13 戦場の恋2
「それで、兄様と相手の将軍が決闘している間はほかの兵士はどのように…」
「あぁ、初めはみんな俺の決闘を見ててくれたんだがな、それで決着がなかなかつかないのをみて今はまた戦いを始めてる。」
「一体いつから決闘を?」
「今日でちょうど1週間だ。」
先程は相手が女性だから兄上は決闘に決着をつけられていないと思ったが、女性が苦手とはいえ性別を持ち込む人ではない気がする…もしかしたら他に理由があるのかもしれない。
「そんなに相手の将軍は強いんですか?」
「フィーネ将軍は俺が戦った中でも5本の指に入るほどの強者だ。それ故にな…」
少し歯切れ悪く兄様は言った。すると突然”カーン、カーン、カーン”と鐘の音がなった。
「今のが決闘の合図だ…お前ら準備しろ。リズはここで待っててくれ。」
「私も戦います。」
「いや、リズは戦うな。父上もそれを望んでは無い。リズは頭脳を貸してくれればいい。」
「わかりました…」
そう言って兄様は兵士を王勢連れて戦場に向かった。
(まぁ、ここで待っているのも暇ですし…黒魔術で兄様の決闘を覗きますか…)
私は決戦場の上にいた鳥と五感を共有した。
「ライオス将軍今日こそ決着をつけるぞ。」
「あぁ…」
「どうした?元気がないな。そんなんでは私の相手は無理だぞ。」
「俺を心配している暇があったら自分の心配をしな。」
そんな会話をして戦闘が始まった。お互いが剣をまじ合わせると激しい火花が散り両者、硬直状態となる。フィーネ将軍は手から火属性の攻撃魔術を放つ。それを避けた兄様は更に剣を突きつける…がフィーネ将軍は交わした。
(ハイレベルな戦いだ…)
「流石だな…ライオス将軍。貴殿程の良き戦士と剣をまじえられるのは誇り高い。敵でなければ私の婿に迎えたいほどだよ。」
「う、うるせぇ。」
兄様はフィーネ将軍に更に剣を振るった。
「どうした?さっきまでの勢いが剣から感じられないぞ。さぁ貴殿の全てを私に見せてくれ。」
「う、うるせぇーよ。」
またも兄様は序盤とは程遠い剣をまた振るう。
(なるほど……)
兄様が女性を苦手なのは昔から鍛錬と戦場を好み社交の場から離れたため免疫が無いからだ。それでも戦場では女性相手でも相手の誇りにかけて全力を出すだろう。だが…フィーネ将軍のように戦闘中に会話をする相手なら別だ。しかも兄様はかなり気に入られている。きっと兄様は内心照れて上手く集中できて居ないのだろう。