですから良さを知ってもらうという意味でも良いのでは無いでしょうか?」
ふたりは私の言葉に賛同し、デートは街を兄上が案内する形となった。
(まぁ、私がアーシアさんの頭の上に乗っている訳ですから実際デートと言えるかは定かではないのですが……)
そんなことを思いつつも私は今更だと感じ考えるのをやめた。
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城から出て街に下りるとアーシアさんは再び感動の表情を顔に出した。もちろん、建物などに驚いたのもあるだろうが、それ以上に街の人たちの優しさや幸せそうな姿を見て感動しているようだった。
そんなアーシアさんを見て兄上はいつも以上に優しい顔をしていた。
「どうですか、この街は?」
兄上はアーシアさんを案内するさなかそんなことを聞いていた。
「とてもいい街です。それに普段の皆さんは私が目が見えないから優しくしてくれているものだと思っていました。しかし、私が一時的に目が見えていることを知っても普段と変わらず接してくれて…本当にこの街の人達は暖かで溢れているのですね。」
この街は政治的にはもちろんのこと治安も周りの国と比べて治安もよく、街の人達は心優しい人ばかりなのだ。もちろん、そうでは無い人もいるが……
そんなこの街のことを私は大好きなのだ。そのためアーシアさんの言葉に私はとても嬉しくなった。
そして、兄上もアーシアさんの言葉に喜んでいる様子を見せて
「アーシアが喜んでくれたならそれは良かったです。私はこの街の幸せを守り、そして全ての人に手を伸ばせるような政治がしたいのです。」
と、少し遠くを見つめるように言った。
その兄上を微笑ましそうに、そして少し照れながらアーシアが見つめていることを見かけて
(いい雰囲気なのは嬉しいですが私……少し邪魔ですね。)
そんなふうに思った。
その後も、色んなところを回っていったのだが、その中で兄上はなにか悩んでいる表情を見せていた。
多方プレゼントでも悩んでいるのだろうと思った私は
「兄上、どうせならこの街の名物をアーシアさんに見せてあげるのはどうでしょうか?」
そう兄上に助言した。
「そうだね、そうするよ……少しの間ふたりで街を見ててください。私はちょっとだけ行く場所ができたので。」
兄上はそう言って少しの間、席を外した。