どこかで

人はいつか、必ず死ぬ。

逃れようのない死が、生きた先に必ず待っている。

理由は様々、挙げればきりがないだろう。

なんの理由にせよ死が眼前に迫ってくるそんな瞬間がある。

しかし、人間はどこかでここで死ぬことはないんじゃないかと期待をしてしまう。

死はここじゃないんじゃないかと。

でも、人はあっけなく死ぬ。

いや、人だけではない。

この世に存在する万物すべてはどこかで突然終わりが来る。

どれほどの力を持っていようと、抗うことはできない。

そしてその瞬間はどこかで必ず来る。

そんな呪いをかけられた我々にできることは、生を祈り希望を忘れないこと。

どこかに行ってしまった、遠く離れたあの人を忘れないこと。

そして、あの人の思いを背に精一杯生きること。

我々にはそれしかできない。

我々が生き抜いた先であの人は待っている。

また、どこかで。