35 呪いと姫の恋愛3
呪いを解く方法にはこうも書かれていた。
呪いを移すのは人である必要はないと。
「呪いをそのへんの生き物に移せば呪いは解けそうですね。少し、可愛そうですが…。でも、移すときの代償の寿命がどれほどか分からないと…」
「リズ様、その寿命を僕に払わせてくれませんか?」
「そんな、だめです。」
「本には黒魔術で呪いを移すものの寿命と書かれています。つまり、僕が呪いを移す黒魔術を使えばリズ様の寿命を減らさず呪いを解けるはずです。」
「それでも…ルイにそこまでを背負わせることはできません。」
「それなら、僕のお願いを一つ聞いてもらうかわりってのは?」
「そこまで言うなら私の寿命7でルイの寿命3でお願いしてもいいですか。もちろん、お願いも一つ聞きます。」
ルイは少し考えたあと
「えぇ。わかりました。」
と返事をした。
私たちは、一匹のカエルを捕まえて本に書かれていた黒魔術を発動して呪いを移すことにした。
「では、始めましょう。」
そう言って黒魔術を発動すると周りは暗くなり始めた。
「さすがは強力な呪いですね……」
私がそう言うとルイは少し切ない顔でこちらをみてきた。
「どうしましたか?」
「リズ様。本当に大好きで、愛しています。」
ルイはそう言って私にスリープの魔法をかけた。
私が目を覚ますと身体からは呪いの気配は消えて、隣にはルイが倒れていた。
「ルイ!!ルイ!!大丈夫ですか?」
ルイの呼吸は浅く、今にもこときれそうだった。
「どうやら上手く行ったらしいですね。それにしても強力な呪いだ。寿命を70年ほど持っていかれました。」
「そんな……私のために。」
「いいえ、僕のためですよ。お願い聞いてくれますか?」
「えぇ、何でも聞きます。私にできることなら……いいえできないことでも何でも聞きます。」
「ありがとうございます。それでお願いですが……僕が死ぬまで僕のことをみていてください。別に好きになってもらう必要はありません。僕に気が向いていれば好きなってもらえる自信はあるので……」
「何言ってるんですか??」
「いや……ですか。」
「いやも何も、私はあなたのこともう好きですから!!!」
本気で好きと言えなかった私が初めて心から好きと言えた瞬間だった。
その言葉を聞いたあとルイは幸せそうな顔をして意識を失った。