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ネココ助手

ちょっと前のこと。

ウゲツはネココという少女と出会った。

服装は、青いそっけない洋装。これはウゲツが選んだ。

長い髪をひとつにまとめている少女。

目がきらきらしている。

そして、装飾品は首飾りがひとつ。

一見して、どこにでもいそうな少女。

でも、ネココと名乗った彼女は言う。

雇ってください、と。

どこに行っていいのか、わからない、と。

ウゲツも少し困る。

それでも困り果てる前にウゲツは言う。

「うちにおいでよ」


それから、ネココはウゲツの助手として、生活することになった。

ウゲツは、磁転車の荷台の動力機に、ネココを座らせて、

ちょっとだけ重く感じる磁転車を駆る。

「ウゲツすごいすごい」

ネココがはしゃぐ。

「この先直角の坂があります。しっかりつかまってないと落ちるよ」

「わかったー」

磁転車の動力の、出力をあげて、直角の坂を駆け上がる。

「いーやっほー!」

ネココが意味不明の叫びを上げて喜ぶ。

ウゲツはそれが心地いい。


ネココは仕事に興味は持ってくれているらしい。

でも、壊滅的に磁力の扱いが下手で、

ウゲツはちょっとだけ困る。

困った顔をするたびに、ネココはしょんぼりとする。

「ネココ、邪魔?」

「邪魔じゃないよ」

「ネココ、いないほうがいい?」

「いないほうがいいものなんて、ない」

ウゲツはハコ先生に教わったままのことを返してみる。

ハコ先生のそれは正解のひとつかもしれない、

でも、ウゲツはひとつ足してみたくなった。

「ネココは大事、だから、いなくなったらだめだ」

ウゲツはネココの頭をなでる。

「だいじ?」

「うん、大事だから」

ネココはにっこり笑った。

その笑顔がまぶしく感じられるのはなぜだろう。


「邪魔しないようにがんばる。でも、助手だからついてく」

「うん、ありがとう」

ウゲツは磁転車に乗る。

ネココもひらりと荷台に乗る。

「さぁ、次の部屋に行こうか」

「うん!」

ウゲツは磁転車を駆る。

ネココがはしゃいでいる。


出会いは偶然。

育っていくその感情は、多分必然。

ウゲツもネココも、まだ何も知らない。

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