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疾走するのは

上へ下へと、カミカゼは走る。

カミカゼの頭の中に、交換するべき情報の優先順位と、

それを伝えるべき住人の住所が交差して、

カミカゼが走るべき道筋が出来上がり、

カミカゼはそれに導かれるように走る。

疾走する。

階段を駆け上がり、路地を走り、坂を上り下り。

カミカゼが疲れないわけではない。

けれど、疲れよりもずっと優先すべきことがある。

カミカゼの額には、汗が。

背広を着こなしているカミカゼは、それを脱ぐこともせず、

整髪料で撫で付けられた髪は、少しばかり乱れているが、

おおむねいつものカミカゼだ。


情報を、上から下へ、下から上へ。

老頭と住人をつなぐ橋渡しとして。

カミカゼは多分そのために走っているんだろうと思う。

電気街中心は、あくまで、みんなのためのものだとカミカゼは思っている。

みんなのために尽くす。

それも悪くないとカミカゼは思う。


少し乱れた息を整えに、カミカゼは立ち止まる。

情報伝達によく走るが、ここまで走り回ったのはずいぶんなかった気がする。

そして、あまり感じない感覚を、カミカゼは感じた。

ふるふると震えるような、何かがささやくような。

「風……?」

カミカゼはつぶやく。

そういえば自分で伝えた情報にあった。

ギムレットが爆発で穴を開けると。

穴から外の風が入ってきているらしい。

カミカゼは息を整えると、風の吹くほうへと近づいていった。


荒々しくもぽっかりあいた壁。

ギムレットはそこにいた。

カミカゼがあきれ半分に近づいていくと、

ギムレットはちょっとだけ得意げな顔をした。

「オウムガイは、今頃、空飛んでるはずさ」

「そのオウムガイの、電気の供給を走らせているところだ」

カミカゼは答える。

「頼むぜ。やつには天狼星の町の誇りと意地がかかっている」

「誇りと意地」

カミカゼは唱え、理解する。

「そうだな、みんなそのために回ってるんだ」

「カミカゼ、お前もな」

ギムレットはにやりと笑う。

「フウセンのところにいってやれ。大穴開いたから、電波がおかしくなるかもしれない」

「お前に言われなくてもそのつもりさ」

カミカゼは息をすっと整え、

「それじゃ、またな」


カミカゼは疾走する。

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