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つつみこむもの

ホホエミは、いつものように粥を作る。

ガラクタが植物の種を、また持ってきてくれた。

もともと、そんなに大量に植物の種が必要なわけではない。

ガラクタもそれは承知しているが、

いつもちょっと多めに持ってきてくれる。

そばにいるマルがちょっとぼんやりしていて、

写真家を目指しているわりには、とぼけているねと誰かにからかわれていた。

ウゲツと、ネココという少女が、

お粥を食べて、代金を払うと、きらきら笑いながら仕事に戻っていく。

ちょっと変わりつつある日常。

ぼんやりしたマルも、ネココという最近見る顔も、

ちょっと変わった日常だと、ホホエミは思う。


電子音の鐘が聞こえて、

子供達が学校から家へと帰っていく気配。

一通り子供達が過ぎ去ったあとに、

ハコがやってくる。

ホホエミはいつものように粥を作る。

ハコもくつろいでいる。


ホホエミも、いい年したおばあさんで、

ハコもおばさんという年頃ではある。

二人は電気街で育ち、いろいろなものを見てきた。

変わるもの変わらないもの、

二人はそれぞれの手段で、この町を大切にしてきた。

でも、起点は同じところに多分あって、

電波や電気などよりももっと原始的な、守りたいということ。

ホホエミもハコも、そういう原始的な感覚を大切にしている。

人が人であるということ。

言葉にしなくても、人であればこうあって欲しいということ。

ハコはそれを教育として教えて、

ホホエミはそれを粥のあたたかさに託す。


ホホエミもハコも、多くは語らない。

ハコにいたっては、ホホエミのもとでは学校より口数が少ない。

それでも、わかる。

つつみこむようなお互いの気配。

外側を包むような、内側を包むような。

少し質は違うかもしれないけれど、どちらもこの町に必要なものだと、

お互い思っていることが、よくわかる。


ハコはいつものように粥をすする。

子供達が遊んでいるのが遠く近くに聞こえる。

いつものように、粥はおいしかった。

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