04 兄上の恋愛相談4
目が見えない人が一時的に目が見えるようになることへの恐怖や不安というのは目が見える人には想像出来るものでは無いと思う。知らない世界が広がるということは希望でもあるが絶望でもあるはずだから。
そう思った私はアーシアさんに直接言葉にして聞いてみた。
「目が一時的に見えることに不安はないのですか?」
「えぇ、まぁ確かに目が見えるということは想像もできないので、未知の恐怖というものが少しあります。ですが私は゛この目゛で見てみたいものがあるのです。」
と少し間を開けてアーシアさんは答えた。
「その゛この目゛で見てみたいものとは何ですか?」
「ふふっ、それは秘密ですよ。」
「そうですか……安心してください。兄上は美男子ですよ。」
私に乙女の心を当てられたことによりアーシアさんは少し恥ずかしそうに顔を下に向けていたが次第に真面目な顔つきになって
「実際のところ顔に興味があるという訳では無いんです。私はライアン様の人柄をとても好きなりましたから。それに目が見えない私には顔の違いなんて分かりっこないですし。」
と答えた。
「では、なぜ兄上の顔が見てみたいんですか?」
私は素朴な疑問をぶつけた。
「そうですね………1番はライアン様の全てを好きになりたいと言いますか…別に見た目で判断する訳では無いんです。ただ、ライアン様のお顔を知っている上でライアン様を愛していると言いたいのです。」
アーシアさんの聞いた人全てを沸騰させるような気持ちを聞き「ごちそうさまです…」そう小さく呟いて、目が見えるようになる…つまり感覚を共有する黒魔術について、そしてどのように使うかをアーシアさんに説明することにした。
「それで肝心の黒魔術なんですが、私が直接触れないといけないという点と私の目がリンクするため違和感が凄いという問題があります。」
「いえ…それでも一時的に目が見えるようになれるのであれば私はとても嬉しいです。」
「アーシアさん、安心してくださいこの問題はもうひとつの黒魔術と合わせることで解決します。」
私はそう言って獣化の黒魔術を使った。