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一人であること

……あんたは一人でありながら、一人でない。

と、チャイの電装脳に、サクラの声がする。


……あんたは電装脳を持っている。けれど、電装脳のあんただけでない。

という、サクラの言葉に、チャイは疑問を投げかける。

「どういう意味だ?」

それは口に出た言葉ではないが、電装脳を通じて、サクラには伝わったようだ。

……見たまま聞いたまま言ったままさ。あんたは一人じゃないんだ。

サクラはおどけたように言うのに、

チャイはサクラが何か真剣に言っているように感じられる。

一人でない。どういうことだろうか。


サクラが電装脳にいることだろうかと、チャイは考える。

……半分正解、半分不正解。

サクラがすぐさま答える。

半分とはなんだと、チャイは考える。

サクラが脳内で笑う。

……自分で考えてよ。

わからんものはわからん。

チャイはちょっと憮然とする。


……そう、それ。

サクラが何か指摘する。

チャイは何のことかわからない。

……あんたの電装脳内の、ノイズみたいなもの。

それがどうかしたか。

チャイは問う。

……要らないものってあんたが抑えているもの。それがきっと必要なものなんだ。

そういうものか?

……あんたにないものを、みんな持っていて、あんたは一人じゃないんだ。

一人だ。

……いや、一人じゃないよ。老頭はいつだって、声を聞きながらだろ?

サクラが笑う。

くすくすと。


……タケトリもクロックも、あんたにない物を持っている。

それは認める、と、チャイは答える。

そうか、と、チャイは思い当たる。

一人でありながら一人でない。

サクラが脳内にいることだけでなく、

老頭は一人でない。

タケトリもクロックもいる。記憶の中には痛みを引き受けていた頃のオトギもいる。

……だから、さ、サクラがいなくなっても、きっと大丈夫。


いなくなるのか?

チャイは問うが、サクラは答えない。

いなくなるのか?

もう一度問う。

サクラは答えない。


サクラ、お前の故郷はこの町だ。

前にもいったその言葉を、チャイは繰り返す。

……故郷を空から見ることのできる存在って、どれだけいるだろうね。


チャイは言葉が続けられない。

サクラは笑うことすらしなかった。

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