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いのり

天狼星の町の中の、

電気があちこちで暴走している。

電波は隠れることなくぴりぴりしていて、

みんなの考えという考え、思いという思いが、

伝播して、天狼星の町を一つにしている。

一人でありながらすべてであり、

天狼星の町の、大きな仕組みの一つとして、みんな動き回っていた。

電気の出力は暴れる。

暴れてあちこちの配線がずたずたになる。


届け、届け。

住民は願う。


コビトは、カタナとともに天狼星の町の天辺にいた。

カタナは面白そうに伝播してくるみんなの思いを感じている。

コビトは、正直怖い。

コビトの醜さがうつるようで、怖い。

さっきからふわふわした寝床が天辺にあつめられている。

天狼星の町の天辺に、

色とりどりの寝床。

伝播する思いでも、コビトは何をしたいのかがよくわからない。

でも、伝播する思いのままに、みんな寝床を集めている。


コビトは放電機を見る。

何度も出力を上げようとしては、

沈黙を繰り返している。

「がんばれよ。がんばってくれよ」

コビトは願う。

この町に流れ着いたコビトではあるけれど、

空にいった少年と少女が、地に激突して失われるなんて考えたくもない。

伝播から伝わる。

この電気が空に届けば、彼らは無事に帰れるはず。

「がんばれ。がんばれ」

コビトは機器だとわかっていても、鼓舞する。

放電機の音が上がっていき、また、沈黙。

コビトは悔しくなる。

ここで道化でいることしかできないのか。

少年少女の絶望はいかばかりか。


コビトの心に、言葉。

それは、コビトだから知っている言葉。

「カミサマ!」

コビトは言葉を解放する。

「カミサマ!たのむ!お願いだ!お願いします!」

コビトの祈りは、電波に乗って伝播する。

カミサマという言葉が、町に広がっていく。


「カミサマぁ!」

コビトは叫ぶ。


祈りのその瞬間に、放電機が出力を上げた。

コビトの叫びも巻き込んで、電気と爆音が空に放たれる。


カミサマ。

その鍵言葉で、奇跡は導かれる。

国の一部しか知らない電鬼の兵器。

可能性をすべてつかめる能力を持った、カミサマという兵器。

この場にいる誰も知らない、

カミサマのこと。


オウムガイに届く。

これは、何もかもが奇跡。

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