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見えない空

カミカゼは次の訪問先であるギムレットの店へと走る。

闇電装技師。

その力も借りようと、チャイは書類で言っていた。

チャイが他の老頭の判断を待たないのは、

とても珍しいとカミカゼは思う。

そして、同時に急ぎだということも感じる。

今までも老頭の判断は的確であり迅速であった。

それでも速度が足りないのだろうか。

カミカゼは心持ち早足になる。

階段を数段飛ばして、踏み込んで駆け上がる。

カミカゼが走るのは、いつだって町のため。

天狼星の町のみんなの暮らしをよくするために走る。

いつだって迅速に。

電気街中心の役人たるもの、そのくらいできなくてどうすると、

カミカゼは己を鼓舞する。


ギムレットの店に、カミカゼはやってくる。

空が見えない一角にあるのに、

いつも何かの違法電波を拾っているという。

この天狼星の町、空が見えない一角も珍しくない。

珍しくないけれど、そういう一角にはたいてい、闇だの裏だのがたまる。

いわゆるお天道様に顔向けができないとでも言うのだろうか。

カミカゼはそんなことを思う。


店の扉を開けると、

ギムレットは何かの電装の作業をしていた。

カミカゼを認めると、皮肉っぽく口元をゆがめて見せた。

この分だと大体話は届いているのだろう。

噂がすごい勢いで広がるような町だ。

「言わなくてもわかる。老頭のチャイからの仕事だろう」

ギムレットはそう言う。

「それで、どういうものを作る気だ」

カミカゼは尋ねる。

「俺なら、磁気動力で一人で乗り込むものを作る」

ギムレットはカミカゼに何かを放り投げる。

カミカゼは受け取り、手の中のそれを見る。

それは、渦を巻いている、化石のようなもの。

電気を感じない、模型だろうか。

「これは?」

「オウムガイ、の、模型だ。化石によくあるらしい」

「これが?」

「動力を伝える形状だと俺は思う。この形で空を飛ばせる」

「できるのか?」

ギムレットは笑う。

「バカヤロウ。俺を誰だと思っている」

そして続ける。


「俺は見えない空だって飛ばせることができるんだ。見てろ」

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