001. 死刑と転生
士ね士ね士ね、殺してやる
ぶっ〇してやる
なんで俺だけ
全部お前のせいだ
〇してやる
士ね士ね士ね士ね
士ね士ね士ね士ね
〇してやる
ぶっ〇してやる
士ね士ね士ね士ね
士ね士ね士ね士ね
〇す、〇してやる
もう全部終わりにしてやる
後悔させてやる
士ね士ね士ね士ね
ぶっ〇す
お前らみんな士ねばいい
ぶっ〇してやる
士ね士ね士ね士ね
もうなにもかもどうでもいい全部消えてしまえ
〇してやる
ぶっ〇してやる
士ね士ね士ね士ね士ね
全員ぶっ〇してやる
お前らみんな士ねばいい
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都内某所の一軒家で昨日火災が起こった。火災により、その家に住む男性一名と女性二名がなくなった。警察は、遺体に残る刺し傷から同じ家に住むものの犯行として捜査を行っている。
俺は三人兄妹の長男として生まれた。四つ下の弟と七つ下の妹がいる。うちは一般的というには、少々特殊な家庭だった。まず俺は子供のころから日本に住んでいるが、日本人ではない。父はパキスタン、母は中国人だ。二人とも日本に出稼ぎに来ていて知り合い、結婚し俺が生まれた。だが、文化の違いか、もしくは相性の問題からか、両親は俺が物心ついてから結構な頻度でけんかを繰り返していた。
二人とも家族思いの子供思いのいい両親ではあったと思う。しかし、二人とも自分が若いころに苦労したからか、自分の子供には苦労させまいと過干渉の過保護な親だった。子どものころから、家族に違和感を覚えていた。学校の友達に見られるのが恥ずかしいからと、車での送り迎えをやめてほしいと言ったのに、あなたのためだからとやめてくれなかった。あまりにも嫌がると、口答えするなと怒られた。なぜ、親が子供のためだと思えば子供が嫌がっていようがいまいがやっていいということになるのだろう。大人になっても変わった様子はあまりなかった。高校生の頃に散々反抗したからか、過干渉は以前ほどなくなったが、最近までも何かと理想を押し付けてくることがあった。
父は会社経営者で、何かとつけて、自分のすごさをアピールしてきた。たしかに外国で企業して一財産を築いたのはとんでもなくすごいことなのだろう。俺は子供のころから何不自由なく育ててもらったから、その苦労を想像できず、理解できていないのかもしれない。けれど、何かにつけて理想の息子を求められるのはずっとしんどかった。何度も心が挫折した。自分を責めた。なぜ実の親なのに自分を理解してくれないのかと親を責めた。
大人になって、きっと今までは自分が子供で、まだ社会を知らなかったから父のすごさが理解できなかったのだろうと考えた。だから、父と本当の意味で分かりあうために、他の会社で働いたあと、父の会社に入って父の考え方を学ぼう。それがきっと父の望みにもそうだろう。育ててもらったのだから、少しは親の望みをかなえる努力はするべきだと思った。
しかし、実際は分かりあうことはできなかった。考え方が美学がコミュニケーションの取り方が全部違った。ただのむかつく会社の上司であればまだよかった。ただの過干渉ぎみの理想を押し付けてきがちな親のままであればよかった。それが、四六時中一緒にいる環境に自ら飛び込んでしまった。あまりにも浅慮だった。そして自分とその親のことがわかっていなかった。いや今でもわかってはいないのだろう。親がどういう人物で自分が本当はどういう人間なのか。もうわかりあうすべもない。すべては火の中だ。
警察のサイレンが聞こえる。本当は、妹と母は〇さなくてもよかった。でも父が憎く感じたことを発端にその憎しみは他の家族にも波及していった。なんなら、世界なんて滅んでしまえばいいと思った。父だけは逃がさないように、念入りに刺して、夜に火をつけた。
これですべて終わりだ。俺がこれ以上いきてやることもない。眩しい大きな光が身体を照らした。メガホンで警察が何かを叫んでいる。おれは、最後の力を振り絞って、警察官に向かってタックルをした。取り押さえられるなか、あごに腕があたり気絶をした。消えゆく意識の中にあったのは、達成感と脱力感、それと無力感だった。
死刑が決まってからずいぶんがたった。世間はきっともうだれも俺のことを覚えていない。付き合っていた彼女がいた。一度も面会はしていない。最初のころに数回、訪れていたようだがすべて断っていたから、その後はあきらめたようで訪問もやんだ。世間にも、ましてや〇した家族にもなんら悪いとは思っていないが、彼女にだけはすこし悪いと思っている。〇人犯と付き合っていたなどと、他の誰かに知られていないといいが。できれば俺のことなど忘れて過ごしてほしい。そんなことは無理ではあろうが。自分勝手で申し訳ないと思う。
今日が死刑の執行日だ。最後の飯は麻婆丼だった。刑務所では模範囚だったから、リクエストが通ったのだろうか。思えば、父を〇すと決めた夜にも、逗子で麻婆丼を食べた。刑務官に促されて、士刑執行の部屋へと歩みを進める。思えば長かった。人を〇したくずなど、家畜にも劣るのだから面倒な手続きなど踏まずにさっさと〇せばよかったのに。ああ、いい人生だったなっ・・・。
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俺は死んだ。刑務所にいたころは娯楽も少なく暇だったので、士後の世界について想いを馳せていた。死んだら真っ白い何も空間にいくとか、三途の川の長蛇の列に並んで地獄の沙汰をまつだとか、色々想像を膨らませていたが、実際の状況はそのどれもから遠いものだった。
まず俺は生きていた。生前のままの姿ではないが、はっきりと意識があるのだ。
手を無意味に閉じたり開いたりしてみる。
見慣れた自分の手ではないのに、自分の意思で動かせる。とても違和感があった。
顔を触ってみる。自分の肌の感触ではないし、顔の輪郭や髪質も違う。
なんだ、何が起こった?
ここはどこだ?
自分の体よりも大きな違和感が目の前にあった。士刑執行の日、俺は無機質な部屋で絞首刑をうけた。それが最後の記憶。それなのに俺は今、どことも知らぬ丘の上に立っていた。
足首ほどの草が生えており、同じような草原がひたすら広がっている。遠くに鳥が飛んでいる以外には近くに生き物の気配もない。
これは、もしや、、、
生前、趣味はそこまで多くはなかったが、異世界転生ものの小説は好んで読んでいた。その異世界転生ものの状況は、士後に他の世界で新しい生を受けるものが大半であった。
だが、それは不慮の事故などで死んでしまったり、クラスごと召喚に巻き込まれるというのが定番ではなかったか。犯罪者それも人を〇した士刑囚を転生させたいものなどいるのか?
しかし、転生でもなければこの状況は説明がつかない。
自分の体じゃないのに、自由に動かせる体があり、見知らぬ草原に立っていることなど他の理由では説明がつかない。頬をつねったが、ちゃんと痛みを感じた。
何かの手違いなのだと思う。きっと、転生させる神がいたとして、他の人間を転生させようと思ったのに手違いで俺を転生させてしまったのだ。
目を閉じて息を吸う。
それだけでいろいろな感情が湧き上がってくる。
いい天気だ。たとえ手違いだろうと、たとえ望まれていなかったとしても。
せっかく受けた第二の生だ。有意義に使ってやろう。