05 兄上の恋愛相談5
獣化の黒魔術、これは想像した生き物に変化できるという優れものだ。昔この黒魔術で遊んでいる時に龍に化けてかなり問題になったことがある。
(まぁ、この時の話は今関係ないんですけど…)
つまり龍に化けれるように想像さえ出来れば大きななどは自由というわけだ。そして私が変身したのは……
"ハムスター"
「あの……リズさんの気配が消えたのですけど…」
戸惑っているアーシアさんに獣化の黒魔術について説明した。
「私は今ハムスターに黒魔術で変身しました。そして、この姿だと…アーシアさん少し体のぼりますね。」
そう言って私はアーシアさんの体をてくてくと…いやとことこと登った。
「うぅ…」
アーシアさんは少しこそばしそうにしていたが無事頭の上まで登ることに成功した。
「なんか変な感じです。この頭に乗っている動物がリズさんなのですか?」
「えぇ、そうです。この姿で頭に張り付いて目の感覚を共有すれば違和感が少なく目が見えるように出来ます。覚悟は出来ましたか?アーシアさん。」
私がそう問うと、少し緊張した様子で体を少しふるわせたあと…
「大丈夫です。覚悟は出来ています。」
と答えた。その答えを聞き、
「では…行きますよ……」
そして黒魔術を発動しようとした。すると、アーシアさんが
「あ、あの…凄くわがままではあるんですが…出来ればライアン様を初めに目にしたいというか…」
と、恥ずかしそうにそう私に言ってきた。
(前から思っていましたがアーシアさんて怖いくらい兄上の事好きすぎるというか……まぁいいことではあるんですけど。なんというか少し天然な乙女なのだ。)
「えぇ、全然いいですよ。兄上の部屋に一旦伺いましょうか、黒魔術はそれからです。」
(流石の兄上もデートプランがまとまっているはずですし……)
そう思い私はアーシアさんを案内しながら兄上の部屋に向かった。