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変わらないもの

ハンマーは発掘をする。いつもの場所で。

今日に限って、何か嫌な感じがする。

ぎしぎしときしむような化石の感じ。

石が動こうとしているような、嫌な感じ。

ハンマーはいつもどおり発掘をしているつもりが、何か勝手が違う気がする。

何かが、動き出そうとしている。


遠くのどこかの町から、石の山が届く。

ハンマーは一つ一つ丁寧に発掘する。

その山の陰から、一人、誰かがやってきた。

気配は薄かった。でも、不機嫌だということが伝わってくる。

「相変わらずだな」

ハンマーはその声に聞き覚えがある。

ずっと昔、この町をあとにしていった、確か…

「覚えているのか?」

「オトギ。お前はオトギか」

「そう、オトギだ」

ハンマーはようやく記憶の像を結ぶ。

オトギ、そう。この町をあとにしていって、何かを探しに行った若者だった。

今こうして、年をある程度食って戻ってきた。

見つけられたのだろうか、何かを。

あるいは、見つからなかったのだろうか。

不機嫌そうな気配は、見つからなかったものかもしれないとハンマーは思う。


「逃げるなら早くしろと、連中に伝えろ」

「どういうことだ?」

ハンマーはたずねる。

「この町は取り壊しの対象になる。国がそう決めた。拒否権はない」

ハンマーは息をのんだ。

「ただひとつ、回避する手段があるが、それは、今は関係ない」

「回避できるのか?」

「関係ないと言っている。拒否権はない」

「オトギ」

「気安く呼ぶな、卑しい発掘屋が」

オトギは不機嫌そのもので吐き捨てる。

「何年ここで石を掘ってきた。そして何を見つけた。何も見つけられない発掘屋が」

「何も?」

「そう、何もだ」

ハンマーは何か言いかける。

オトギがそれをさえぎる。

「国はここを取り壊すのに兵器を使うことすらいとわない」

オトギは告げる。

それはすなわち、

「…殺す、のか?」

ハンマーも使い慣れていない言葉、殺す、ということ。

「だから逃げるなら逃げろといっている。後は知らん」

オトギの強い口調。

それは昔からあいかわらず。


「少し猶予をやる。あいつらにも伝えてやれ」

オトギはそういい残し、去っていった。

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